【映画2010】BANDAGE バンデイジ
ワーナーマイカルシネマズ板橋7番スクリーンにてSRD鑑賞。
主演の赤西仁に興味はないし、小林武史が監督といわれてもミスチルはどうでもいい、フックとなるのは脚本・製作の岩井俊二くらいなのだけれど、まったく観るつもりはなかったのだが、信頼のおけるサイトなどで、意外な好評だったので出かけてみたら、これがすばらしい作品だった。
小林武史の演出には、岩井俊二的なものを濃厚に感じたのだが、撮影に入ってから岩井俊二はほとんどフォローしていないらしい。意外というか、だからこそというか、多段式ロケットのように、みごとな完成度になっている。すべての岩井俊二作品の中でも屈指といってもいい。そこに「あの頃ペニー・レインと」のような音楽業界成長ドラマが入っているから、たまらない。
主演は赤西仁ではなく、北乃きいである。時代はバブルが終焉を迎える1991年ころだ。「いか天」の記憶も新鮮なバンドブームの勢いも残っている。女子高生だった北乃きいが、あるバンドに出会ったことにより、音楽マネージメントの世界に飛び込み、成長していくというすがすがしいドラマで、すべては彼女の視座から語られる。
なによりも少女が音楽に触れることによって、成長していくドラマだ。北乃きいがほんとうにいいから、画面から目を離すことができない。映画の最初と最後で、きちんとちがう顔をしている。
小林武史作品だけあって、登場する音楽の説得力が抜群だ。それだけでなく、まるで自分がそこにいるかのような生々しいカメラワークや、小気味よい編集リズムにすっかり乗せられてしまった。
主演以外のキャスティングもいい。とりわけ、柴本幸や杏の存在感はすばらしかった。
さらに、劇中ではオーラということばで説明されている才能、表現、人気の葛藤が鮮やかに配置されているのに驚いた。
もちろんシナリオ上、難点がないわけではない。バンドメンバーがメインボーカル役の赤西仁に対して、北乃きいと別れることを要求するあたりの理由はよくわからない。彼女がいることがなぜバンドのためにならないのかが、きちんと提示されないからだ。
しかし、そんなことさえも些細な問題に見えてしまうのは、別れのクライマックスでの狂おしいカメラの長回しなど、きちんとした映画の息吹が随所に感じられるからだ。
それこそ、桑田佳祐など、ミュージシャン監督の作品にはいままで、ろくな記憶はなかったのだが、今回はそういうイメージを軽く払拭させるものがあった。ざわざわと純粋で甘くせつないあの時代の空気をこれだけきちんと見せてくれた小林武史なら、次作もぜひ見せてほしい。
キャスト 赤西仁 北乃きい 高良健吾 柴本幸 笠原秀幸 金子ノブアキ 杏 伊藤歩 財津和夫 他


