« シネコン至上主義#8 | メイン | シネコン至上主義#10 »

【映画2013】シネコン至上主義#9

【世界にひとつのプレイブック】、【横道世之介】をオススメ。

「水道橋博士のメルマ旬報」で連載中の「シネコン至上主義――DVDでは遅すぎる」のバックナンバーです。

試写会ではなく、都内のシネコンなどで普通のお客さんといっしょに
お金を払ってみた映画作品の推薦文です。
映画を映画館で見る理由となる3つの要素について五点満点で採点しています。
星が少なくてもお金を払って見るに足ると評価した映画だけを
紹介しています。
ここに紹介している作品は甲乙つけがたいものばかりです。
気になった作品なら、ぜひスクリーンでご覧になってください。

「スクリーン必然性」3D効果や臨場感、サウンドなど、
家庭のテレビ画面でなく、映画館で見る必然性を示します。
「インストール強度」人生の一部として、
自分の中にどの程度インストールされるかの目安です。
「おっぱい指数」映画に必要な裸の女優の割合を
物理的なものだけでなく、色気も含めて評価します。


1週間ほど、ニューヨークに滞在中で、
日本の映画館で映画を見られません。
話題の「ジャンゴ」も気になる「フライト」も見ていません。




【世界にひとつのプレイブック】

スクリーン必然性 ★★★
インストール強度 ★★★★
おっぱい指数   ★★★★

■推薦文
最高! エクセルシオール!

不貞した妻のことがそれでも忘れられないパット。
事故で夫と死別した傷が癒えないティファニー。
自分都合の身勝手としかいいようがない主人公二人の言動に
冒頭から中盤までどんびきだったのに、
最後にあふれ出る感動は比類のないものだった。
クライマックスあたりの展開はせっかちだけど、
これだけの内容と芝居なら文句はいえない。

とにかく人物描写に容赦がない。
監督のデヴィッド・O・ラッセルといえば、
「ザ・ファイター」で、うらぶれた老レスラーの姿を
容赦なく描いたことが思い出されるが、
経験を積んだ大人なら、
ここに登場するすべての人の言動のひとつひとつに、
かつての傷の痛みを思いだすはずだ。

そうだ。主人公ふたりをとりまく人々がすばらしいのだ。
ロバート・デ・ニーロは、ギャングでもボクサーでも謎の予言者でもない、
どこにでもいそうな父親を演じているが、
彼でなければ出せない滋味があふれてくる。
そして、彼ならではの抑制のきいたいびつさもうまい。

プロットの構成だけをむきだしにすれば、
ありきたりなドラマであるが、
重なったエピソードの濃密さと、
役者たちの好演がこの作品に命を吹きこんだ。

ジェニファー・ローレンスの熱演は、
「ウィンターズ・ボーン」、「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」、
「ハンガー・ゲーム」という過去作の印象をふっとばすものがある。
いままでことば少ないキャラクターばかりだったのに、
生きる力にみなぎることばの数々はどういうことだ。
女優としての顔を決める一本になった感さえある。


■採点理由
この映画の感動には劇場の闇が最適だから、「スクリーン必然性」は★★★。
いまの自分の境遇を変えるちからになりうるから、
「インストール強度」は★★★★。
乳首は出なけど、ジェニファー・ローレンスの生乳力が圧倒的だから、
「おっぱい指数」は★★★★と奮発。


■以下ネタバレ
デ・ニーロが演じる父親が、サブプライムローンによる金融危機で、
年金を打ち切られ、ノミ屋をやっているという設定がすばらしい。
試合の勝敗はすべて2008年の試合結果と重なっていて、
その年、フィラデルフィア・イーグルスは優勝したという。

主人公ふたりのいかれぶりばかりが目立つのだが、
デ・ニーロのジンクス依存も相当なものだ。

なにより好ましいのは、ダンス大会の優勝という絶対的な勝利ではなく、
ほどほどの達成度で、よしとしたこと。




【横道世之介】

スクリーン必然性 ★★★
インストール強度 ★★★
おっぱい指数   ★★

■推薦理由
人間には二種類いる。「おれも世之介みたいだった」というやつ。
「世之介みたいな友だち」がいたというやつ。

地方出身者ならば、
上京した世之介の驚きがそのまま自分の驚きとなるだろう。
東京出身者ならば、
世之介の常識と違う行動が、大学や職場で初めて出会う楽しい異物として、
感じられるだろう。

そのどちらにとっても「横道世之介」は、
通りすぎてきたひとつの時代を思い出させる時間をあたえてくれる。
この80年代上京ドラマのことごとくがデジャヴのようだ。
こんなやつはいたし、こんなこともあった。
どこまでも、どこまでも幸せな時間だったよ。

青春小説というべきか。
奇跡の起きない「フォレスト・ガンプ」というべきか。
時代と人との彩りあふれる交流を描く好編である。

自分がその年代で、やったこと、やらなかったことが
奔流のように思い出されてしまう映画である。
作中、あえて詳細に語らない部分に感動のツボがいくつもあって、
そこがまた、たまらない。

冒頭、ロングショットの新宿駅から、
西武新宿に移動するあたりのシーンのひとつひとつが、みごとだった。
駅ビルのマイシティという名称から、
歌っているアイドルグループ、通行人の衣装まで、じっくり眺めたよ。

時代設定は1980年代のどこかとしか語られていないが、
いまの30代後半から50代前半までなら、懐かしいと思える要素に満ちている。

まずは世之介に会いにいこう。
そして、いまとなっては奇跡としかいいようがない
二度と戻れないあの日に会いにいこう。

■採点理由
映画館にいく行為が自分を遡るタイムマシンになるから、
「スクリーン必然性」★★★。
これからインストールする映画というより
自分にインストールされたものをリフレッシュさせる映画だから
「インストール強度」は★★★。
この年ごろの同級生の水着姿ってことで「おっぱい指数」は★★。


■以下ネタバレ
これ、世が世なら、SMAPの"いい人"にキャスティングされそうな作品だよね。
そうならなくて、よかったよ。

その後の世之介の運命を考えると、生きて、人と関わることの意味が迫ってくるね。


★今月とりあげなかった映画
おすすめの映画をなるべく紹介したいのですが、
今回、いろんな理由で紹介しなかった映画は以下のものです。

「バチェロレッテ -あの子が結婚するなんて!-」
「遺体 ~明日への十日間~」
「ゴーストライダー2」

★近況
ニューヨークにいます。完全休日旅行でミュージカルを見たり、
美術館に行ったり、映画を見たり、現地の方にお会いしたり……。

ミュージカルでは「ブック・オブ・モルモン」が最高でした。
「サウスパーク」のトレイ・パーカーとマット・ストーンが書いた芝居で、
モルモン教伝道師が伝道先のウガンダで、
とんでもない体験をする濃いコメディです。
これはあらゆる意味で、日本では見られない舞台で、
思い出すだけで、楽しくなっちゃいます。


最新映画については、「水道橋博士のメルマ旬報」で、ご紹介!

※こちらのエントリーもどうぞ。

« シネコン至上主義#8 | メイン | シネコン至上主義#10 »

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

                

最近のエントリー

カウンターetc

人気ブログランキング - ゲームの王道 atom rss2.0
total カウンタ:today カウンタ:yesterday カウンタ

Pagerank/ページランク

人気記事ランキング

Google Adsense