【映画2009】ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~
ワーナーマイカルシネマズ板橋8番THXスクリーンにてSRD鑑賞。
きわめてよくできている映画で、つまり太宰治世界を21世紀に描くとしたら、このようになるというお手本のようだ。沢木耕太郎の「檀」が放蕩の作家、檀一雄を妻の立場から描いたのを思い出すが、死ぬ死ぬ詐欺系文壇モテモテくず男の姿をその妻を軸にして描いた作品だ。
「ヴィヨンの妻」だけでなく、「きりぎりす」、「桜桃」、「燈篭」といった太宰治のさまざまな作品からも材をとっている。とくに「桜桃」の使い方などはむしろ強引で、ここでそういう風に組み合わせるのかと、笑いそうになってしまった。
太宰だからといって深刻すぎるわけではない。不器用に生きる人たちのかもしだすユーモアもふんだんにある。劇中、思わず笑いそうになったところが、いくつかあった。
松たか子の映画出演作はすべてみていると思う(「四月物語」なんて、よかったね)が、この「ヴィヨンの妻」は彼女の代表作になることだろう。 彼女なしでこの映画は成立しない。
居酒屋夫婦から旦那のだらしない行状の一部始終を聞いて、笑い出すという情景は、原作にもあるのだが、松たか子の笑い方は見事にはまっており、人として最低だけれど男としては魅力的な作家の妻であるということをみごとに表現していた。
どれほどの逆境にあっても、清潔で明るい松たか子に対して、広末涼子のダメ女ぶりもすばらしい。根岸吉太郎印の濡れ場も堪能したよ。乳首とかは出ないんだけど、肌の質感がすばらしい。
また、浅野忠信は、よい仕事をしていました。まじめにクズをしているクズという印象だったけどね。うぶな工員役の妻夫木聡は、その不器用さも含めて印象的なキャスティングだった。主役をはるよりもこういう役のほうが印象に残る。
つまりこれは東宝らしい、スターの出る映画なんだね。母と娘で見られる太宰というか、デートムービーになる太宰というか、そういう味わいの作品だった。
※原作は青空文庫で読めます。「ヴィヨンの妻」
キャスト 松たか子 浅野忠信 室井滋 伊武雅刀 光石研 山本未來 鈴木卓爾 小林麻子 信太昌之 新井浩文 広末涼子 妻夫木聡 堤真一 他
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