DIARY1998 DEC.11〜20

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1998年12月11日

さくまさんと宮路さん、原口さんと飲む
夕方、新宿にある「ライオン」で、
おなじみのさくまあきらさん、宮路一昭さん、ムサシノ広告社のIさんと
お酒を飲む。

ゲーム「桃太郎」シリーズのさくまさんは、
みなさんご存知だと思うけど、
ミュージシャンの宮路さんとお会いするのは、これで2回目。

最近、インターネットをはじめた宮路さんが、
ぼくにメールをくださり、
その後、とんとん拍子で、今日の飲み会になった次第。

とにかく、ほぼ同じころに生まれた九州出身同士で、
メールのやりとりをしても、すっごく気が合う感じ。
それでとるものもとりあえず、飲みましょうってことになったわけだ。

ちなみに、飲酒担当はぼくとIさん。
さくまさんと宮路さんは食事担当。
おふたりとも、本当においしそうに食事をされるのは、
いっしょにいて気持ちがいい。

さて、さて、最近は「桃鉄」シリーズや「さくま式人生ゲーム」で
ゲーム音楽をされている宮路さんだが、
キャリアがすごい……。

当然、作曲やアレンジもされるが、
セッションに参加されたアーティストといえば、
一世風靡セピア、マリーン、TARAKO、渡辺美奈代、カズン、浅香唯、
河合その子、新田恵利、高村亜留、川村万梨阿、坂本千夏、鈴里真帆、
杉田二郎、布施明、中西保志、西村智彦(SLT)、柳葉敏郎、
秋本奈緒美、小粥よう子、グラスバレー、MIO……と50人以上!

もう、名前を聞いただけで、あの時代を思いださせてくれる面々ばかり……。

それでいて、すっごくフランクに話をしてくれるので、
柴尾としてもうれしいばかり。

インターネットの話題やそれぞれの近況、
「あのころ」の話、ゲーム業界話と
ここで書くのはもったいない話ばかり。

さくまさんとIさんがお帰りになったあとは、
原口一也さんが合流。
西新宿の焼き鳥屋へ!

原口さんとくれば、プロレスでしょう!
熱きプロレス話からはじまり、
やっぱり、しみじみと業界ネタ。

さらに、あのころのラジオの話題ということで、
宮路さんとぼくの新たな共通点が発見された!

なんとふたりともSONYの高性能ラジオ、
スカイセンサー5900を持っていたのだ!

懐かしきあの時代。
当時、中学生の柴尾はBCLってやつに、はまり、
世界中の短波放送を聞きまくっていたのだ。

屋上にアンテナを張り、アンテナカプラーやプリセレクターと接続。
繊細なタッチで、チューニングをとったあのころ……。

はじめて、英文で手紙を送ったのもあの時代。
当時は、受信レポートを海外の放送局に送ると、
ベリカードってやつをくれた。

うちには200枚くらいあったはずだけど、
いまはどうなっちゃってるんだろうね。

そんなこんなで、お開きになっちゃったわけだが、
全然話したりないぞ!

みなさん、また飲みましょうね!


1998年12月12日

おいらの誕生日
柴尾英令、36歳の誕生日。

インターネットをはじめたおかげで、
みなさんからのお祝いメールやお祝い書きこみがいっぱい!

ありがたや! ありがたや!

さて、うれしいことがもうひとつ!
この「ゲームの王道」が
細田均さんのウェブサイトで、
「お勧めサイト60選」に選ばれましたぁ!!

今後の期待値こみの評価だと思うけど、
とってもうれしいっす!
おかげさまで、やる気まんまん! がんばるぞって感じ。

はじめてのオフ会
今日のメインイベントは
清水賢治さん主催
「没のホームページ」のオフ会!

インターネットをはじめて、2ヶ月半、
「オフ会」ってやつに、あこがれていたのです。

集合時間から20分ほど遅れて、
日暮里駅から、谷中、よみせ通りの「鳥よし」へ。
店の中に入り、一気に曇った眼鏡のかなたに参加者の面々が!

眼鏡の曇りが晴れるころ、
一気に名刺交換会。

この時点で、参加者は、ぼくのほかに
清水賢治さん、Masamiさん、Ludens@古川さん 、
くますけさん、みづさん、
海さん、くみさん、若葉さんの総勢九名。

いやはや、
話をするにつけ、顔とハンドルネームが一致していくのが
おもしろいっす。

柴尾も酔っぱらって、
「作家、高瀬美恵の秘密」を語ろうとしたところで、
ご本人が来場!

ちっ!

柴尾はみなさんから誕生日プレゼントをいただき、
にこにこ状態!
どうもありがとうございました!

こんなにプレゼントもらったの、小学校の「お誕生会」以来です。

ふぐちりをしこたま食ったあとで、
タクシーに乗り、銀座へ。

古川さん、ごひいきのドイツビアホール「ゲルマニア」へ。
いきなりの濃密独逸歌謡空間にたまげるが、
人間には順応力があることを思い知らされました。

最後はカラオケボックスになだれこみ、
深夜2時ごろ、終幕。

いやはや20代から、40代まで勢ぞろいの面々が、
こうやって、イーブンでお話するのって、
いいっすね。

つぎのオフ会を楽しみにしてます!


1998年12月13日

業界人とのインタビュー総括
湯川専務が常務に降格?
って、いったい……。

さて、前日のオフ会の余波で
むちゃくちゃいっぱい寝た一日!

なんにも書くことがないから、
「ゲームライター」エッセイの先取り掲載(笑)。

題して、「インタビューという仕事(仮)」。

ぼくはワセダミステリ・クラブのOBなのだが、
いぜん、後輩から会報に載せるための
インタビューを受けたことがある。
(詳細は日記のどこかに書いてます)

その後輩から
その「ゲーム・フェニックス」誌(非売品)の
チェック用原稿が到着した。

なんだか、お行儀がいい(笑)柴尾がそこにいる。
しかも、スーパーマンみたいに
えらそうなゲームデザイナーだなぁ。

自分でもインタビュー仕事は好きだし、
インタビュアーとして、その原稿をまとめることも多いけど、
インタビューイとしての自分に対して、
ほかの人がまとめた原稿を読むのは、
不思議な気分だ。

ちなみにインタビューを受けることに関してぼくは
「編集権」を尊重したいという立場なので、
詳細な文体や視点について、
あまり、口をはさまないというのが、方針。

今回も
事実関係で、若干の修正は必要だが、
おおむねOK。

来週あたり、もう一度会いたいとのことなので、
そのときに伝えることにする。

なにより、ほかの人間のフィルターを通して
浮かび上がる柴尾の姿を見るのは好きなのだ。

まるで心の鏡を見てるみたいだからね。

牛肉やジャガイモといった同じ素材(インタビューイ)でも
コック(インタビュアー)次第で、
カレーになったり、シチューになったりする。

なかには、味噌汁にしちゃうコックもいるけど、
それはそれでOK!

ジャガイモにはジャガイモの味が
しっかり残っているわけだから。

事実関係さえ、まちがってなければ
ぜんぶOKです。

一方、逆の立場で
自分の書いたインタビューをチェックされるのも好きだったりする。

女房もインタビュアー仕事をよくしているのだが、
とんでもない直しを要求する方もたまにいると聞く。

「あんた、あのとき、そんなこといってないじゃないか!」
って、
ついつい申しあげたくなるような方もいらっしゃる。

校了紙が、真っ赤で、新規入稿状態になったりする。
それなら、
最初っからエッセイを書いてもらったほうがマシ。

さいわいゲーム業界には、
そこまでやられる方(バカ)はいない。

いままでお話させていただいた業界有名人、
宮本茂さん、堀井雄二さん、中村光一さん、
さくまあきらさん、飯野賢治さん……、
などなど
チェックの仕方で、
その人の「やさしさ」とか「気遣い」、あるいは「逆鱗?」が
透けてみえるのがおもしろい。

みなさん、気をつけてくださいね(笑)。

ちなみにお会いするのは感動的にうれしいけど、
あとが大変なのが、宮本茂さん。

関西弁のフランクで気遣いに満ちたトークをうかがっているときは、
とても明快でわかりやすく、
こちらもふむふむと内容を理解していたはずなのだが、
いざ、テープ起こしをして、テキストに直してみると、
あれれって、感じになる。
句点をつけてまとめるべきことばが、足りなかったりするのだ。
主語と修飾語はいっぱいあるけど、
述語が足りない感じ。

こちらも職業倫理として、足りないことばを
かってに付け加えることはできない。

長時間つきあってくださったインタビューを
比較的短くまとめる必要もあって
かなりダイナミックな編集をさせていただいた。

その上で、宮本さんは、
ほとんど修正を要求されなかったから、
ほんとにありがたかった。

あらためて感じたのは、
宮本茂さんって、ビジュアル的なロジックを
カリスマ的な人柄というツールで
他人に伝える人なんだなってこと。
そのあたりに、ゼルダやマリオの秘密があるのかも……。

一方、HAL研社長の岩田さんやチュンソフト社長、中村光一さんなど、
プログラマー出身の方のロジックは
すっきりしていて気持ちがいい。
生のままの聞き書きで、原稿にできちゃうほど。

あ、それって、すぎやまこういちさんや田中公平さん、
作曲家の方にも
いえてることかもしれない。
話しことばのロジックがすっきりしていて、
まとめやすかった。

あれは音のロジックを五線譜にまとめる作業から、
生まれる特性なのかしら。

本人がインタビュー慣れしてるか、どうかという
問題もあるけど、
総じていえるのは、
人柄がゲームや作品にでてるということ。

すると、柴尾の人柄って、
「レナス」や「レガイア伝説」にでてるってことなのかな。

それはそれで、いやかもしれない(笑)。


1998年12月14日

ある編集者からの「レガイア評」
ネット巡回中、
漫画家いしかわじゅん先生のホームページにて、
宅配便業者と宅配便ボックスがらみのトラブルに関する記述。
おどろいた!
うちでもすこし前、同じ業者と同じようなトラブルが発生したのだ。
うちの場合は、女房がトラブルに遭ったのだが、
あまりの酷似ぶりにぞっとして、早速いしかわ先生にメールを送付。
その後、いしかわ先生から返信いただいたメールからも
事件の酷似ぶりは、おどろくばかり。

うーむ。同一人物のしわざかな。

基本的には腰痛をこらえながらの自宅作業の一日。

それだけではつまらないので、
知人である某漫画誌編集者からいただいた
「レガイア伝説」の感想メールを
(ここに転載させていただく許可をいただいたので)
抜粋してご紹介しよう!

8時間プレイで、第一の霧の巣クリア後の感想だ。
改行、省略はすべて柴尾。

(感想その1)
-先日の日記に関する記述を省略(柴尾)-

(感想その2)
-他誌のレビューに関する記述を省略(柴尾)-
確かに1ターンの入力回数は多いけど、
それが面倒くさいなら 何も考えずにボタンを連写すればいいじゃない!
勝手にある程度はキャラが技も魔法も覚えていってくれるんだから。
凝りたい人は凝ればいいし、めんどくさい人は何も考えずにできる、
きわめて親切設計なのに、何でそんなこと言うかなあ?

(感想その3)
ご存じの通り、僕はRPGはあまり好きではありません。
そんな僕が攻略本も見ずに、さくさくいける
親切な造りになっていると思います。
僕は当然のごとく説明書は読まず、
4つの像が教えてくれた
システムの解説は斜め読みして、ゲームを続けましたが
やっているうちに凝っている部分に気がついてきて、
じっくり戦闘をやるようになってきました。
これはお世辞じゃなくて、さくまさんのゲーム並に親切じゃないかな?
セーブポイントの場所とかもしつこいくらいでてくるし。
ムービーシーンも長からず短からずで、
-他メーカーのゲームに関する記述を省略(柴尾)-
いらいらせずにすんでます。

(感想その4)
3つの聖獣(でしたっけ)のキャラ出しが見事。
あんな感情移入しにくそうなものに3種の性格、よくつけましたね。
神聖、母性、異性それぞれの愛の象徴じゃないかと
思ったのですが、どうでしょうか?
漫画だったらこれどう表現するかな?
主要キャラの感想はもう少し物語が進んでから述べます。

この前後にもいろんな記述があるのだが、
ちょっとやばい部分もあるので、省略!

個人的にうれしかったのは、(感想その4)だった。

主人公3人とそれぞれネガポジ関係にある聖獣のキャラ設定は、
かなりデリケートに作った部分なので、
キャラ作りの専門家たる漫画編集者の方に
指摘していただいたのは、うれしいっす。

自作について自分で語るってのについては、
ある種の無粋さをともなうので、
いろいろと躊躇するところもあるんだけど、
こうやって「伝わっているんだな」ってことがわかるメールをいただくと、
クリエイター冥利につきる。

以前、女性のファンから、
「レナス2」の感想のお手紙を長文でいただいたこともあって、
その卓越した読解力と緻密な分析力に
舌を巻いたこともあるけど……。

だれかに「伝わってる」感触ってのが、返ってくるだけで
ものを作る元気が生まれてくるもんです。

個人的には「たかがゲームじゃないか」って感じのスタンスで
飄々とゲームを作りたいんだけど、
3年もかかって作っているうちに、
いろんな思いがたまってくるもんです。

映画や小説同様、ゲームって、
人(製作者)と人(視聴者・読者・ユーザー)とのコミュニケーションだと
思ってるんだけど、
われながら、めんどくさいコミュニケーション法を
とってるもんだなって、つくづく思う。


1998年12月15日

LDやら洋書やら買いまくる一日
東京神保町の小学館にいき、
「週刊少年サンデー」編集部にて、
Iさんと「電脳遊撃隊」ページの打ち合わせ。

終了後、漫画専門書店「高岡書店」へ。
最近(なぜか)仲間うちで話題の漫画「女帝」最新巻をはじめ、
いろいろと7〜8冊買う。
つづいて、半蔵門線で渋谷へ。
輸入LD&DVD専門店「Sale」で、
「Wild Things」を探すが、売りきれ。注文しておく。

さらにTower Recordの洋書売り場へ。
ここはときに、とんでもなくうれしい本がならぶ宝庫となるのだが、
今回はからぶり。
なにも買わないのは、しゃくなので、
仏「PHOTO」誌や「Pirreli Calendar」写真集を買う。

さらにLD売り場へ。
一時期はあれほど、いれあげたLDコレクションだが、
さすがにDVDへの移行期だけあって、
新作ラインナップもお寒いかぎり。
「北京原人」のLDとか、「不夜城」のLDはでないのかなぁ。

ふと横に目をやると、
「Post Pet2001」の初回限定アイリスセットがふたつ……。
さびしそうにしてたので、ひとつ買ってあげる。
残りのひとつもいい人に買ってもらえるといいね。
(でも、専用メールアドレスができるまで、インストールしない)

このあたりで「買う買う回路」が完全に発動してしまったようだ。
殺人的帰宅ラッシュの山手線で、池袋へ。
西武デパートの書籍販売部Libroへ直行。

インターネットにはまっているここしばらく、
大きな本屋にいってなかったので、
買いそこなっていた本の多さに、狂喜する。

別冊宝島4冊に「創」や「朋友日記最終巻」、
「旅行人」、漫画数冊……。
あまりにも荷物が多くなったので、
文芸書や写真集を買うのは断念。

やっぱり普段まめに買っていないから、こんなことになる。
「戦後の買い出し」状態で仕事場へ。
両手が抜けそうだ。

昨日の日記をアップし、ちょっぴりお仕事をして、
なおさんとこのチャットへ。
深夜一時、女房の待つ自宅にもどる。
いろいろとおしゃべりをしているうちに、深夜3時。

「積ン読」状態だった塩野七生の
「ローマ人の物語」最新巻を読み始める。
おもしろい!
皇帝ティベリウス、カリグラなどを
身近にいる人間に当てはめながら、読んでいると、たまらない。

「レガイア伝説」の設定を作っていたときには、
2〜3巻あたりを読んでいたので、
これが、当時の敵キャラネーミングに反映されていたのを思い出す。
カルバヌスとか、セキアスとか……。
敵の〈獣〉はローマ人の名前系にまとめていたのだが、
語尾がみんな「ウス」とかで
日本人には覚えにくいと不評だったので、
一気に変えてしまった。
(例:ロンギヌス→ブルテリオ)
そもそも、おれはかぶれやすい性格だ。

ネロのあたりまで読み進んだあたりには、朝8時!
やばい!

あわてて寝ようとする。
が、興奮して、寝つけない。

結局、目がさめたのは午後1時。
放縦な一日……、なのかな?


1998年12月16日

エクセルショック
秘密の会議のため、資料をまとめる途中、
エクセルが吹っ飛ぶ。

大ショック……。

あらためて、手もとの資料をもとに、
一気に作り直して、メール送信。

しかし、秘密の会議には遅刻してしまった……。

今日の日記はひさしぶりに短いぞ。

これから、ゆっくり本のつづきを読もう!


1998年12月17日

新しい某メーカーへ
やばい! 寝坊した!
そう思って、とびおきたのが、午前11時。

今日は「週刊少年サンデー」のI氏と、
待ち合わせをしていたのである。

いそいで、日課のメールチェック&BBSレス。

メシも食わずに都内某所へ!
電車の乗り継ぎがうまくいったせいか、
無事に12時30分に約束の改札口に到着。
ほっと胸をなでおろしたものの、
I氏は、なかなかやってこない。

いらいらしながら、
携帯や自宅に電話を入れるものの、つかまらない。

おかしいと思い、あらかじめ、いただいていた地図を見ると、
先方のメーカーとの約束の時間が記してある。
午後2時のアポ………。

30分前に待ち合わせの約束をしたはず……。

ということは……。

そうなのだ。
つまり、ぜんぶ柴尾が悪いのだ。
13時30分の約束なのに、12時30分に待っていたのだ。

自分が嫌いになり、ドトールのアイスコーヒーで
心を慰める。

都内「某」所の、「某」メーカーにて、新作ゲーム「某」の
初見&誌面展開の打ち合わせ。

その後、新宿のヨドバシカメラへ。

夢のISDN環境計画の第一弾として、
NECのターミナルアダプターを購入。
ほかにアプリケーションソフトを数点……。

レビューと採点
仕事場に帰ると「Game Walker」の最新号が届いていた。
さすがに年末だ。
発売日がいつもより5日ほど早い……。

ここで、いいわけをひとつ。

誌面をご覧になった方なら、
おわかりのように、
今回はレイアウトデザインが変更された上、
100点満点で総合評価を採点するようになっている。

なにより、ぼく個人はゲームソフトの採点というのが
まず、好きじゃないのだ。
(人がやるのは、まるっきり、かまわない〉

作る立場と書く立場、
自分の中では分けてるつもりだけど、
やはり、一見、客観的にみえる絶対値で
ポイントをつけるのは、いやなのだ。

ぼくはゲームを料理にたとえることが、
好きなんだけど、
食べたもの(遊んだもの)にポイントをつけるという行為が
なにより無粋に感じられてしまう。

同誌のレビューでは……、
1)発売後のソフトを
2)自分あるいは編集部で購入して
3)最低30時間程度かエンディングを見るまでプレイして、
4)点数ではない評価をする。
ということでやってきた。

創刊当初から編集長はいくたびか変わり、
担当編集は3人目だが、
そのあたりのことは、理解してくれていると思っていた。

だから、今回、レイアウト変更の話こそ、
編集部から聞いていたものの
実際に原稿を書く直前、
ファックスで届いたレイアウトを見て、ぶっとんだわけだ。

この「総合評価●●点」って、なに……?

その後、電話で編集部の意図と趣旨を聞かせてもらった。

読者が
(いちいち本文を読む前に)、
誌面をさっと見るだけで、
ゲームそのものを評価しているのかどうかを
わかりやすくしたいとのことだった。

非常によく理解できた。
さらに、点数の部分だけを修正して、
ほかのやり方にしてもらっても、かまわないとまで、いってくれた。

こちらの立場まで考えて、
そういう風にいってくれると、柴尾は弱いのである。
なんとなく「粋」を感じると、
なんとかしちゃおうと考えるのが、ぼくだったりするのだ。

数時間、考えたあとでお答えした。
「わかりました。今回は超名作”ゼルダの伝説”ということもあるし、
あらかじめ満点の100点にして、かまわないのであれば、
レイアウトもそのままで、書かせていただきます」

まぁ、そんなことをいって、原稿を書いたわけである。

それにしても、そのときのことを、
いまこうして書いてみると、
なんか、わけのわかんない紆余曲折の考え方をしていたのだな
と、思わないわけではない……。

要するに、クリエイターが採点レビューをやると、
この世界で生きにくくなるかなって、
臆病さもあったのかもしれない。

いや、あったんだね、これがきっと……。

で、まあ。
「GameWalker2月号」をぜひお買いください。
で、78〜79ページをお読みください。

ぼくの逡巡が文章にでていて、
笑えるかもしれません。

立ち読み厳禁!


1998年12月18日

「ファミ通」グループ忘年会
今日は「ファミ通」グループのパーティ。
池袋サンシャインシティ内の
ナムコ・ナンジャタウン内にて……。

パーティそのものは午後8時スタートだそうだが、
午後6時以降、自由に遊べるパスポートをくれるというので、
午後7時ごろ到着。

早速、名刺&招待状を引き換え、
マスカレード用のコスチューム(柴尾は宇宙人耳)をいただき、
ナンジャタウンに突入。

初訪問のナンジャタウンはよくできたアミューズメント空間。
しかし、36歳の男がひとりで、歩き回ってもおもしろい空間ではない。
こんなことなら、強引に女房を誘うのだった……。
後悔しても、あとの祭り……。
すっごいさびしい。

しかも、知り合いを探そうにも薄暗いし、
みんな、コスチュームをつけてるしで、
まるで発見できず……。

さびしさが、いっぱい生まれたところで、運良く、
さくまあきらさんのご婦人、真理子さんと娘さんに声をかけられる。
うれしい。うれしい。ふたりが天使に見えた……。

メリーゴーランドのそばのテーブル席で
ずっとお話しする。

どこか遠いところで、浜村編集長がしゃべっているが、
眼中になし!

と、「ぷよぷよ」や「魔導物語」で
有名なコンパイルの仁井谷社長が……。
真理子さんにご紹介いただき、名刺交換。
ほかにもツェナワークス社長のの川野さんともすこしお話……。

背後ではコスプレした汚いヤングたちが馬に群がる
この世のものとも思われないメリーゴーラウンド。

まさに異次元空間の中、
パリティビットの須田さんに遭遇。
妙にうれしい。

さてさて、ものすごく気持ちがすさんでしまったので、
会場から、宮岡寛さんに電話。

会場内にいると思ったのだが、
某所にて会議の最中だったらしい。

深夜12時30分、西麻布VAL’S BARにて合流。
その後、六本木某店にて、ひたすらうまい、ねぎま鍋を食い、
フラミンゴバーにてなだれこむ。
トップレスのおねぇちゃん(外人)を愛で、
パーティでもらった仮装道具や、お土産のカメラをくれてやり、
さらにもう一軒……。

乗り合わせたタクシーのお兄ちゃんから、
あやしげな話をうかがい、
感心して帰宅。


1998年12月19日

黒沢哲也さん出版記念パーティ
年末激酒ロード第二弾は高田馬場。

処女小説「鋼鉄都市アガルタ」を上梓された黒沢哲也さんと
早川書房を退職され、翻訳家としての活動をはじめた村上和久さん……。
ワセダミステリ・クラブの先輩であるおふたりの
出版記念&激励パーティ。

すこし遅刻して到着した一次会は
「PINE TOP」という店で立食パーティ。
ミステリ作家、霞流一さんの司会で
漫画家、編集者をはじめ、
某所にて、いろいろと話題の覆面評論家の方々が登場。
まさに多士済済……。

席上聞いた話では、
「レガイア伝説」をクリアされた宮部みゆきさんが
「とってもジェントルなゲームだった」と
評してくださっているらしい。
ミーハーに喜ぶ。

続く二次会は居酒屋「まんぷく亭」で……。
BBSの常連、KJさんや高瀬美恵さんと
むかつくおっさんに関する話なんぞを、たらたら話す。

躊躇はしたが、三次会の「いろはにほへと」にも出席。
このへんになると、くらくら状態……。
推理小説評論家の香山二三郎さんを相手に
いまのゲーム業界というのは、
映画史的に「イントレランス」の時代にあたるとか、
ゲームなど、ひとつの作品に関して、
若い女の子には読解力には感心するし、
若い男の子のロイヤリティはありがたいなどなど、
熱弁をふるう。

香山さん、お付き合いいただき、
ありがとうございました。

野村宏平さんと高瀬美恵さんからは
このサイトに関する感想をいろいろ聞く。

ちなみに、柴尾は席上、
傲慢な発言をいろいろしていたようだが、
酔っ払いのたわごとです。
気にしないでください。

で、帰ってきたのが午前3時半。
その後、ほとんど寝られなかった。
これから、横浜にむかわなければ……。


1998年12月20日

「シェンムー」発表会は横浜で!
ほぼ一時間程度眠ったあと、
朦朧としながら、サンデー編集部I氏と桜木町へ。
クリスマス直前でにぎわう
ランドマークタワー、クイーンズスクウェアの喧騒の中をつっきり、
パシフィコ横浜へ。

あの「バーチャファイター」を生みだした
鈴木裕が率いる
セガ・エンタープライゼスAM2研の最新作、
「シェンムー」の製作発表会だ。

あの「VF」がRPGになるという噂は
業界のいたるところで聞こえていたが、
その全貌が
一般の目に明らかになるはじめての機会だけに興味しんしん。

印象的なオープニングクリップが
舞台両脇の大型スクリーンに投影されたあと、
前方のオーケストラピットから、鳴りはじめるメロディ。

いやはや40人超のメンバーが生で、
演奏する製作発表会なんて前代未聞。
力が入っているなぁ。

さらにボーカルのお姉さんが、テーマソングを歌ったあとで、
ストーリー&テーマ紹介クリップが
第三の曲とともに流れ始める。

テキスト中心に構成されているクリップなのだが、
いただいたパンフレットにあるその全文があった。

人と人が織り成す物語は、一つではない。

突然訪れた深い絶望、湧き上がる悲しみ。
そして、決意。
西へ、まだ見ぬ国へ少年は旅立つ。
冒険が始まる、誇り、不安、期待、そして裏切り。
未知の世界が、少年を飲み込もうとする。
不思議な少女との出会い。
二人を包み込む悠久の大地、新たな勇気が芽生える。
愛すべき者、運命の時、命をかけた戦い、仲間、友、そして愛。
愛が瞬いたような気がした。
麻痺していた心に、何かが少しづつ(原文ママ)流れ込んでくる。
もう、ひとりではない、新たなる旅立ちが始まる。

愛すべき友をもて

正直にいって、内容、表記ともに、
いやぁな感じのする文章だった。

ふだん書きなれていない人が、書いてることが、わかる。
ちょっぴり悪い予感。

で、司会は(なぜか)千葉麗子さんと三枝成彰さん。
さらに鈴木裕さんが加わり、
何本かのビデオクリップとともにゲームの説明。

とにかく印象に残ったのは、鈴木裕さんの「超リアル志向」だ。

イベントやキャラ劇などの「見るだけ部分」と
操作可能な「ゲーム部分」が
すべて実機上でアクティブかつシームレスにつながっていることで、
フルインタラクティブ感を強調している。

たしかにプリレンダリングのマップや
JPEGムービーでは味わえないアクティブなパース感は特筆もの。
しかも肉屋の肉、ばくち屋のさいころ、丼、酒ビンなどなど、
種々のオブジェクトが緻密にモデル化され、
舞い散る落ち葉や、野良犬などにつけられた
モーションの豊富さによって、
ライブ感は圧倒的なものになっている。

さらにポイントは全編字幕なしのフルボイスだったこと。

場合により、YES/NOなどの選択肢こそ、
画面に表示されるものの、
あらゆる選択肢に応じて、
主人公と会話対象者とのメッセージが
フルボイスで、流れるのだ。本当に驚いた。

そんな気の遠くなるようなことをよくぞやり遂げた!
(ちなみに、せがた三四郎こと、藤岡弘さんも出演)

これなら、当初、ぼくが感じたテキストへの違和感も払拭される。
存在しないテキストに文句を言う筋合いはない。

特殊な場合を除き、カメラ位置や移動中の画角は
現実の人間のものと近い。

また、リアルタイムに朝・昼・晩・夜……と時間が経過し、
晴れ、小雨、雨、雪、豪雪と天候も可変。

雨が雪に変わっていくことも可能だし、
太陽の位置によって、影の長さも変化する。

おまえけにリアルさの追求のために、
劇中登場する九龍砦には、1200もの部屋があるという。
(ただし、ストーリークリアのために訪問すべき部屋は
そのうちの数%程度だそうだ)

その画像も一部公開されたが、
ゲーム中、実際に使用可能だという小道具、
電話やテレコのディテールまでたいしたもの。

登場するキャラのモーションは当然、
AM2研ならではのリアルさだし、
顔の表現に相当なポリゴン数をさいている。

さて、問題はイベントや戦闘に
QTE(QuickTimeEvent)とやらが、採用されていること。

敵を追いかけるなどのイベントが始まると、
上方向や、右方向、さらには、AやBなどのアイコンが
画面中央に表示される。
これをSEのタイミングに合わせて、押していくというシステムだ。

戦闘も同様。
マップ上で複数の敵を相手に、
表示されたボタンを連続入力していくことで、やっつけていく!

ただ、これって、「パラッパラッパー」システム……。
いや、「タイムギャル」などでおなじみの
LDゲームシステムじゃないか?
(これって禁句?)

なにをもってRPGというかはともかく、
これは、いわゆるRPGってやつじゃない。
セガさんはジャンル:
FREE(Full Reactive Eyes Entertainment)って
いってるけど……。

鈴木裕さんは6歳の自分の息子でも遊べるゲームにしたいと
おっしゃっていたが、
チューニングでもその志向性を出してくるつもりだろう。
(つまり、比較的、簡単な操作で楽しめるってこと)

それにしても、よくぞここまで、思い切ったといえる
インターフェイスだ。

しかし、3年におよぶ製作期間の中で、
考え抜かれた結論なのだろう。
単純なボタン押しゲームには、きっとしないんだと思う。

圧倒的な世界を簡単な操作で、
ゲームとして提供するというその大胆さには
頭が下がる。

あと、ひとつ気がかりだったのは
アジアを表現する上で欠かせない要素……。
群集の雑踏が感じられなかったこと。

これはポリゴン表示量の制約もあり、
簡単ではない問題だろう。

ただ、今後のライブラリィの充実にともなって、
改善が可能な問題かもしれない。
(すでに、できていたりして……)

とにかく、圧倒的な映像だ。ぼくの眠気も吹っ飛んだ。

「シェンムー」には、本当に期待しているのだ。

ポリゴンゲームの先駆者、AM2研が
一方の雄、スクウェアとは違った方法論をもとに、
大量の人的資源を投下して、見せてくれる
新世界を心の底から、楽しんでみたい。

なんか、まじめな日記になってしまった。
ううう……、柴尾なのに……。


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