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【映画2010】タマフル映画祭

 TBSラジオ土曜日の21時30分からオンエアされている「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル(タマフル)」。その中の「THE CINEMA HUSTLER」のコーナーでは、毎週1本の映画をサイコロで決めて、パーソナリティの宇多丸が徹底的に批評する。


 時間や地域の制限で放送がきけない人でもpodcastで、その内容を聞けることもあり、日本中にファンがいる番組だ。

 宇多丸はそもそも理屈っぽい。毎週の映画批評に関しては、原作の精読はもとより、関連作品まできちんと観て、30分から40分語り尽くすというスタイルは滅多にない。オンライン上はもとより、印刷された批評の中でもこれほど映画を語る人は滅多にない。

 その内容をまとめた単行本が上梓されたことを機に、新宿バルト9の最大スクリーンを使ったイベント「タマフル映画祭」が開催された。

 「映画祭」は応募者殺到で当選確率もかなり低くなったことから、1週間後に追加上映が決定した。

 1回目は「SR サイタマノラッパー」と「ヘルボーイ ゴールデン・アーミー」だったので、応募したものの「ヘルボーイ」見てるしなぁという感じだったのだが、今回は「SR サイタマノラッパー」と「AMERICAN TEEN」が上映された。

 深夜0時に集まった客層は「東京ファンタ」を少しオシャレにして、女性が増えたという感じだ。

 まずは15分程度のオープニングトークだ。宇多丸、しまおまほ、古川耕の三人が番組や映画のことをざっと語る。

 最初に上映された「American Teen」は、関東では新宿バルト9でしか上映されなかった作品だ。

本年度サンダンス映画祭最優秀監督賞(ドキュメンタリー部門)を受賞し、アメリカに生きる“リアル”な10代を鮮烈に描いた等身大ドキュメンタリー『American Teen/アメリカン・ティーン』。アカデミー賞ノミ ネート監督のナネット・バースタインが、10ヶ月の歳月をかけてインディアナ州に暮らす5人の“本物の高校生たち”をドキュメンタリーの手法で撮影した作品。 アメリカの中西部インディアナ州ワルシャワ。その町に唯一あるハイスクールに通う学生たち。完全な階層の中で毎日過ごす彼らにとって、学校は社会の縮図。個性や才能、ルックスは異なるものの、それぞれの悩みを抱え自分自身のことに精一杯で生きているのは皆同じ。特に高校3年生ともなれば、将来への期待と不安で胸が張り裂けんばかり。自分の居場所を探し求めて必死にもがく日々。泣いても笑っても卒業まであとわずか、やがて決断のときが訪れる。
 

 学校の女王、バスケのヒーロー、映画監督を夢見る女の子、ゲーオタなど、特徴的な学生たちが、生々しく登場し、不登校、受験、恋愛、いじめなどで挫折し、成長していく姿を編集している。ドキュメンタリー的に素材を集めているが、卒業まで10ヶ月というカウントダウンドラマとして構成している。

 アメリカの田舎であるから、「バスケで奨学金がとれなかったら、軍隊に入るしかない」という現実が、当たり前に存在しているし、それを息子に語る父親というのが、プレスリーのそっくりショーをやっているのが、おもしろい。

 どこまで「やらせ」演出があるのかわからないが、

 映画上映後、さらにトーク。さきほどの3人に加え、アメリカから帰国中の町山智浩が登場する。町山登壇の際は、場内が熱い拍手で満ちる。なんだかスターを迎えるようだ。

 話は「American Teen」に関連したReality TV番組ネタから、番組内で不倫や交通事故、離婚まで生々しく放送されたハルク・ホーガンの惨状まで語られる。

 つづいて「SR サイタマノラッパー」である。

『SR サイタマノラッパー』は、2009年公開、入江悠監督の日本映画。2009年の第19回ゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター・コンペティション部門でグランプリを獲得、第13回富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭でNETPAC AWARD(最優秀アジア映画賞)を獲得した。 レコード屋もライブハウスもないサイタマ県のフクヤ市。そんな田舎街に暮らすヒップホップグループ“SHO-GUNG”のメンバーたちは、自分たちの曲でライブをすることを夢見ていた。メンバーで、仕事もなく毎日ぶらぶらしているニートのラッパーIKKUは、いつか世界的なラッパーになりたいと思っている。そんなある日、東京でAV女優として活躍していた高校の同級生の千夏が帰ってきた。その時から、メンバー間にすれ違いが起きてしまう。

 宇多丸が2009年のベスト1映画に推す作品で、低予算の限定公開だったが、尻上がりに高い評価を受けてきた作品だ。

 どのシーンもほとんどカットを割っておらず、長回しばかりの作品なのだが、そこから生み出される間や空気感は絶妙で、ふとしたきっかけにより、市の交流イベントとして、会議室内でラップを披露するシーンはまさに抱腹絶倒だ。

 また、AV嬢のみひろが登場。元AV嬢の同級生役としてからんでくる。途中で、みひろのAVが流されるシーンがある。ぼかしつきの映像がバルト9の大型スクリーンに映写されるのがすごい。

  

 上映終了後、監督と出演者が登場して、語ったところによると、みひろのAVを使いたいといったところで、山ほど素材が送られてきたそうだ。AVシーン自体が長いのだが、制約は「これを観て抜くまでいかない程度の時間にすること」とのこと。監督はその制約いっぱいの長さ、映像を使わせていただいたとのことだ。

 青春モノに必要なセックスの要素を、主人公の性交渉ぬきの形でまとめたのはうまいと思った。

 サイタマというラップの極北で、漠然とした理想しかないニートの主人公が、そのなにもなさをさまざまな形で自覚したことから生まれる感動は格別だ。最後のラップは胸にしみこんでいった。

 さまざまなエピソードを披露したトークショーの途中で、完成したばかりの「SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー★傷だらけのライム」の特報が上映される。これはかなりおもしろそうだった。バルト9では「2」のみならず、「SRサイタマノラッパー」のリバイバル公開もするそうで、これまた楽しみだ。

 当初は朝5時までといっていたイベントだが、引っ張りまくりの押しまくりで、終わったのは、5時30分。とても楽しい夜でした。

※こちらのエントリーもどうぞ。

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