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【映画2013】シネコン至上主義#16

【スプリング・ブレイカーズ】、【インポッシブル】、【箱入り息子の恋】をオススメ。

「水道橋博士のメルマ旬報」で連載中の「シネコン至上主義――DVDでは遅すぎる」のバックナンバーです。

お金を払ってみた映画作品の推薦文です。映画を映画館で見る理由となる3つの要素について五点満点で採点しています。星が少なくてもお金を払って見るに足ると評価した映画だけを紹介しています。ここに紹介している作品は甲乙つけがたいものばかりです。気になった作品があれば、ぜひスクリーンでご覧になってください。

「スクリーン必然性」3D効果や臨場感、サウンドなど、家庭のテレビ画面でなく、映画館で見る必然性を示します。
「インストール強度」人生の一部として、自分の中にどの程度インストールされるかの目安です。
「おっぱい指数」映画に必要な裸の女優の割合を物理的なものだけでなく、色気も含めて評価します。

【スプリング・ブレイカーズ】

スクリーン必然性 ★★★★★ インストール強度 ★★★ おっぱい指数   ★★★★★

■推薦文
「スプリング・ブレイク」とは大学などの春休み。アメリカでは学生が旅先ではじけるシーズンとして、フロリダなどのリゾート地が大変な騒ぎになるらしい。地方の大学で退屈な日々を過ごす4人の少女が、刺激に満ちた可能性を探すため、フロリダのリゾート地ではじける。それもすさまじい形で。

去年、10月下旬に東京国際映画祭で、一足先にこの映画を見たとき、こんなことをツイートした。

" 水着のおねーちゃんがマシンガンをぶっぱなす系で史上最高の映画。最強最悪の自分探し映画であり、学生の春休みを描いたスプリングブレイクものとしては「ピラニア」もあるけど、どんな危険なピラニアより、ビッチのほうがおそろしい。すげー楽しい映画。"

TOHOシネマズ六本木の7番という都内最大級のスクリーンの前方席で見たのがよかったのかもしれない。

監督のハーモニー・コリンが強い印象をみせていた1990年代は仕事で忙しく、ミニシアターまでいくこともなかった。予備知識はまったくない。「おっぱい指数」重視のおれとしては、ビキニのおねーちゃんが大量に出演してむちゃくちゃやってるみたいなタイトルが映画祭チケット予約サイトにあったので、条件反射的にポチッと押したまでのことだ。これがよかったのかもしれない。

巨大なスクリーンを埋め尽くすビキニビキニの花畑。時間軸を揺らす編集。呪文のように繰り返される「スプリング・ブレイク・フォーエバー」の独白。どこにたどり着くかわからないストーリー。過剰でありながら別れの寂しさも漂わせるフロリダのすえた空気感。ぜんぶがエネルギーとなって、巨大なスクリーンからあふれだしてくる。

今回、地元のシネコンで2回目を見て、そのときほどの陶酔はなかった。多くの再見映画と同様に尺が短く感じられた。冒頭の強盗シーンなど、頭のなかで膨れ上がってて、「あれ?  1回で終わってたっけ?」なんて感じもした。脳裏でなにかの映画と混同したのかもしれない。

それでも一回目よりもさらにさらに愛おしい映画となっていた。

エイリアン(ジェームズ・フランコ)がなぜ彼女たちに近づいたのか、その心情が伝わってきた。

時と人と場と……。三者が織りなすケミストリーを感じられた。

だれかにこの映画をすすめるのは気後れしたりもする。「よくわからない」といわれるかもしれない。背景や解釈法を伝えれば、理解が深まる映画とも違う。でも、映画館の大きなスクリーンで、目の前の情景に身をゆだね、この高揚感は堪能してほしい。


■採点理由
おっぱいは大きなスクリーンで見るものです。だから「スクリーン必然性」は★★★★★。この体験で人生は変わらないけど、陶酔の郷愁として、ときに思い出されるだろうから「インストール強度」は★★★。上映時間のほとんどがビキニですよ。監督が自分の嫁をおっぱい要員として配置してるんですよ。「おっぱい指数」は満点の★★★★★。


■以下ネタバレ
「ここじゃないどこか」の象徴がスプリング・ブレイクなのだが、映画では「スプリング・ブレイク・フォーエバー」という、独白が何度もくりかえされる。最初は少女たちがそう言っているのに、気がつくと、地元民のエイリアン(ジェームズ・フランコ)がそれをくりかえしている。ニュアンスがシフトしているのだ。彼にとってもスプリング・ブレイクは得がたく、希求するものなのだ。

人生のスプリング・ブレイクを永遠のものとするにも、ライト・スタッフ(正しい資質)がいるのではないか。

資金集めの強盗に参加せず、敬虔な宗教的コミュニティの息苦しさから、スプリング・ブレイクに旅立ったフェイス(セリーナ・ゴメス)は、釈放後、エイリアンと会ったあと、みずからスプリング・ブレイクからの離脱を決めた。

過剰に順応し、過剰に弾けたコティ(レイチェル・コリン)は被弾して、スプリング・ブレイクを続けられなくなった。

そして、地元でスプリング・ブレイクを追い求めたギャングのエイリアンは、死という形で、自身のスプリング・ブレイクを永遠のものとした。

そして、生き残ったふたりのスプリング・ブレイクはどこまで続くのだろう?

エイリアンがピアノを弾きながら、ブリトニー・スピアーズのバラード「Everytime」を歌い、銃をもった女の子たちがそれに聴き惚れるあたりで、ぼくは男として、エイリアンに感情移入してしまった。

「ここ」がいつもあるように、「ここじゃないどこか」もいつもある。そこにいられるかどうかは、わからない。

【インポッシブル】

スクリーン必然性 ★★★★★ インストール強度 ★★★ おっぱい指数   ★★★


■推薦文
すさまじい映画だった。ぼくは映画館の暗やみの中で、タイのリゾートビーチにいて、スマトラ沖地震による津波と遭遇。水面下でもがきくるしみ、なんとか、一命をとりとめたものの、傷だらけとなりながら、家族を探した。

純粋に体験する映画といってもいい。

もちろん、ぼくらの国も巨大な津波の被害に遭い、その傷跡はいまも残っている。だから、この映画の話を聞いたとき、公開されるかどうか、危ぶんだのだが、無事に公開されたのはなによりのことだ。もちろん、いやというほど、津波の惨状は見てきた。だが、津波の中でもがく体験はなかなかできない。

韓国映画で「TSUNAMI -ツナミ」なんてパニック映画もあったけど、そんな比ではない一人称の津波体験が、ここにある。

とりわけ主演のナオミ・ワッツがすごい。地獄のような体験から、死に瀕していく母親の姿をくっきり描いている。

実話をもとにして描かれる体験にくらべたら、映画らしいストーリーはほとんどないのだが、それでも壮絶な体験を通して、成長する家族の姿はきちんと描かれている。

この映画はサウンドがすごい。いいスクリーンのいい音響で聴いてほしいのだが、日本では東京の「シネマサンシャイン平和島」で唯一対応している音響システムimm 3D soundにはネイティブで対応しているそうだ。プラネタリウムの星のように全天に散りばめられたスピーカーから浴びる音響は、ぼくも聞きにいきたいと思っています。


■採点理由
全身を包みこむサウンド設計は映画館だけのものだから「スクリーン必然性」は★★★★★。そのまんま体験する映画なので「インストール強度」は★★★くらい。ふたつのシーンで、ナオミ・ワッツがおっぱい出してますが、状況が状況だけに欲情はしませんね。「おっぱい指数」は★★★。


■以下ネタバレ
この映画の中でだれが生き残って、だれが死に、だれが再会できるのか。もちろん、会おうという努力はなされても、すべてが津波という悪魔の抽選機のなかで、もみくちゃにされ、運良く生き残り、運悪く死んでしまうだけのことなのだと、つくづく思い知った。

過剰にエモーショナルにはせず、話を強調しすぎることもなく、それでも圧倒的な自然災害を再現することに務めた作りはすばらしい。ジェラルディン・チャップリンが唐突に登場して、星を語っているあたりは、にやりとしたけどね。

【箱入り息子の恋】

スクリーン必然性 ★★★ インストール強度 ★★★ おっぱい指数   ★★


■推薦文
「35歳の童貞男」とタイトルを付けてもいいような設定。貯金が趣味で、35年の人生で一度の恋愛経験もなく、出世欲もない。毎日が実家と役所の往復だったさえない男が、ひとりの女性との出会いで成長する。ただ、その少女は全盲だった。

完全にのめり込んでみてしまった。

設定そのものは古典的な恋愛劇から連綿と受け継がれた構図ではあるのだが、登場する人々の姿やセリフ、展開や演出がバランスよく現代的で、かといって、テレビドラマ的な説明過剰にはなっていないので、うれしくなってしまう。

主演の星野源はみごとなブサ男を演じてたが、ネットから画像を見たら、いい顔をしているのでちょっとびっくり。ヒロインの夏帆はドラマ「みんなエスパーだよ!」のパンチラヤンキーとはまったく印象が違う全盲のお嬢さん役だが、すばらしく愛おしくなってしまう。

美談調でもなんでもない、コメディ要素あふれるドラマなのがいいし、非モテの恋愛のプロセスやディテールをていねいに描いているのも好感が持てる。

見終わると、吉野家でつゆだくを食べたくなっちゃうのもすてきです。

■採点理由
笑って泣いての恋愛映画を見るのに、映画館以上の場があるだろうか。「スクリーン必然性」は★★★。だれかを真剣に好きになることは、人を成長させるんだなぁと思い出させてくれるから、「インストール強度」は★★★。露出は少ないけど、夏帆のすてきに官能的なシーンがあるので「おっぱい指数」は ★★ってところでしょうか。

■以下ネタバレ
クライマックスの展開はすさまじく強引だけで、あとから考えると「あれ?」ってなっちゃうのだけれど、つまり、それは心意気の問題ってことなんだろうね。

★今回とりあげなかった映画

おすすめの映画をなるべく紹介したいのですが、今回、いろんな理由で紹介しなかった映画は以下のものです。

【華麗なるギャツビー】 バズ・ラーマンらしい絢爛豪華な映像と構成には酔ったけれど、物足りなさが残りました。
【ローマでアモーレ】 ゆるいほうのウッディ・アレンで、よくできた創作落語の独演会でした。
【宇宙戦艦ヤマト2199 第六章】  七色星団会戦! これは燃えた。映画館で観て後悔しないすごい作品になってます。
【俺はまだ本気だしてないだけ】 社会からドロップアウトした中年を生暖かく描いたキャラクター映画。
【G.I.ジョー バック2リベンジ】 ラッセル車のようにぐいぐいアクションする映画。理屈なんてあとでいくらでもついてくるって感じ。

★近況
大森南朋と二階堂ふみが出演する舞台「不道徳教室」がすごくよかったです。
よかったんだけど、隣りに座ったおじさんがひどかったのです。やたらと鼻をすする。喉を鳴らす。しかも早いタイミングで鼻息笑いをする。フフフン、ジュル、ジュルル、グガルル、フー、フフフン、ジュ、ジュルルみたいな音が耳元でずーっと鳴ってて、ほんとに気持ち悪かった。小さい音でも耳元で延々聞かされるとつらいものがあります。映画館ならそっと注意できるし、席を移ることもできるんだけど、満席の芝居では、そういうことができなくてつらかったよ。途中で睨んだり、体をねじって、耳に手を添えるなど、音を遠ざけようとしたりしたんだけど、全然だめでした。かんべんしてほしいなあ。

最新映画については、「水道橋博士のメルマ旬報」で、ご紹介!

※こちらのエントリーもどうぞ。

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