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【映画2010】SPACE BATTLESHIP ヤマト

※「SPACE BATTLESHIP ヤマト」へのツイートをまとめました。

 うあ。まさか「ゆとり戦艦キムタク」になっているとは思わなかった。

 映画をすでに見ていた人に、早くから「95%がギャラクティカ」と聞いていたので、かなり期待していたのですよ。剽窃だろうが、パクリだろうが、なんでもいいが、「95%がギャラクティカ」のレベルに達しているのなら、おもしろそうじゃないか。

 頭の中では、ギャラクティカのエンジンに、ヤマトのテキスチャーを貼りつけて、キムタク風味の映画を想像していたのだが、ぜんぜん、そういうことにもなっていなかった。ギャラクティカを真似るのなら、一番大切な部分を真似てくれたらいいのに、それどころじゃない。

 ギャラクティカの剽窃というより、三丁目の夕日のリメイク。「ALWAYS」では、東京の下町から子供ふたりが、都電に乗って冒険するが、今回の地球とイスカンダルの距離感もそのくらい。都電で1時間くらいの距離。

 「希望」とか「可能性」というタームが軽々に使われているが、イスカンダルにいく目的って、「自分探し」と同等。よくわかったのは、「希望」とか「可能性」とか使う人がいかに残酷かということ。

 激しく笑いそうになったのは、黒木メイサとキムタクのロマンス部分ぜんぶ。おまえ、それ、パワハラじゃねぇの。

 「対ショック、対閃光防御」などの有名文句も使われているけど、基本的にプロフェッショナルな用語は一切使われていない。物理学用語も海軍用語もオリジナルのアニメからさえ、大幅減量。ゆとりの自分探しにはそのくらいがお似合いか。

 どういう意味でも、仕事をするリアリティが見あたらない。PXだか酒保だかで仲間と酒を呑むシーンなど、TBSだか、フジテレビだかの社員食堂で、軽く一杯やろうか程度のリアリティだ。

 樋口真嗣監督のほうがよかったみたいなツイートもあったようだが、話の構造は新「日本沈没」といっしょですよ。

 ワープ成功した! 波動砲当たった!といっては、艦橋内で立ち上がり、大騒ぎするサークル感覚。おまえら、調子よすぎだよ。

 とにかくライブアクション(俳優演技)部分は壊滅的。この監督が芝居をつけられないのか、キムタクだから仕方ないのか、時間と予算が圧倒的に足りなかったのか。役者まわりは絵作りも弛緩してて、どうしようもなかった。

 SFXの演出も困ったもの。攻めてくる→ためる→撃ち返すなどの、サスペンス的演出が根本的に欠如しているので、まるっきり盛りあがらない。

 だいたい、ヤマトを巨艦としてきちんと描いている映像が少なすぎ。それがないから、ギャラクティカの「エクソダス」の最大の山場をいただいちゃったシーンでも、ありがたみがない。

 最大の爆笑ポイントのエンドロール冒頭を見れば、ヤマト波動砲が、射精のメタファーだとよくわかる仕組み。

 本当に時間と予算がなかったと思うのは、SEだ。もうちょっと環境音をつけろよ。音が聞こえるだけで、社員食堂が艦内食堂に見えるのに、そういうところも手抜き。

 観たほうがいいですか? とか、リプライをくださった方もいるのだが、おれの立場として「どんな映画も観たほうがいい」といわざるをえない。ただ、見る順番をあとにしてもいいんじゃないでしょうか。

 「日本人が初めて挑むSFエンターテインメント!」といってるわりに、まるっきりSFじゃないところも悲しいね。反射衛星砲とか 第10番小惑星帯とか、七色星団決戦とか、オリジナルのヤマトには胸踊る要素がたくさんあったのに、そういうのはキムタクが覆い尽くしてしまった。

 実際に戦艦や空母があるアメリカで「バトルスター・ギャラクティカ」のリアリティが生まれ、戦艦を護衛艦といいかえる日本では「実写ヤマト」が居酒屋リアリティになってしまうのは、平和でいいことかもしれませんなぁ。

 あるシーンなど、JJ「スター・トレック」にそっくりなのだが、オリジナルがなんでそれをやっているのか、理解していないので、得体のしれないごった煮になっている。

 「日本人が初めて挑むSFエンターテインメント」なのだそうだが、どうみても、「宇宙からのメッセージ」のほうがSF。

 冒頭付近でがっくりしたのは「古代、マニュアルは読んでるな?」と、沖田艦長がいうところ。波動砲の撃ち方が、ビッグマックなみというマニュアル世代のSFエンターテインメント。

 ちなみにぼくは平均して2本に1本の映画で泣いているから、「泣くなという条件づけ」はされていないのだが、泣かせるための作りで、映画であることを放棄した作品では泣けないし、悲しくはなるけどね。そして、「実写ヤマト」には怒ってもいない。

 「実写ヤマト」ツイート連投して、そこまでいうなら、みたくなるよね……みたいなことを書いてくれる人がすでに4人! そいつはかなり本望ですよ。

   

 バトルスター・ギャラクティカの艦内も男女関係はいろいろただれているのだが、「実写ヤマト」ほど、いやな気分にならないのは、生と死のタイトな状況を感じるからだ。「実写ヤマト」にあるのは、ゆとり居酒屋のあと、うっかりやっちゃって、できちゃった婚程度のリアリティ。

 どうでもいい作品なのだが、これだけ大量にツイートしたのは、SFを標榜しつつなっちゃいないため。JJスタトレ、ギャラクティカ、第9地区、そういうものをみて、これかという絶望。監督や脚本家のドヤ顔ツイート。まぁ、そのあたりかな。

 意外とよかった。ヤマトの歴史ではマシな方。ヤマト知らないけど、泣けたからいいんじゃない。そういってこのガラパゴス映画を肯定する人を否定はしない。ただ、ガラパゴスはそういうゾウガメの所産だと思う。

 「実写ヤマト」に関しては、脚本家のほうが「あたしの映画」意識が強かったのかもしれない。

 いやもう、今年の「実写ヤマト」なんかより、去年の「復活篇」の戦闘シーンのほうが圧倒的にかっこいいというのが、問題だよな。 http://t.co/aUufDyz これであのストーリーとあのキャラデザインさえなかったら、よかったのに。

 沖田艦長が重篤な病気になり艦長室でひきこもっていたころ、キムタク進艦長代行が、「それが艦長の意志なのである」みたいなセリフ。おいおい、艦長生きてて聞いてるのに死人あつかいかよと思ってるところで、艦長をぬくカメラ。艦長が苦笑しているように見えたよ。

 「ぴあ初日満足度ランキング」では、「劇場版BLEACH」 「極悪レミー」、「武士の家計簿」、「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」についで、第5位。同週公開邦画5本中4位は順当なところか。 http://ow.ly/3lwYH

 TBSラジオ「Dig」で、氷川竜介、薄氷を踏むかのごとく、「実写ヤマト」を語っている。

 今日は昼、夜の打ち合わせでも「実写ヤマト」話。「実写版」の事実上の制作費は1年前の「復活篇」よりはるかに安かったのではないかとか。ヤマト発進シーンは三ヶ月、Mayaで苦闘した挙句、3ds Maxに切り替えて何とかなったものの、絵があらすぎるよとか。

 「実写ヤマト」を見た後ならば、感慨深い脚本家ツイート。 http://ow.ly/3lUKq http://ow.ly/3lULm http://ow.ly/3lULM http://ow.ly/3lUMF http://ow.ly/3lUOM

 昨日、いっしょに筑波にいった方に、「なんでそんなにひどいと思うような映画をわざわざ見にいくの」ともいわれたが、見にいくと決めた映画を観る前は、とても期待しているのだ。たとえ「サヨナライツカ」でも「東京島」でも「実写ヤマト」でも。

 今年はいまのところ130本くらい劇場で有料鑑賞した。「実写ヤマト」みたいな映画を見るなとは絶対にいわない。お金を払ってみて感じるままにことばを重ねることが、映画に対する姿勢だよね。

 脚本の佐藤嗣麻子は、「実写ヤマト」をSFにしたわけではない。彼女の功績は「ヤマト」の「泣ける」化を的確に成功させたこと。

 最近、「実写ヤマト」について、自分なりに結論が出つつある。実際に多くの女性があれを見て泣いていることを考えると、あれは多くの女性SFファンにとっての理想の「ヤマト」だったのではないか。「さらば」で泣きながら劇場をあとにした女性がその記憶をもとに「ヤマト」を再構成したものなのだ。

  

 そういう女性にとって「実写ヤマト」の男達が命をかけて地球を救うことがSFらしさだったのだが、そのSFは男性ファンの求めるSFとはちがった。

 考えてみれば、古代をちょっとやんちゃな長兄、島がそれを支える弟、さらに家父長である沖田艦長を中心とするヤマト艦橋の擬似家族に、女性が気持ちを託したとしてもおかしくはない。

 しかし、最初のヤマトに少なからずあったセンス・オブ・ワンダーの要素は、「実写ヤマト」に存在しない。"彼女"たちにとってそれは必死に戦い命がけで地球を護る家族という最重要ポイントにくらべたら、取り替え可能なアクセサリー程度でしかないからだ。

 佐藤嗣麻子という女性脚本家にとってのSFはそういう部分である。その"自信"があるからSF作家協会に所属しているとか、SF大会でいろいろやっていたか、SFファンとしてのポジショントークができたのだろう。SF関係者に知り合いが多いからといって、作品がSFになるわけではない。

 「さよならジュピター」で日本の男性SFファンの限界を感じた。「実写ヤマト」で日本の女性SFファンの限界を感じた。結局、「実写ヤマト」はシナリオ的な「海猿」と等価の「宇宙猿」だ。それを日本人が初めて挑むSFエンターテインメントと紹介したことで、ターゲットの動員も中途半端に終った。

 「実写ヤマト」の陳腐化は「ルパン」TVシリーズの陳腐化にも似ている。擬似家族の存在。そこから生まれた女性ファンへのおもねりによるジャンルの喪失など。

※こちらのエントリーもどうぞ。

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