【映画2009】パブリック・エネミーズ
ワーナーマイカルシネマズ板橋9番スクリーンにてSRD鑑賞。
権力者や資産家からは奪うけれど、庶民の金には手をつけない。木で作った拳銃でみごとに脱獄成功。誰もが苦しい生活をしていた大恐慌時代のアメリカで大衆のヒーローとして、マスコミに祭りあげられた強盗、ジョン・デリンジャーをジョニー・デップが演じた作品だ。
マイケル・"マイアミ・バイス"・マン監督がていねいに時代の空気をひろいながら、伝説のヒーローの逸話を映画化している。強盗、脱獄、銃撃戦、映画としての見せ場はいくつかあるのだが、ストーリーそのものはジョン・デリンジャーとビリー・フランシェットとの平板なラブストーリーに終始しており、退屈はしないが、単調な印象が強い。
FBIの前身であるDOIが予算を獲得する旗印として彼を「社会の敵ナンバーワン」と指名する流れや、時代の変化により、銀行強盗がわりにあわないビジネスとなったため、デリンジャーが組織の庇護を受けられなくなりつつあった経緯も描かれているのだが、映画としては有機的に関わっておらず、脚本としての深みはない。デリンジャーの人物像の多くは、役者、ジョニー・デップにまかせられている。
デリンジャーをとりあげるのであれば、マスコミと大衆に踊らされた義賊という側面があってもおかしくはない。デリンジャーが街路に倒れたとき、大衆はその血溜まりにハンカチを浸し、記念に持ち帰ったという。この映画では、そういう部分をばっさりカットしているのだ。
なぜデリンジャーが銀行強盗をしているのか。なぜビリーを愛したのか。軸となる部分がきちんと描かれていない。「人は来た道ばかり気にするが、どこへ向かうかが大切だ」なんてセリフが、ストーリーとは遊離している。強盗であることにこだわりつづけるデリンジャーが、それをいうのだろうか。
純愛ものにしたくても、デリンジャーが最後に死んだのは、別のガールフレンドとの映画鑑賞後という歴史が変えられない以上、説得力もないんだけどね。また、映画では語られていないが、ビリー・フランシェットはデリンジャーと会ったとき既婚者であり、夫は郵便強盗の罪により収監中だった。
また、クリスチャン・ベールが演じる連邦捜査官との対決もいまひとつ盛りあがらず、いびつに決着する。
デリンジャーを伝説としてフィクション化することも中途半端で、史実として人間デリンジャーを追うことにも中途半端な作品だ。それでもこの作品に魅力があるとすれば、はじめて出会ったビリーをくどく、デリンジャーの魅力的な表情。ビリーはのちに「彼の目には忘れられないものがあったわ。わたしを貫く電気ショックみたいだった」と語っているのだが、男のおれでもジョニー・デップのあの目にはくらくらきてしまった。
まあ、ジョニデ好きのためのアイドル映画としては楽しいんでしょうね。
キャスト ジョニー・デップ クリスチャン・ベイル マリオン・コティヤール ビリー・クラダップ スティーヴン・ドーフ スティーヴン・ラング ジェイソン・クラーク ジョン・オーティス デヴィッド・ウェンハム ジェームズ・ルッソ クリスチャン・ストールティ スティーヴン・グレアム ジョヴァンニ・リビシ ビル・キャンプ スペンサー・ギャレット ピーター・ゲレッティ ブランカ・カティッチ リーリー・ソビエスキー ロリー・コクレイン ジョン・キッシュライン キャリー・マリガン リリ・テイラー ジョン・オーティス ドン・フライ ランス・ベイカー スティーヴ・キー デヴィッド・ウォーショフスキー アラン・ワイルダー マット・クレイヴン ダイアナ・クラール


