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【映画2009】エスター

 ワーナーマイカルシネマズ板橋3番スクリーンにてSRD鑑賞。

 ハリウッド・シナリオの完成された定石にしたがって構成された手堅いサスペンスだ。カナダのケベック州、オンタリオ州などで撮影されているのは、優遇税制のおかげだ。

 死産による心の傷がいえない夫婦がロシア出身の孤児を養子に迎える。絵が上手で創作の才がある少女にほれこんで、我が家に迎えたのだが、いくつかの事件とともに、家庭に危機が訪れる。

 絵作りとサウンドによるホラー演出には卓抜なものがあり、序盤から作品世界に引き込まれていく。死産による夫婦の傷を伴う来歴など、キャラクターの設定は周到に作りこまれているから、不自然さはほとんど見られない。

 「オーメン」をはじめ、こういう設定のホラーは目新しいものではない。それが悪魔の子であろうと、悪魔の人形「チャッキー」であろうと、「ルームメイト」家庭内異物ホラーというべきカテゴリに入るものだろう。

 あまりにもかっちり作られているから、「この辺で少女の異常性を象徴するイベントが起きるな」とか、「そろそろ第一の殺人が起きてもおかしくない」とか、尺の中での構成が見えてしまう気がする。

 さまざまな事件が予想の範囲内で起こってしまうのだ。前半で観客を引き込んだホラー演出も中盤以降は手堅いシナリオをこなすために、なりをひそめてしまう。また、誰が死んで誰が死なないかの線引きが、ハリウッド基準の枠に収まってしまうのが、物足りないところだ。

 キラーの正体についてはほぼ予想の範囲内だ。もちろんその正体については異論はない。だが、それを説明したあとにもう一段階、観客の予想を裏切るような飛躍がほしかった。それが超人的な怪力でも、神経を参らせるような奇声でもかまわないのだけれど……。

   

 つまり、正体が判明した時点で、物語のヴェールがクリアにはぎとられ、恐怖の核が矮小化してしまった。また、キラーがリボルバーを使うことで、ホラーでもサスペンスでもなく、対決ものになってしまうのが、苦しいところだ。

 IMDbの情報によれば、初稿段階ではキラーの濃密な設定が描かれていたそうだし、作中で描かれる殺人ももっと多かったそうだ。映画としての落としどころやレーティングを考えると、仕方がないのだけれど……。

 よくできているだけに、狂気だとか、はじけた要素の欠如がもったいない作品だった。

監督:ジャウム・コレット=セラ 脚本:デヴィッド・レスリー・ジョンソン 原案:アレックス・メイス 製作:ジョエル・シルヴァー/スーザン・ダウニー/ジェニファー・デイヴィソン・キローラン/エリック・オルセン 製作総指揮:ドン・カーモディ/スティーヴ・リチャーズ 
キャスト ヴェラ・ファーミガ ピーター・サースガード イザベル・ファーマン CCH・パウンダー ジミー・ベネット 他
※こちらのエントリーもどうぞ。

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