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【映画2009】ゼロの焦点

 ワーナーマイカルシネマズ板橋1番スクリーンにてSRD鑑賞。

 後半はかなりいい。犬童一心監督作品の中でも出色のテンションで、映画ならではのサスペンス演出をきかせている。その一方で前半がかなりぐだぐだだ。時代と状況、キャラクターの逐次説明に過ぎず、退屈である。

 CGやロケーションなど、かなりがんばっているのだが、ドラマを進める広末涼子のキャラクターや夫との絆が立ち上がってこないので、弛緩したように感じられる。犬童一心作品はスロースターターなものが多いが、今回はそれが顕著だった。

 松本清張の社会派推理であるから、フーダニット(犯人)でもなく、ハウダニット(トリック)でもなく、ホワイダニット(動機)に比重が置かれている。

 昭和三十年代前半という戦争直後のうしろ暗い時代を高度成長の新時代にどのように清算していくかという日本人の心の問題を三人のヒロインに託すというのは、理解できる。空襲を逃れ、復興する金沢という舞台もいい。

 「ゼロの焦点」というタイトルに敬意を表したフォーカスワークもおもしろいんだけど、新時代の象徴である広末涼子の描き方のぶれは、最後まで、おさまらなかったね。

 時代考証などはかなりがんばっているんだろうが、日本旅館で窓際の板の間に椅子とテーブルを置くようになったのは、東京オリンピック前後だし、スパイクタイヤが発売されていない時代に、雪道でチェーンもつけずに自在に走行して、急ブレーキをかけていたりと、おかしなところも多い。そういうところのずさんさが気になっちゃうんだよね。

    

 そのへんの時代考証のぶれとハイアングル多用のカメラワークで、時代をみる目が「上から目線」に感じられる。道具立てはいいんだけど、じつはぞんざいなストーリーテリングのおかげで、あらゆることが、唐突に見えてしまうのだ。

 ラストシーンで広末の成長も見せようとするんだけど、途中がなさすぎですよ。まあ、電通・テレビ朝日・東宝……という組み合わせの中で、ホワイダニット(動機)を鮮烈に描く部分で足かせがあったのでしょう。そういうことにしておきましょう。

監督脚本:犬童一心 エグゼクティブプロデューサー:服部洋/白石統一郎/市川南/梅澤道彦 原作:松本清張 脚本:中園健司 音楽:上野耕路 撮影:蔦井孝洋 美術:瀬下幸治 衣装デザイン:半田悦子 編集:上野聡一 照明:疋田ヨシタケ 
キャスト 広末涼子 中谷美紀 木村多江 杉本哲太 崎本大海 野間口徹 黒田福美 本田博太郎 西島秀俊 鹿賀丈史 他
※こちらのエントリーもどうぞ。

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