成田エクスプレス
キャリー付きのハードスーツケースが15キロくらい。
これは楽勝の重さ。
テンバのB4サイズソフトショルダーバッグが
12キロくらいかな。
これが、なかなかしんどい重さ。
よせばいいのに、
途中で本などを買うものだから、さらに重くなっている。
どうやら、ばかです。
午後1時過ぎ、新宿から、
成田エクスプレスに乗りこむ。
ぼくの隣りに座った女性が、
検札の車掌さんともめている。
どうやら、
彼女は指定券だけしか持っていないようだ。
ほかに乗車券が必要だということを
車掌さんに指摘されたのだが、
よく理解できない様子……。
柔らかな声で、きれいな日本語を話している。
そのやりとりからだけでは、
日本人か、外国人かわからないくらい……。
結局、車掌さんから乗車券を買ったようだが、
なんとなく納得いかないような顔をしている。
なにげなく声をかけてみる。
指定券は電車の椅子代で
乗車券はレール使用料みたいなものですと説明する。
多少は納得したみたい。
彼女は日本人の夫を持つ韓国の女性だった。
フラワーアレンジメントの仕事をしており、
その関係で、これから韓国にいくとのこと。
なんとなく話があい、いろいろとおしゃべりする。
彼女は埼玉県の住宅地に土地付きの一戸建てを買ったが、
そこでの3年間の生活に疲れ果て、
最近、旦那さまを説得し、多摩プラーザのマンションに
引っ越したそうだ。
いくら歩いてもおなじ家が並ぶばかりで、
池もなければ、林も森もない埼玉の住宅地。
なかなか、話のできる友だちができなかったとのこと。
具体的な話こそ、なかったものの、
さまざまなカルチャーギャップに
悩んでいたようだ。
それが多摩プラーザに移って、
心が解放されたように感じられた……。
海と山のどちらにも近く、
「いつも人が歩いているから、マンションがいいです」
「窓から外を見ても、さびしくない」
「おなじ日本でも、場所によってちがうことがわかりました」
また、彼女は話の中で、よく
「そんな仲間や友だちは、どこでみつけるといいですか」
と聞いてくる。
インターネットのことを話したりもする。
しかし、
小学一年生の息子が学校から持ちかえってくるプリントや
回覧版の日本語を読むだけで、苦労するという彼女に、
文字情報のかたまりであるインターネットの敷居は高い。
エクスプレスは成田に近づく。
彼女は第一ターミナル。ぼくは第二ターミナル。
先におりるのは、ぼくのほうだ。
彼女はとても頭がいい人だったので、
ことばのあれこれがぼくの頭にクリアに残っている。
「だれかと友だちになりたいと思っても、
日本ではなかなかうまくいきませんでした」
「3年間悩んで、わかったことは、
日本では、だれかひとりと友だちになるというのは、
難しいということ」
「でも、大勢の「輪」の中に入れば、
みんながとても優しくしてくれるということです。
いろいろお話をしてくれるということです」
「ただ、「輪」から離れると、友だちがゼロになります」
彼女がすてきだったのは、だからといって、
日本や日本人を非難するわけではなかったことだ。
違うから理解しにくい。
違うことをやっと理解しても、同じにはならない。
違うことをことを違うままに受け入れるしかない。
そんな感じのことを
さらりというさりげなさが、すてきだった。
すでに旅のモードに入っているのかもしれない。
今回は、
ぼくもあまり「輪」を持ち歩かない旅だ。
これは、いろんな人と出会える
兆しなのかもしれないね。































