【映画2010】Dr.パルナサスの鏡
ワーナーマイカルシネマズ板橋3番スクリーンにてSRD鑑賞。
ぼくたちの大好きなテリー・ギリアムが帰ってきた。素直にそう思える作品だ。テリー・ギリアムといえば「モンティ・パイソン」なのだろうが、リアルタイムで、モンティ・パイソンの放送がなかった地域出身者として、最初のモンティ・パイソン体験は名画座で観た「ホーリー・グレイル」や「アンドナウ」だった。
当時、「スターログ」の愛読者としてはなによりも「バンデットQ」を観たくてたまらなかったのだが、現実に日本公開されたとき、いくつものシーンがカットされるという悲劇に泣いた。つづく「人生交響曲」の「クリムゾン終身保険株式会社」の衝撃はいまも鮮烈だ。
もちろん、モンティ・パイソンはその後LDやDVDでみっちりチェックしたし、「未来世紀ブラジル」、「バロン」、「フィッシャー・キング」、「12モンキーズ」と、法螺と大仰と手触りとユーモアが重なるテリー・ギリアム世界には、いつも映画を観る喜びを感じていた。
それが「ラスベガスをやっつけろ」、「ブラザー・グリム」、「ローズ・イン・タイドランド」と困った作品が続き、どこへ行っちゃったかと思っていた、テリー・ギリアムが「Dr.パルナサスの鏡」帰ってきたのだ。これを朗報といわずになんといおう。
主役を務めるヒース・レジャーの突然の死により、映画の製作が暗礁に乗り上げたのは残念なことだったが、現実世界の撮影をほぼ撮り終えていた時点の喪失だったので、鏡の向こうの想像の世界をでは、ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルがヒース・レジャーの代役を務めるという大技で完成にこぎつけたのはすばらしい。
もちろん、脚本に無理はある。バランスが壊れているところは多々ある。しかし、たゆまなく物語を語ることこそが、世界を維持するという世界観は、すなわち、物語の才をもった創作者のつとめというメセージになっている。甘美なる苦行が世界の中心にあるのだ。
アニメーター出身のセンスを持つテリー・ギリアムの濃厚なヴィジュアルが多弁にそのメッセージを支えている。悪魔ニックとの永遠の賭けのように、想像という砂上の楼閣を絢爛に作りあげては壊していく、呪われた喜びを堪能させてくれる。
作品中で悪魔がうっかり意図をあやまるように、ヒース・レジャーの不慮の死によって作品のバランスは崩れてしまった。物語と世界の関わりは、うやむやになってしまうのだが、そのいびつさがが、またちがう美となって、終幕直前の涙につながっていくのはすばらしい。 作品そのものが失われたヒース・レジャーの存在を強く感じさせてくれるのだ。
うれしかったのは、ヒロインのリリー・コールのよこ乳である。「バロン」のビーナスの誕生シーンで、若いユマ・サーマンの見せたおっぱいも鮮烈だったけど、今回のリリー・コールの色気もたまらない。いい映画にはいいおっぱい。うちのハードディスクには彼女のフルヌード画像も入っているんだけど、やっぱり、映画の中の彼女の方がいい。
都会と幻想のコントラストという点で「フィッシャー・キング」も思い出した。現代ロンドンの街中を大道芸の馬車が走るというシーンからは、質量ある幻想からしか生まれない興奮がある。
映画の主要登場人物はDr.パルナサスから悪魔まで、すべて、テリー・ギリアムの分身なのだろう。その中でもヒース・レジャー! 甘く優しく賢しくも混乱し、すさまじく魅力的だ。映画が失ったものはほんとうに大きい。
キャスト ヒース・レジャー ジョニー・デップ コリン・ファレル ジュード・ロウ クリストファー・プラマー リリー・コール トム・ウェイツ ヴァーン・トロイヤー アンドリュー・ガーフィールド 他


