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【映画2013】シネコン至上主義#13

【アイアンマン3】、【リンカーン】、【藁の楯】、【ラストスタンド】をオススメ。

「水道橋博士のメルマ旬報」で連載中の「シネコン至上主義――DVDでは遅すぎる」のバックナンバーです。

お金を払ってみた映画作品の推薦文です。映画を映画館で見る理由となる3つの要素について五点満点で採点しています。星が少なくてもお金を払って見るに足ると評価した映画だけを紹介しています。ここに紹介している作品は甲乙つけがたいものばかりです。気になった作品なら、ぜひスクリーンでご覧になってください。

「スクリーン必然性」3D効果や臨場感、サウンドなど、家庭のテレビ画面でなく、映画館で見る必然性を示します。
「インストール強度」人生の一部として、自分の中にどの程度インストールされるかの目安です。
「おっぱい指数」映画に必要な裸の女優の割合を物理的なものだけでなく、色気も含めて評価します。





【アイアンマン3】

スクリーン必然性 ★★★★★
インストール強度 ★★★
おっぱい指数   ★★

■推薦文
「アベンジャーズ」という巨大すぎる"体験"を経たあと、マーベルの映画はどうなるのか? その明白で断固たる回答がこの映画だ。「アベンジャーズ」という極大の花火を打ち上げたあと、ふたたび単品売りをするようになった構成要素になにができるかということをとことんつきつめ、育てあげてきたトニー・スタークというキャラクターから外れず、さらに進化させた完成度の高い作品だ。

衝撃的シーンがつぎつぎに明らかになっていく予告編の展開には、「そんなところまで事前に公開していいのか。ネタバレしすぎだろう」と思っていたが、それを杞憂にしてしまうほどの濃密な展開には、興奮しっぱなしだった。

展開のひとつひとつが、予想の数歩さきをいきながらも、「これでなければいけない」と納得させるものがある。

「宇宙刑事」シリーズで育ってきた大きなお友だちの心をつかむものがある。

日本映画では「これが最終章」とか「Final」とか軽々しい宣伝文句がうたわれるけど、そんな文句はここまでのテンションを見せてくれて、初めて言えることだ。

キャスティングもすばらしい。「ベン・キングズレーがそんな役、やってもいいの?」とか、「ガイ・ピアースの登場シーンにはびっくりだよ」とか、「グ、グウィネス・パルトロー……」とか、ほんとに楽しみどころが多すぎる。

これはIMAXで何回もみたくなるフルスペック・エンターテインメントだよね。

■採点理由
最良の上映環境で、とことん浸りたい作品だから「スクリーン必然性」は★★★★★。心地よい興奮とともに、気持よく劇場を出られる分。後味さっぱりだから「インストール強度」は★★★かな。おっぱいのかわりに意外なものが露出されて「おっぱい指数」は★★だね。


■以下ネタバレ
アベンジャーズ事件のPTSDに苛まれつつ、スターク・インダストリーズの社長の座をペッパー・ポッツに譲り渡し、髪結いの亭主の座に収まっているトニー・スタークが「アイアンマン」1作目と同様に裸一貫となって、高度に進化した日曜大工の技で再生するという話だから、すべての男のあこがれではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

無敵を誇ったアイアンマンスーツを剥ぎ取られ、圧倒的な敵からの屈辱に耐える。アイアンマンでなくなったトニー・スタークがアイアンマンはスーツとともに戦うことではなく、スーツがなくとも不屈の魂で戦うことだと確認する作品だった。

それにしてもグウィネス・パルトロー……。あのシックス・パックな腹は本人のものなのでしょうか。

【リンカーン】

スクリーン必然性 ★★★★★
インストール強度 ★★★★★
おっぱい指数   ★

■推薦文
日本での公開が遅くなったせいか、「リンカーン偉人伝」的ではなく、ある法律を通す内容が日本人にはわかりにくいという話が聞こえてきたが、そんなことは全然ない。憲法96条改正にむけて政府が舵を切ったいまの日本だからこそ見るべき映画だ。

アメリカは日本にくらべて歴史が短いと嘲笑う人は、理想と現実の拮抗について、これほどの葛藤があったアメリカの歴史を見つめなおすべきである。

政治ドラマとはいえ、議論だらけの辛気臭い映画というわけではない。知的に興奮するエンターテインメントになっている。

死屍累々の南北戦争という惨劇は食い止めなければならない。だが、戦争が終わってしまえば、改革の世論は静まり、かの「奴隷解放宣言」は空文化してしまう。そうなれば、これまでの犠牲も意味を失ってしまうだろう。そのためにはなんとしても、終戦の前にアメリカ憲法第13条を修正しなければならない。

この二律背反のサスペンスフルな状況の中、自分と同じ方向を向いているものの、急進的であるがゆえに、すべてを台なしにしかねない派閥と人がいる。多数党は抑えているものの日本の憲法と同様、議会の三分の二の賛成がなければ、案を通過させることはできない。映画の後半は生臭ささえあふれる票集めだ。

そのすべての中心にいるのが、ユーモアがあり、静かで強く、人を魅せる、揺らがず、真っ直ぐなリンカーンだ。ダニエル・デイ=ルイスって人は、さまざまに印象的な役を演じてきたが、「リンカーン」においては神がかってるとさえいえる。

国家の首長は胸を打ち、スピーチをするのが仕事ではない。ありうべき未来を人が触れる形にして実現させることがその職務なのだ。
正直にいえば「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」、「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」、「戦火の馬」とスピルバーグの近作は物足りないものが続いた。しかし、「リンカーン」はいまのスピルバーグにしか作れない決意と覚悟に満ちた、美しい作品だ。


■採点理由
室内シーンが多いとはいえ、スペクタクルそのものの映像もあり、濃密な画面設計の数々には、いくども、はっとする。だからこそ「スクリーン必然性」は★★★★★。映画を見終わって、反芻することばかり。だからこそ、「インストール強度」は★★★★★。残念かつ当然ながら、セクシーさはかけらもないので、「おっぱい指数」は★。


■以下ネタバレ
冒頭、奴隷解放宣言をリンカーンの口ではなく、白人兵と黒人兵それぞれの口からいわせた演出から、やられっぱなしだ。映画全体のモティーフをこれほど美しく描いたシーンがあるだろうか。そして、映画を見終わったあと。ジョン・フォードの名作「若き日のリンカーン」を心から見かえしたくなった。

【藁の楯】

スクリーン必然性 ★★★★
インストール強度 ★★★
おっぱい指数   ★★

■推薦文
むちゃぶりのエンターテインメントである。日本を舞台にしながら、その世界観が日本でないような気がしてしまう。行動原理のひとつひとつを冷静に見つめれば、矛盾や齟齬があるのだが、それでも抜群の演出力に押し流されてしまう。

「新幹線大爆破」や「太陽を盗んだ男」のような突き抜けた傑作を思い出させてくれるのだから、たまらない。

端整で緻密な映画では味わえない、常識を鈍器でがつがつと打ちつける快楽ってのがある。

大富豪の老人が孫娘を暴行殺人した犯人に復讐するため、犯人の殺害に十億円の懸賞金をかける。福岡で確保された犯人を48時間以内に護送するために、警察から5人が送られた。しかし、10億円という懸賞金に目がくらんだ全国民が犯人を襲う。

護送する犯人を守るために命をかける作品には、「3時10分、決断のとき」や「16ブロック」なんかがあるけれど、そこに「遊星からの物体X」や「ボディ・スナッチャー」、「ブレイン・スナッチャー/恐怖の洗脳生物」なんて、身近な隣人が敵になる恐怖が加わる。

犯人役を演じる藤原竜也はおなじみの若き異常者役で、「バトル・ロワイアル」とか「デスノート」とか「カイジ」とか「インシテミル」とか、この人はこういう役しかしないのかと、ちょっとうんざりもするんだけど、むやみにねじ伏せていく演出の中で、それさえも「恐怖の報酬」のニトロのかわりが藤原竜也なのだと納得すればいいだけの話である。

そういうさまざまな要素を叩きこんで、観客を振り回すさまは、富士急ハイランドの絶叫アトラクションを行列なしでハシゴするような快楽だ。人によっては、ゲロを吐きたくなるかもしれないが、それさえもこの映画の魅力なんだから、仕方ないよね。

■採点理由
この演出とむやみなスケール感を劇場で見ないのはもったいないから「スクリーン必然性」は★★★★。気持ちに嫌なものがきちんと残るが、ある種の開放感もあじわえるあたり、「インストール強度」は★★★ってところでしょうか。監督は39歳の松嶋菜々子の"女性"性には関心がないようなので、「おっぱい指数」は★★。

■以下ネタバレ
最初からヘリコプターを使って、移送させろよ。飛行機も便は変更できるし、飛行機を落とそうとした整備士は10億円受け取っても死刑になるだろうとか、なんでわざわざ山の中に入るのとか、ひとりが着ていた防弾チョッキをなんでこっちは着てないのとか、いろんなことを思いましたが、そういういまさらなツッコミを豪快にふっ飛ばしながら進む話ってのが、三池崇史演出の楽しさなんだろうな。

台湾高速鉄道を使った新幹線シーンはほんとうに楽しかったし、そこから生まれる無国籍感もよかったです。





【ラストスタンド】

スクリーン必然性 ★★★
インストール強度 ★★
おっぱい指数   ★

■推薦文
アクション映画のスターから、カリフォルニア州知事という形で、アガリに到達したシュワルツェネッガーが、知事という職もケネディ家の娘という嫁もなくしたいま、それでも65歳のシュワルツェネッガーであることを自覚してもどってきた純粋シチュエーションアクション映画。

シチュエーションアクションなんてことばがあるのかどうかはわからないが、まあ、シュワルツェネッガーという存在に最適化された状況の中で、ご都合主義の一歩手前でぎりぎりに踏みとどまりながら、愛されるシュワルツェネッガーという味わいを見せてくれる作品だ。

シュワルツェネッガーという着ぐるみを着たシュワルツェネッガーが演じてるみたいだった。

四半世紀前の「プレデター」のころは中央アメリカの特殊部隊を率いて戦っていたシュワルツェネッガーが、今度はヘタレな町の寄せ集めとともに戦うという演出は、「悪魔を見た」や「グッド・バッド・ウィアード」などで、ねちっこいアクションを撮ってきたキム・ジウン監督ならではの腕さばきが効いている。

「どうせ本人は死なない」というシュワルツェネッガー映画ならではの弱みは、仲間の血という痛みで補われている。アメリカの評論家の評価はいまひとつだけど、大丈夫です。シュワルツェネッガーというキャラクターが好きなら、きっと楽しめる娯楽作です。


■採点理由
気分的には、テレビの吹き替え放送で見てみたい作品だったりするので「スクリーン必然性」は★★★。後味スッキリだからこそ、「インストール強度」は★★。綺麗な女優はでてきても、ぜんぜんセクシーなシーンがないんです。お子様も安心な「おっぱい指数」★。


■以下ネタバレ
絶体絶命と言いながら、武器オタクがきちんと用意されているぬるさが、この映画ならではなのかもしれない。人質FBI女の裏切りなんかも全然生きてないとか、中途半端なところも多いんだけど、そこをツッコむような映画じゃないしね。

★今回とりあげなかった映画

おすすめの映画をなるべく紹介したいのですが、今回、いろんな理由で紹介しなかった映画は以下のものです。

【宇宙戦艦ヤマト2199 第五章】 シリーズものの一本でテレビ放映中なので、取り上げませんでしたが、興奮しました。

【ジャッキー・コーガン】 結局なにをやりたかったのやら、おれにはわかりませんでした。

【図書館戦争】  この近未来が存在する説得力以外は、よくできた映画でした。

【17歳のエンディングノート】 邦題はひどいが、ダコタ・ファニング鑑賞映画としてすばらしい。抑制の効いた英国製難病もの。

【ヒステリア】  ビクトリア朝時代の"電マ"誕生秘話というのは楽しみだったけど、予定調和的にまとまりすぎてました。

【モンスター】  「ヘルタースケルター」と「嫌われ松子の一生」と「高岡早紀の裸」を足して、20で割ったような薄い映画。

【ウィ・アンド・アイ】  ミシェル・ゴンドリー監督らしいセンスは堪能できるが、ミシェル・ゴンドリー監督らしい長さも感じてしまう。

【カルテット! 人生のオペラハウス】 ダスティン・ホフマン監督の演出はチャーミングで大好きな作品だけれど、あまりに素直すぎて……。

【ハッシュパピー バスタブ島の少女】 自分は母親を喪った少女がエキセントリックな行動をする映画は苦手だし、環境問題がからむ映画も苦手だったんだ。それを思い出しました。

★近況
ゴールデンウィークは公開される映画がひたすら多く、映画館で順番に見ていくだけでも大変です。うれしい悲鳴なのですが、そんな中でも、いちばん見たい「セデック・バレ」がなかなか見られないのが、つらいところです。


最新映画については、「水道橋博士のメルマ旬報」で、ご紹介!

※こちらのエントリーもどうぞ。

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