【映画2010】2010年6月後半鑑賞映画
ツイッターで、この時期鑑賞した映画へのつぶやきをまとめて追加しました。タイトルに星をつけたものはおすすめです。
2010年06月19日
★【クロッシング】
なんというエピック。なんというオデッセイ。現実はもっと過酷ですさまじいという話も聞くが、これは映画として胸に迫る。
撮影はもとより音楽やSEがとてもよくできていて、つくづくしみてくる。
役者の演技、背景、プロットが効果的に配置されていますよね。説明的な展開を見せないまま、父と子のそれぞれの視点で、すさまじい状況を描いています。最後の父親の慟哭まで、感情の表出を抑えた演出がスバラシイと思いました。
主人公は北朝鮮では恵まれていたとはいえ、奥さんの結核という先進国であればどうとでもなる病気のために、薄皮のような幸せがなくなっていくんですよね。描ききれないことも多かったと思いますが、そういった部分を削ぎ落したからこそ、みごとな作品になったと思います。
2010年06月20日
【座頭市the last】
そんなに悪くはなかった。香取慎吾は頑張ってるけど、ミスキャストだし、中代の大芝居はうっとうしいが、美術班の仕事には感心した。
香取慎吾は居合いの達人というより、ゾンビ的重戦車。香取のキャラをいかした設定だが、じゃあ座頭市にする必要はないと思った。
プロットやキャラクター設定はよくやっているが、スクリプトや編集でそれをまとめきれなかったのが残念。
石原さとみとのラブロマンスは中途半端な処理。若い人向けの設定かもしれないが客席には還暦以上の人ばかり。香取戦車な座頭市より、スカッとする座頭市を見たかった。
破壊屋ブログなんかでは、「ICHI」のほうが、「座頭市 the last」よりずっとおもしろいということだけれど、うーん。おれは「座頭市 the last」のほうがあきずに見られたな。「ICHI」はいろんなところでグダグダだった。
2010年06月22日
【フラワーズ】
資生堂も思いきったね。女の幸せは子供を産むことにあるときっぱり言い切った映画だ。どうして「TSUBAKI」のCFイメージとこんなに変えちゃったの?
この企画を立てた人は発言小町とか見たことがないんだろうな。小町招待試写会とかやったら、終映後、阿鼻叫喚の地獄絵図になりそうだ。
偉い人にはわからんのですよて言うか、金持ってる出資者のじいさんにわからんのですよ。
蒼井優出演部でサンドイッチにしていることで、制作側の主張が明け透けになりすぎ。
現代編の二人のコントラストが小町的な釣り針。負け組の鈴木京華が、シングルマザーになることで、かろうじて立ち直る。一方、専業主婦っぽい、広末涼子は溌剌とした勝ち組。
「ザ・コーヴ」をしのぐプロパガンダ映画かもしれない。アンチ少子高齢化映画。まぁ、とりあえず子供を産め的な。
作品の評価で「泣ける」というのを信頼していない。だって、ぼく自身「フラワーズ」の仲間由紀恵のエピソードでいっぱい涙を流したりするのだから……。泣くってのは作品の評価ではなく、個々人の体験スイッチへの適合である場合が多い。
感心したのはキャスティング。若き日の平田満をV6の井ノ原快彦がやっている。これがよく似て見えるんだ。
時代考証で気になったのが、昭和39年のお茶のポリ容器と、昭和44年のプルタブの缶ビール。調べてみたら、お茶のポリ容器は昭和32年頃からあったそうだし、プルタブつきの缶ビールは昭和40年からあったそうだ。ただ、どちらも普及率はそれほどでもなかったと思う。
2010年06月23日
【ザ・ウォーカー】
imdbによれば、囚われた室内に「少年と犬」のポスターがあったそうだけど、見落としちゃったなぁ。そんな「少年と犬」も含め、いろんな意味で、破滅後ムービーのテーマが濃密にあった。でも、これウォルター・ミラー・Jr.の「黙示録3174年」が下敷きのひとつだよね。
冒頭から視覚的にいくつかの伏線があり、「もしかしたら……」と思っていたら、その通りの話だった。誠実なつくりだね。ジェニファー・ビールスとか、マルコム・マクダウェルとか、意外な人が出ていてそれも楽しかった。
アクションはとてもよかったので、もう何シーンか、あってもよかったのに……。構成としては主人公の正体がわかったところで、もうひとアクションほしいところだ。。ダン・ブラウンの著作が駄本として出てくるところなど、ちょっとおかしかった。
レビューをみていても「ぴんとこない」というものが多い。それも無理がない。「結局、何の映画だったの?」って印象なのだろう。劇場には年配の男性が多かった。じつは機内映画で見ようとしていた作品だったが、「これは劇場で見ないと」と、やめてしまった。それは正解。
2010年06月25日
【いばらの王】
楽しませていただいたのだけれど、アニメ作品ならではのクリシェの氾濫がものすごく気になって、没頭できなかった。「宿主(しゅくしゅ)」とか、「自壊」とか、「範疇」とか、緊迫したところで耳にすると、どいつもこいつも理屈っぽくいいやがってと思ってしまう。
冒頭のニュースなんて、通常のニュース文体というより、アニメ内ニュース文体みたいな言葉づかいで、正面むきで微動だにしないアナウンサーからいわれると、むやみにうっとおしい。キャラクター造形もアニメ式ステレオタイプで「わかったわかった」って感じ。
ポセイドンアドベンチャー状況は楽しいのだけれど、キャラクターの作り込みがうまくいっていないから、いきあたりばったりに見えてしまう。
全体の設定と謎解きについては、映画の尺とのバランスがとれており、作画やCGもよいので、満足したのだけれど、アニメ臭いスクリプトとアニメ臭い主人公が苦手ではある。自分の名前をマルコと主張しまくるイギリス人というのも悪い冗談みたいだった。
キャサリンと呼ばれる女性キャラ。はじめてフルネームで呼ばれたとき、キャサリン・ターナーと……。まあ、キャスリーン・ターナーとキャサリン・ターナーじゃちがうかもしれないけどさ。おじさん、「ロマンシング・ストーン」とか、「ローズ家の戦争」が脳裏に浮かんだよ。
【マイ・ブラザー】
脚本が「君のためなら千回でも」の人だったのか。その割にはという感じ。デンマーク映画のリメイクなのだそうだが、オリジナルは見ていない。トビー・マグワイア、ジェイク・ギレンホール、ナタリー・ポートマンの演技が存分に見られる映画ではある。
ショッキングな展開も多いけど、キャラクターを描くエピソードがいまひとつ足りない。アフガニスタンで人格が変わるほどの事件に遭遇したトビー・マグワイアの、出征前のキャラクター描写が足りないので、悲劇の彩りが足りなくなっている。
まあ、小さな娘のいてがんばってるパパには深く辛く感情移入できる映画かもしれない。おれには娘いないから、そういうのはないけどね。


