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【映画2011】2011年2月後半鑑賞映画

 ツイッターで、この時期鑑賞した映画へのつぶやきをまとめて追加しました。タイトルに星をつけたものはおすすめです。

 鑑賞映画:【太平洋の奇跡】、【洋菓子店コアンドル】、【ヒア アフター】、【ジーン・ワルツ】、【毎日かあさん】、【恋とニュースの作り方】、【英国王のスピーチ】

2011年02月16日(水)

★【太平洋の奇跡】
 いや、驚いた。第二次世界大戦のサイパン島で、日米双方、敵同士のコミュニケーションとディスコミュニケーションを巧みに織りまぜながら、感動に結びつけていく良作。当たったときの平山秀幸監督はすばらしい。「信さん・炭鉱町のセレナーデ」に続いて堪能した。

 大場栄陸軍大尉を演じた竹野内豊はちと線が細く、大場大尉が民間人を守る決意をするまでの流れなど、性急でごつごつしていたが、山中ゲリラ戦を展開するようになってからは、勢いがついてきた。

 唐沢俊一と竹野内豊を交換するといいかも知れないと一瞬思ったけれど、最後まで通してみれば、竹野内豊の大場栄を極限の中で成長させる意図が感じられた。まあ、唐沢俊一が悪目立ちするよりいいか。

 井上真央にはびっくり。スクリーンでの存在感がすばらしい。もうちょっとだけ、若い女性の色気をひろってくれると、よかったんだけど……。

  

 気になったのは音楽だ。クレジットで加古隆の名前が出て、ちょっとびっくりした。加古隆ならもうちょっと、がんばってほしい。とくに泣かせの曲とその使い方に困ってしまった。演奏の宮本笑里を立てなきゃいけなかったの?

 「ザ・パシフィック」や「硫黄島からの手紙」などを経たあと、どうなるかと思っていたが、よく研究しているし、めんどくさい愁嘆場がほとんどないので、日本映画じゃないみたいだ。まあ、大場栄の人物像をもっと描いてほしいという欠乏感は大きいんだけれど……。

 もうひと押しあったら、すごかったんだけど……とは、思いつつ、かなり楽しませていただきました。

★【洋菓子店コアンドル】
 これはすばらしい。ネタとしてはほんとうにささやかなスケールの作品なのだが、蒼井優演じるパティシエ見習いの主人公をはじめ、登場するキャラクターみなに存在感がある。

   

 ごつごつした鹿児島弁をしゃべる薩摩おごじょ、蒼井優のすばらしさ。意地っぱりで、がんこで、無鉄砲で、不器用で、でも一途な性格が鹿児島弁とマッチしている。そして、愛おしくなる。

 ちょっと遅目に劇場に入ったときぎょっとした。客席にいたのは男の単独客ばかり4人なのだ。一瞬、シネコンのスクリーンを間違えたかと思った。しかし、映画を観るに連れて、客席からいい空気が流れてきた。笑うべきところでくすりとしたり、啜る音が聞こえたり。

 脚本がていねいで無理なくまとまっていると思った。あるべきエピソードがあるべきところにきちんとおさまっているのは気持ちいいね。同じ監督の「白夜行」はやっぱり、脚本と堀北真希が問題だったのかもしれない。評判のいい「半分の月がのぼる空」もみなければ。

 「フラワーズ」、「雷桜」など、最近、映画では困った役が多かった蒼井優だが、今回は本当によかった。きっと劇場にいた男たちも満足だろう。


2011年02月19日(土)

★【ヒア アフター】
 イーストウッド御大の新作。御大の近作とはちがってオカルトめいた内容で、アメリカでの評判はいまひとつだったが、ぼくは「インビクタス」より好き。死という究極のディスコミュニケーションに対し、手探りしながら、言葉を求める人達のドラマだから。

  

 いままでの映画短評でもコミュニケーションということばはよく使ってきたが、伝えられるか、どう伝えるか、なにを伝えるか、いつ伝えるかというテーマがきちんと入った映画が、とても好きなのだ。

 死生の両岸を描くこの作品では、もちろん生者と死者のコミュニケーションの試みを描いているが、そのコミュニケーションから波及する生者同士のコミュニケーションもきちんと描いている。交わすことば、流す涙、肌と肌のぬくもりが、ひとつずつ染みこんでくる。

 身近な人の不意の死のあとの不安定さ、そして、世界の変化は、経験のあるものに迫ってくるだろう。ぼくも作中の少年のように兄弟を亡くしている。その対話を希求する気持ちにひたすら感情移入していた。

 強引な展開もあるし、賛否があるだろう部分についてもぼくは肯定的だ。それでも生者は命をもち、明日を目指して生きていかねばならないのだから。ディケンズの存在に光をあてたのもそんな幽霊と生者の願いがあればこそなんだろうね。ぼくははっきりと好きな映画でした。


2011年02月20日(日)

【ジーン・ワルツ】
 静かなる惨事というべきか。ひどい映画。血の通っていないセリフが、すべての状況を口で説明させ、野暮ったい演出が役者から下品な大芝居を引き出している。生きることの奇跡よりも原作のプロットを順ぐりに追うことだけを目指している。

 

 海堂尊原作映画の中でも最低だし、医療系作品としても最低だし、大谷健太郎監督作品としても最低だし、林民夫脚本作品としても最低。Wikipediaの原作解説のほうが、まだ、よくできている程度。

 スタッフなどをあまり気にせずに見ていたのだが、どこかのおじいちゃん脚本家、おじいちゃん監督が、昔ながらの演出をやってくれたのかと思っていたら、脚本も演出もおれより若いし、以前の作品も見てるし、なんでこんな惨状になったのか、よくわからない。

 あきれたのは医療ミステリーと銘打ちながら、ミステリーやサスペンスの構成要件をひとつ残らず、剥がしとっていることだ。原作を解体し、脚本に再構成するプロセスの途中で、なにか事故でも起こり、「とりあえず、順ぐりにやっておけ」という指示でも出たのか。

 作者のウェブサイトを見たら、試写会で内容を見て大人の対応をされているので立派だなぁと思いましたよ。プロデューサーにはそういう原作者接待能力はあるみたいだ。

★【毎日かあさん】
 テレビ局が関わったとは思えない抑制のきいた作品。小泉・永瀬の夫婦に抜群の子役まで加わって、その日を迎えるサイバラ家の日々を淡々とした豊かさで描いている。ほんとうにぼくは誇りある家族を見守る気持ちでスクリーンを見ていた。

   

 原作からさまざまなエピソードをアンサンブルさせた脚本はとてもたくみで、それぞれに重層的な意味を持たせている。でもとにかく小泉今日子がすごい。変な言い方だけど、小泉今日子の西原理恵子になっている。

 名前を知らないけど、うまい監督だなぁと思っていたら、上岡龍太郎の息子でしたか。

 監督のデビュー作「かぞくのひみつ」というのもおもしろそうだ。同じように上品でしたたかで深みのある内容なら、ぜひ見たいところ。

 それにしてもガンで余命宣告されて以降の永瀬正敏と鴨志田穣のシンクロ率は凄まじいものがあった。それほどのことを淡々と目を背けずに描写した緊張感にはことばもない。

 西原理恵子本人出演イベントには10回くらいいったんだけど、たぶん、今回の映画で西原らしくないものといえば、なにがあっても観察する視線と色気ではあるのふたつかな。

 4年前、パレスホテルで開かれた「鴨志田穣 お別れの会」にいったときのブログエントリー。 http://goo.gl/nXsFr

 小泉今日子が漫画家役をするのは「グーグーだって猫である」から二度目ですか。「グーグー……」も"吉祥寺"の漫画家の話だったなぁ。

 

2011年02月28日(月)

【恋とニュースの作り方】
 レイチェル・マクアダムス好きなので、多少ひいき目かな。機内映画でみたら、ちょうどいい内容でもある。

 一本調子の語り口はメリハリにかけるが、能力はあってもいまいちな二十代後半女性が、キャリアをつかむ様子が、パワフルに描かれていて、楽しかった。

 ハリソン・フォードの活躍部分がもうちょっとあれば、もっと好印象になる。

 また、二十代で全国ネットの朝ワイドのチーフプロデューサーになるなど、日本の常識と違うところが多少、ひっかかる。


【英国王のスピーチ】
 アカデミー作品賞と、アカデミー監督賞と、アカデミー脚本賞と、アカデミー主演男優賞作品。ひとつの時代の身分違いの友情の物語。とても良くできていて、最後は感動的だが、ぼくには予告編と史実から想像できる範囲のものだった。

    

 兄王と弟王のコントラストや時代の陰を巧みに配した脚本はもとより、演技も撮影もよかったのだけれど、「ソーシャル・ネットワーク」の興奮も喜びもなく、しばらく時間がたったら忘れてしまいそうな感じではある。

 いつもなら、もっといろいろ書きたくなるんだけど、あんまりことばが出てこない。老男女と、中年男女と、少女しか出てこない映画で、ほとんど、おねーちゃんが出てこない。そんな映画。

 ジョージ6世は、在位15年3ヶ月、戦後4年で亡くなっているのか。

 兄王役のガイ・ピアースのほうが、コリン・ファースより7歳若いのか。

※こちらのエントリーもどうぞ。

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