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【映画2010】おとうと

 ワーナーマイカルシネマズ板橋3番スクリーンにてSRD鑑賞。

 幸田文原作のじつに三度目の映画化だが、現代に合わせて設定は変わっている。とはいえ、これはどこからどう見ても「男はつらいよ」のエピローグであり、車寅次郎への鎮魂歌だろう。

 車寅次郎を笑福亭鶴瓶が演じ、さくらを吉永小百合が演じ、タコ社長を笹野高史が演じている。姪役である蒼井優はマドンナといえるかもしれない。

 時代劇ではあれほど、端正な映画を作っていた山田洋次監督が現代劇でこれほどベタベタな演出にするのも「男はつらいよ」を愛した人たちにむけたものであるから、当然のことだ。自作映像などもまじえ、冒頭で回顧される過去も、渥美清がいた時代とのブリッジとなっている。

 NHKスペシャルの「無縁死」とシンクロさせたわけではないだろうが、日本に遍在する無縁の死の受け皿を明確に描くことで、現代における家族への思いもきちんと語っている。

 蒼井優のような女優がしっかりと山田洋次の世界観の中にはまっているのが、不思議なくらいだ。

    

 印象に残るシーンはいくつもあるが、とりわけ、吉永小百合が笑福亭鶴瓶の住んでいたアパートを訪ねるシーンは印象的だった。肉親のつながりを映画の文法できちんと語る周到さはすばらしい。

 過去2作の「おとうと」でおなじみのクライマックスのしかけも、きちんと取り入れられているし、効果をあげている。オープニングとエンディングを対称的なシーンで結ぶ、きちんとしたブックエンド構成が心にしみる暖かさとなっている。

監督脚本:山田洋次 脚本:平松恵美子 音楽:冨田勲 
キャスト 吉永小百合 笑福亭鶴瓶 蒼井優 加瀬亮 小林稔侍 加藤治子 他
※こちらのエントリーもどうぞ。

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