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【映画2009】アバター

 109シネマズ川崎7番スクリーンにてIMAX3D鑑賞。

 すさまじい映画である。圧倒的である。奔流のように溢れでるイメージに2時間38分があっという間であった。なによりも劇映画として3Dであることのすばらしさをとことん堪能した。この映画を観るのであれば、絶対に3Dで観るべきであるし、可能なかぎりIMAXシアターにいき、視覚と聴覚を全開にして豊かな情報量を浴びる必要がある。

 まごうことなきジェームズ・キャメロンの映画である。戦う女2.0、パワーローダー2.0、サラリーマンボス2.0、メロドラマ2.0、不定形生物2.0、軍人ボス2.0など、「ターミネーター」や、「エイリアン2」、「タイタニック」、「アビス」で登場したアイテム、キャラクター、モチーフが、寸分の狂いもなく配置されている。まずはジェームズ・キャメロンの帰還を祝福したい。

 海外の映画評で、トーキー映画に黎明をもたらした「ジャズシンガー」になぞらえ、3D映画の時代を宣言する作品と評しているものがあったけれど、それは納得できる。もし映画の新しい時代を感じ、後世に証言を残したければ、観るべき映画である。

 あのころのSF……、たとえば、ジャック・ヴァンスの小説などで描写されたまったき異世界が、これだけの存在感を持って目の前にある時代になったのだと、浸りきって楽しんだ。

 以下、薄くネタバレです。

 ただ、良くも悪くもジェームズ・キャメロンの映画である。「アビス」という映画で核廃絶に向けたメッセージを主張していた癖に、つづく「トゥルー・ライズ」ではベタなコメディとして認識の甘い核爆発を描いた浅薄さに辟易したものだが、この映画でもそういった悪癖は濃厚に残っている。

 多くの人が指摘していることだが、この映画の基本的な構造は「ポカホンタス」であり、「ニューワールド」であり、「ダンス・ウィズ・ウルブズ」であり、「ラスト・オブ・モヒカン」であり、あえていえば、「ラスト・サムライ」でもある。

 つまり欧米文明が後進文化と出会い、文物や風俗の学習、さらには恋愛というイニシエーション作業を通して、「おれたち物質文明の人間はたいせつなことを忘れていたんだ」と気づき、後進文化のリーダーとして旗をふり、欧米文明と戦うという展開である。これが馬鹿正直に進められるのだ。

 土人と慣れ親しんで、「おれってば、お前らの味方」といいながら、骨の髄までしみついた西欧文化の血生臭いメソッドで「戦う」わけだ。上から目線であり、肉体的障害と貧困により西欧文化でドロップアウトした男が、未開文化を背景に母国文化に復讐する展開には、唖然としてしまう。

 商業映画としてのカタルシスを知り抜いているキャメロンであるから、映画としての喜びはたっぷりある。ことばや行動を吟味せず、凄まじい映像に身を委ねていれば、気づかなくてすむのだけれど、「きみはどうして母国文化を裏切るのだ?」、「きみが後進文化とふれて得た成長ってなんだ?」、「後進文化はどうしてきみのメソッドにつきあうのだ?」などなど、ストーリー上の転回点を反芻していくと、動機の浅薄さが浮かび上がってくる。

 「今回はたまたまナヴィ文化の側について戦ったけれど、おまえはほかの文化にいけば、すぐ染まってしまうんだろう」と、青い猫みたいな顔でうすら笑いする主人公を詰問したくなるのだ。それは「熱核戦争の恐怖はわかっていますよ」といっておきながら、キーウェストに原爆を落とし、コメディのネタにしたキャメロンのメンタリティから変わるところはない。

 同じ人類でさえ、宗教や伝統の違いで交われないところがあるのに、異星のナヴィたちとそこまで交流できるのか、最後まで歩み寄れないところがあるというのが、作劇ではないのかなど、浅さを指摘すればきりがない。

  
   

 ジャック・ヴァンスの「竜を駆る種族」では、あの瀟洒な構成の中で、文化の相克をみごとに描いていた。カタルシスのためなら、洞察を彼方に追いやる娯楽映画作家のキャメロンにそれを求めるのは酷なのだろう。その一方で、娯楽映画の優先順位がわかっているタイマン至上主義のキャメロン流決着に快哉を叫ぶのだろう。

 なによりもセガサターンで「パンツァードラグーン」を遊んだときの喜びが蘇ってきた。果てしない異世界を渉猟する小気味よさや異なる文化が激突する硬質な映像など、この世界に浸る喜びはふんだんにあり、上映中に映画館で何度も観たくなる作品なのだ。

※3D映画鑑賞について
 twitterやmixiなどを見ていて、どの映画館で「アバター」を観るかで印象が変わっているのが、興味深い。2Dは論外。絶対に3Dで観るべきだけれど、じつは3Dにもいろいろ方式がある。

 2ちゃんねるのまとめによれば、こんな感じだ。
http://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/movie/1254473472/

-REAL D-
方式:円偏光フィルター
メガネ:最軽量・50円程度・使い捨て持ち帰り可・常に新品配布・メガネ常用者用&子供用もあり・レイバンが唯一専用メガネを市販している方式
3D映像表現メリット:首をかしげても3D画像は崩壊しない。
3D映像表現デメリット:方式の特性上画面が多少暗く感じる。
劇場:ワーナーマイカルシネマズ、ユナイテッド・シネマ、シネマイクスピアリなど

-Dolby 3D-
方式:分光フィルター
メガネ:軽量・1万円以上・返却・アルコール消毒使い回し・運が悪いとメガネ曇ってる・メガネ常用者用&子供用なし
3D映像表現メリット:首をかしげても3D画像は崩壊しない。色再現性が他方式より高い。
3D映像表現デメリット:3D表現既知の問題以外、他方式に比べ特筆すべき問題点はない
劇場:HUMAXシネマズ、T・ジョイ系列など

-XpanD-
方式:液晶シャッター
メガネ:重い・5000円程度・返却・アルコール消毒使い回し・運が悪いとメガネくもりor電池切れ・メガネ常用者用&子供用なし
3D映像表現メリット:首をかしげても3D画像は崩壊しない。
3D映像表現デメリット:方式の特性上メガネの液晶シャッタースピード切替限界があるため画像がチラつく&暗い。
特性上スクリーンとメガネと瞳が直線になるようにしないとシャッターの偏光に阻まれさらに暗くなる。
劇場:TOHOシネマズ、MOVIX、109シネマズ、イオンシネマ、シネプレックス、シネマサンシャインなど

-IMAX デジタル3D-
方式:偏光フィルター
メガネ:軽量&視野が広い・500円程度・返却・アルコール消毒使い回し・運が悪いとメガネ曇ってる・子供用あり
3D映像表現メリット:映写機2台使うため他方式より明るい。IMAX専用70mフィルム(4K)コンテンツ映像では他を圧倒するほどの3D映像になる。
3D映像表現デメリット:首をかしげただけで3D画像が崩壊する。
方式の特性上メガネがスクリーンに対して垂直・水平の状態を保たないと3D映像は崩壊する。
劇場:109シネマズ(川崎、菖蒲、箕面)


 追記すると、新宿バルト9はメインがXpanDで、一部がDolby3D。新宿ピカデリーはXpanDである。各方式で3Dを見てきた印象から個人的に順位をつけるとこんな感じになる。

 IMAX3D>>>>RealD>Dolby3D>>XpanD

 3D方式で大切なのはメガネの重さと画面の明るさなのだが、その両者でXpanDは最悪なので、全国のTOHOシネマズやMOVIXで観るべきではない。 東京都内では豊洲のユナイテッド・シネマか、東武練馬のワーナーマイカルシネマズ板橋がRealDである。

 RealDかDolby3Dかに関しては、メガネの重さをとるか、色の忠実度をとるかのちがいだろう。

 IMAXはプロジェクターが明るく、スクリーン自体の反射率が高いこともあり、良席を選べば、最高に楽しめる。要注意なのは、109シネマズで、うっかり非IMAXスクリーンを選ぶことだ。Imax3Dどころか、重くてちらつくXpanDになってしまい、つらい目に遭う。

 関東のIMAXは菖蒲と川崎にあるのだが、菖蒲の方がIMAXらしさを堪能できると思う。都心から遠いのが問題だけどね。とくに尺が長い「アバター」は映画館選びが重要だ。

関連トピック
スーパーマン リターンズIMAX 3D Experience
 いまはなき品川のIMAXシアターで「スーパーマン リターンズ」を見た際のショートレビュー。

品川IMAX閉館
 2007年4月品川IMAX閉館の報をきいたときの憤慨。

IMAXでダークナイト
 2009年9月、菖蒲のIMAXシアターでダークナイトを見た喜び。

アバター
 2009年12月、川崎のIMAXで「アバター」前夜祭で字幕版を見たときのレビュー。3Dの4方式についても書いています。

アバターIMAX3D吹き替え版
 2010年1月、菖蒲のIMAXで「アバター」吹き替え版をみたときのレビュー。


監督脚本・プロデューサー・編集:ジェームズ・キャメロン プロデューサー:ジョン・ランドー 製作総指揮:コリン・ウィルソン/レータ・カログリディス 撮影:マウロ・フィオーレ 編集:スティーヴン・リフキン/ジョン・ルフーア プロダクションデザイン:リック・カーター/ロバート・ストロンバーグ 音楽:ジェームズ・ホーナー 

キャスト サム・ワーシントン ゾーイ・サルダナ ラズ・アロンソ シガーニー・ウィーヴァー ミシェル・ロドリゲス ジョヴァンニ・リビシ CCH・パウンダー ジョエル・デヴィッド・ムーア ウェス・ステューディ ラズ・アロンソ 他

※こちらのエントリーもどうぞ。

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コメント

お邪魔します。
どの方式で鑑賞しようかと思案していましたが、
大変明快な解説をいただきクリアーになりました。
imax3Dで観る場合、川崎より菖蒲の方が良いとのご指摘ですが、
どのような違いがあるのですか?
109シネマズのサイトを見にいきましたが、違いがわかりませんでした。
ご面倒でなければ、ご教授いただけますか?

ごめんなさい。
以前、このブログではいろいろなことがありました。
「通りすがり」を名乗る方の質問にはお答えすることはできません。

過去にどんなトラブルがあったのか存じ上げませんが、
コメント欄の運用について一定の方針がおありなら、
わかりやすいところにその旨記載しておいてください。
ただ質問しただけで一方的に危険人物であるかのような扱いを受け、
驚くと同時にやや不愉快な気分になりまた。

………。
これだから、通りすがりの人は困ったものです。
こういう人は誹謗中傷を書いたあとで、それを注意すると、
「誹謗中傷がいけないことなら、わかりやすいところにその旨記載しておいてください。」とか
書くのでしょうね。
まあ、「名前」と書いてあるテキストエリアに、「埼玉太郎」とか「草加一郎」なんてハンドルネームさえなく、
「通りすがりの者です」なんて書くところからして、
日本語をきちんと読めるひととは思えません。
きっと注意書きを書いても、読まずに「通りすがりです」とか、書いちゃうんだろうな。

なるほどいろいろあるわけだ。
誹謗中傷してるのは柴田某のほうだろう。
トラブルを誘発しているのはアンタだよ。

記事を参考に、菖蒲の109シネマズで観てまいりました。
前の人の頭で見づらい等のストレスもなく、大変快適な視聴環境で、菖蒲に
行ってよかったと思います。
ご指摘の通り、作品も期待に違わぬ素晴らしい出来で、ポストプロダクションの質の高さに驚愕致しました。
キャメロン監督による、3D作品の更なる進化に期待したいと思います。

■muさん
 柴田某ってだれでしょうか。

■草加一郎さん
 きちんとお名前をありがとうございます。
 既存館を改造した川崎とちがって、
 菖蒲は客席にスタジアム形式の傾斜がついていることから、
 とても見やすい上映環境だったと思います。

 川崎とは動員力がちがうようですから、
 なるべく多くの人が訪れて、末永くIMAXが存在する場として
 愛されることを期待しています。

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