【映画2010】第9地区
ワーナーマイカルシネマズ板橋10番スクリーンにてSRD鑑賞。
2009年の夏、アメリカで1億1500万ドルの興行収入を上げた、ピーター・ジャクソン製作のSF映画だ。日本では4月に「第9地区」として公開予定だが、なぜか映画秘宝の2009年ベストには入っている。アメリカから取り寄せたBlu-Rayで鑑賞したのは去年のことだ。
現在から地続きの未来、南アフリカのヨハネスブルグに飛来した巨大宇宙船は異星人難民であふれていた。難民として受け入れてから28年、「District 9」といわれる収容地区で、人間に差別されながら暮らしている異星人たち。諸問題から彼らを新たな収容キャンプに移送する計画が立ち上がったのだが……。
異星人移民という設定をきいて「エイリアン・ネイション」という映画を思い出したのだが、バディ・ムービーである「エイリアン・ネイション」とはまるっきり味わいがちがう作品だった。
設定に粗さは多々あるのだが、ドキュメンタリー調の導入部から、後半のアクションにいたるまで、退屈するどころか、むちゃくちゃ楽しんでしまう。
南アフリカを舞台にしていることから、アパルトヘイトの暗喩など、もっと濃厚にあるのかと思っていたが、純粋な娯楽作品で、全体を覆う、ブラックユーモアも楽しい。 エンドロール近くでは、感動しながら、うるうるしてしまった。
その「District9」が「第9地区」として、日本のスクリーンで公開されたとなれば、いかなければならない。 だって、スクリーンで見なければならない映画の最右翼だからね。
ブルーレイで2回半くらい見ている。メイキングも見ているから、話もなにもかも知っているのだが、劇場で見ると、没入感は別格だ。自分が主人公のヴィカスになったようで、濃密な悪夢をしっかりと堪能した。
カルトムービー作家だったピーター・ジャクソンが「ロード・オブ・ザ・リング(LOTR)」という空前のビッグバジェット映画の監督に起用され、映画の勢力図をシフトするところまで到達したのだが、それと同じ奇跡を南ア出身の作家にもたらしたことだろう。
LOTRを現出せしめたWETAという工房が、現代のフィレンツェであるウェリントンで、有効に機能し、わずか3000万ドルで、これほどの作品を可能にしたのだ。
現実の第6地区を下敷きにした、第9地区というタイトルからわかるように、アパルトヘイトという歴史を下敷きにしているが、それをテーマとして振りかざしていないのがポイントである。
現代の物語であるが、宇宙人の飛来が1982年としていることから、パラレルワールド的な「いま」を描いてもいる。
人種差別、隔離、強制収容、民間軍事会社、外国人嫌悪など、現代にあるさまざまな問題をそのまま誇張した形で、見せつけるのは、SFが最も得意としていた技だ。
この映画にある悪夢と解放感と徒労感すべては、濃密なる現代そのものであり、この鮮やかさを繰り返し堪能することで、ぼくは「いま」を味わうのだ。
キャスト シャールト・コプリー デヴィッド・ジェームズ 他
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