DIARY:1999 MAY 21〜31

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1999年5月21日(金)

今日こそは!
なくしてしまった帰りの航空券を受け取るため、
昨日いけなかったJALにいくのだ!

メトロバスの路線をサイトでチェックしたりするが、
どうもうまく入力できない。
いろいろやっているうちに時間ばかりが過ぎていく。

えーい。どうせ40〜50ドルだろう。
この際、タクシーでいってやる。

フリーウェイにを疾走するタクシーだが、
いくら走っても、到着しない。
LAX空港を過ぎてもまだまだ走る。

どうなってんだ?

メーターが50ドルを突破してから、
やっとタクシーはフリーウェイを降りる。
ひええええ。

結局チップ込みで60ドルほど!
日本円にしたら……。
うう、考えたくもない。

JALの試練
指示されたSuiteで「Hello」というと、
出てきた女性に「こんにちは」と日本語で返される。
「ごめんなさい、チケット発行の部屋は変わったんです」

さすがはJAL、日本語が安心して、使えるのだな。

指示された部屋に行く。
日系人女性が出たので、「こんにちは」というと、
「Sorry.I don't understand Japanese」と返される。

しまった!
JAL勤務の日系人だからって、
すべて英語が使えるわけではないんだ。

で、英語でここに来た理由を伝える。
姓とフライト・ナンバーをきかれる。

端末で調べるうちに、
「Not Authorized」なんて、いわれる。

え?

そんなはずはない!
きちんとトールフリーコールでここを案内されたんだと、
必死の英語を駆使する。

調べてみるから、ちょっと待てといわれる。

10分ほど、待つ。
その間、奥のオフィスから、
「うそーーー」なんて、日本語が聞こえる。

ちっ。
日本語、しゃべれるやついるじゃねぇか。
めんどくせぇなぁ。

あるいは、この仕打ちは、チケットを紛失したおれへの
JALからのペナルティなのか……。

なんて、くだらないことを考える。

ふたたび、さっきの女性が出てくる。
これから、再発行してくれるそうだ。
また、待てといわれる。

こんどは15分ほど待つ。

その後、パスポートのコピーをとられ、
誓約書にサインを書かされ、
やっと再発行していただく。

へへぇ、ありがとうごぜぇますだ。

やや、卑屈な気分になる。

帰りぎわ、刑事コロンボのように、
扉の前でふりかえる。

「ところで、おじょうさん。
わたし、このままだと帰れないので、
このあたりのバス・ストップの場所を
教えてもらえませんか?」
と、きいてみる。

もはや、くそ高いタクシーでは
帰らないぞという気分なのだ。

おじょうさんは、親切にも手もとに
マップを書いてくれながら、説明してくれる。

ただし、
「道路の反対側にもバス停があるんだけど、
どっちのバス停がいいのかわからないわ」
なんてことをいうと、
手元のメモをくしゃくしゃにして捨てる。

おい、そのマップをおれにくれるんじゃないのか。

きっと、なにかあったとき、
証拠にされるのがいやなのだろう。

そこの机の上にあるパンフレットに
英文で書かれている
「JALに乗れば、日本のホスピタリティが味わえます」って
モットーは、ここでは通じねぇのかよ。

それでも、Thank you very muchなんぞといってしまう。
まぁ、親切ではあるからな。

のどかなバス・ストップ
指示されたバス停にいき、ふたつをくらべてみる。
片方にLAX空港の文字があったので、
そちらで待つことにする。

バス停には歯並びの悪い白人のおばさんがひとり。
歯並びが悪い白人を見るのは、はじめてである。

10分待っても来ない。

おばさんに話しかけてみる。

「このへんでダウンタウン方面にいくバスがでる
バス停って、どこにありますかねぇ」
「ごめんなさい。しらないのよ」
「じゃあ、とりあえず、LAXにいけばいいんですよね」
「そうね。いいアイディアだと思うわ」

さらに10分待っても一台のバスも来ない。

「あと、どれくらい待てば、いいんですかね?」
「わたしも、わからないわ」

さらに10分待っても来ない。
ところで、おばさん、あんたもひまだなぁ。
のどかなLAの午後である。
おれって、帰れるのかなぁ。

タクシーに乗ってもいいのだが、
当然のように一台も走っていない。

JALにもどって、タクシーを呼んでもらうか。
なんて思いながら、遠くを見てみると、
高架の上をなにか電車が走ってる。

「あれ、なんすか?」
「グリーンラインよ」

グリーン・ライン!
ダウンタウンとかで走ってた地下鉄の路線じゃねぇか。
あれに乗れば、帰れる!

「おれ、グリーンラインに乗ることにしますよ!」
「あら、そうなの」

がんばれよ、おばさん。
あんたにもいいバスがくることを願ってるぞ。

で、てくてく歩いて高架の下へ。
ここで高架沿いに、南か北か、どちらか迷うところだが、
すこしでもダウンタウンに近づきたい一心から、
北に進むことにする。

ほどなく駅が見えてきた。
結局、15分ほど歩いたわけだが、この駅の存在を知っていれば、
30分も無為に待っている必要はなかったのである。

ふふふ。
じつはよく歩く都市、トウキョウできたえたおれには
この程度の距離は、どうってことないぜ。

メトロ
メトロの乗車料金はどこまで乗っても$1.35……。
タクシーにくらべたら、うそみたいに安い。

乗りこんだのは、Mariposa/Nashという駅。
メトロというからには地下鉄とかってに思いこんでいたが、
ぜんぜん、地下鉄じゃなかった。

高架の上、フリーウェイのあいだを
クルマを追い越しながら、がしがし飛ばしている。
さっき、万一、間違った方向に歩いていたら、
えらいことになってたかも……。

いずれにせよ、鉄道は快適である。
妙な居心地のよさがある。

ただ……、
駅につくたび、乗りこむ客に
白人は、ほとんどいない。

そういえば、むかし暴動騒ぎがあったのって、
どこなのかなぁなんて、のどかに思いながら、
車窓から景色を眺める。

Rosaとかいう駅で、
ブルーラインに乗りかえる。

うーん。
町の雰囲気がちょっぴりナーバスな感じ。

途中から、路面電車になるメトロ。
見なれたコンベンションセンターが
景色の中に現われる。帰ってきた気がするなぁ。

終着のMetro Centerから、VISAデスクへ。
昨日お願いしていたことへの確認をとるためだ。

世間話中、
「いやぁグリーンラインから、
ブルーラインのあたりって、ちょっとおっかない感じでしたよ」
なんて、ぼくがいったとたん、
デスクの方の顔は緊張し、「しっ」とたしなめられる。

あ、ここはアメリカのオフィスなんだ。

自分の不明を恥じる。
ぶじにダウンタウンのオフィス街に到着したことで、
人間として必要な想像力が欠如していたようだ。

ハリウッド!
今日の冒険は、これでおしまい。
観光客モードになってタクシーに乗り、ハリウッドへ。
バスの路線は調べていたけど、つかれたから、いいや。

7th Market Placeの前から、タクシーに乗る。
タクシーのドライバーは若い白人男性。
たいへんにノリがよろしい。

「とりあえず、チャイニーズシアターでおろして」
「お、なにか映画でも観るのかい?」
「いや、今日は観ないけど、スターウォーズなら、もう観たよ」
「スターウォーズ! クールだね。おれも見たいよ」
「スターウォーズを見るために、東京から来たんだぜ」
「Cool!」
「スターウォーズトリロジーなんて、最低20回くらい観たね」
「すげぇ! おれもスターウォーズ好きけど、負けるよ」
なんて、感じ。

チャイニーズシアターに到着したあと、
「LAのFriday Nightをしっかり、楽しんでくれよ」と
送りだされる。

チャイニーズシアターの前はすごかった。
スターたちの手形があるので有名な場所だが、
3団体くらいの日本人観光客に、
フランス人や韓国人、中国人の集団。

LAで観た最大の人ごみだ。

日本人団体についているガイドさんの説明を盗み聞き。
「アーノルド・シュワルツェネッガーの手形を
よくご覧ください。ほら、タコがあるでしょう。
ダンベルダコです。
あの肉体を作るための努力のあとなんですよ」

勉強になるなぁ。

ボックスオフィスをのぞいてみると、
スターウォーズ前売り券の販売状況が張り出してある。
けっこう、残ってるぞ!
夜の回以外はかなりあるみたいだ。

ためらわずに、
日曜日正午のチケットをゲット。
これで、チャイニーズ・シアターで
スターウォーズ体験可能なり!

さらに読者プレゼント用にたのまれていた、
SWグッズをチャイニーズシアター経営のショップで買う。

付近を見ると、
劇場にむかって左に7時の回の行列が、
右に9時過ぎの回の行列ができていた。

ジェダイ騎士の大群に女ボーバ・フェット。
奇怪なダース・モール。
なんか、列の中にはコスプレ集団がぞろぞろ。

ただ、にぎやかなのは、このあたりだけ。
金曜日の午後4時半だけど、
ハリウッド通りは、なんか、さびれた感じ。

うーん。

すぐそばのShelly Cafeというとこで、
ウェスタンバーガーなるものをいただく。
結局ただのハンバーガー。

ハリウッド・エンターテインメント・ミュージアムというのが、
そばにあるので、いってみる。
ミュージアム・ショップは開いていたが、
ミュージアムそのものは閉まっていた。

掲示された終業の6時まで、1時間もあるのに……。

ほかにやることもないので、
ハリウッド・ワックス・ミュージアムにいってみる。

似てない蝋人形だらけで、脱力をともなった笑いを誘う。
ただ、途中にある「ホラー」のコーナーは
人のいないお化け屋敷状態で、けっこう恐かった。
いずれにせよ、いちどいく価値はありかも。

共通のコンボチケットを買っていたので、
通りの向かいにある系列店(?)、
ハリウッド・ギネス・ワールド・オブ・レコードへ。

まぁ、ギネス記録の博物館で、
雑学好きには、なかなか楽しめる。
泉重千代さんも蝋人形となって、展示されてました。

柴尾、ブランドものに走る!
つぎはルーズベルトホテルからタクシーで、
ビバリー・センターへ。
こちらは、LAではかなり有名なショッピングモール。

以前、ヤオハンで日本人カップルに聞いたとおり、
ここにはゲームを売ってる店があった。

加藤編集長に頼まれていた買いものをする。
その後、本屋にいったり、
あちこちでスターウォーズ・グッズの氾濫を観たりして、
ふらふらといろんな店をひやかしていると、
TUMIのロゴが……。

TUMI

過去3年ほど使いつづけてきた
バッグのブランドである。

バリスティック・ナイロンを使ったバッグ。
そのデザイン・堅牢・軽量・機能性に感心しながら、
愛用していた。

そのショップがこんなところに……。

しかし、ここでバッグなんか買っても、荷物になるだけ。
目の毒だ……。

しかもTUMIの製品はけっこう高い。
一度は意志の力で通りすぎた。

しかし……、日本では見たこともない
製品があるし……。
ちょっと見るだけ……。

引き返して、店の中に入ってしまった。

店番をしているのは、日系の上品なご婦人だ。
しかし、昼間にいったJALの例もある。
用心して、英語でしばらく話す。

店内でいろいろとバッグを見ていると、
となりのショップから日系人がやってきてた。
彼女に声をかけるのが聞こえる。

日本語だ。
すこし上品な関西系のイントネーション。
それでも用心して、
英語で「すみません。日本語を話されますか」と
聞いてみる。

「ええ。日本の方ですか」

そうです! そうです!

好きなブランドに日本語の会話。
なにかのスイッチが、このとき入った。

その後、いろいろとおしゃべりしながら
商品を見せてもらう。
最近の日本の話。
彼女が去年いった南アフリカ共和国のリゾートの話。
TUMIの話。
新製品の売れ線の話。
彼女のなくなったご主人の話。

途中でネームタグにエンボスを入れるため、
彼女が奥に引きこんだときは、店番までやらされた。
といっても、万引きを見張っててくれという程度なんだけど。

お店の中で小一時間、
気がつくと、2つのバッグを買ってしまっている自分がいる。
お土産用に財布を3つ買っている自分がいる。
もはや、パリやミラノでブランドを
買いあさる方々のことを笑えない自分がいる。
「これを持ってるのは日本ではあなただけですよ」なんて
ことばに素直にうれしくなっちゃう自分がいる。

あーあ。
これをどうやって、持って帰るんだろう。
おれ……。

帰りのタクシーはフライデーナイトの
サンセットブルバードを走る。

美しいレストランやショップのイルミネーションに
着飾った人々……。
なんか、LAはまだまだ広いなぁ。


1999年5月22日(土)

熱烈観光デー
ずっと個人旅行なので、ちと飽きた。
団体観光をやるぞよ。

「サンディエゴと国境の町ティファナへいく一日観光」である。
まる一日観光して、昼食つきで115ドル。
先日のタクシー料金を考えると、かなり安い。

朝8時15分、日本人観光客が宿泊するホテルの中で、
最北端はぼくのいるユニバーサルシティ・ヒルトン。
ここから、ツアーのピックアップ。
ドライバー兼ガイドは井上陽水みたいなみかけのSさん。
今後、陽水で統一する。

クルマはバスではなく12人乗りのバン。
新型でなかなか気持ちがよい。

大きな観光バスだと、
ガイドさんとあまりお話できないので、つまらないのだ。

つづいて、バンはユニバーサルシティのシェラトンへ。
ここで若い新婚夫婦が乗りこんでくる。
「おはようございます!」
アメリカでは、なにげなくあいさつすることが多いので、
つい見知らぬふたりに挨拶する。

旦那は小さな声で、「おはようございます」……。
若奥さまはいぶかしげな顔でこちらを一瞥すると、軽く無視!
わー。シャイな日本人だぁ! ちょっぴり、うれしくなっちゃう。

その後、バスはフリーウェイを南へ。
ダウンタウンで、数軒のホテルを回る。
途中乗りこんだご家族のおじいさんから不満の声が、
「なんだ、このクルマ、せまいじゃないか!
こんなのでいくのなら、たまらんぞ」

おじいさん、
115ドルで一日観光なんですよ……。

その後、ボナベンチャーホテルで、
シーワールド組とティファナ組とに分流&合流。
シェラトンの若夫婦は、シーワールド組へ。ちょっと、つまらない。

こちらにいるのは……。

まず、20代の女性コンビ。
ふたりともいままでの職場をやめて、
トーレンスにいる友だちのもとで、長期滞在の予定。
現在、アメリカに1週間。

男性単身客。
じつは新しく起こした旅行代理店勤務。
添乗の予定がなくなったので、休暇をとり、
ニューヨークからロサンゼルスについたところ。
あとは、ラスベガスに行く予定。

男性ふたりと女性ひとりのグループ。
新婚旅行ツアーにきたご一行さまの中で、
ほかのみんなはディズニーランドにいっている中、
こちらのご夫婦だけが、このオプショナルにきたという。
ちなみにもう一人の男性は添乗員だそうだ。

そして、大家族。
おじいさん、おばあさん、若夫婦、3歳と1歳半の子ども。

おばあさんからガイドさんに不満の声が……。
「すみません。このまま(の人数で)、いくんですか?」
「そうですよ」
「ちょっとせまいんですけど……」
聞こえないふりをして、シカトする陽水。
陽水! あんた、なかなかやるなぁ!

その後、ホテルニューオータニで最初のトイレ休憩。
車内で大家族のおばあさんと話をする。
「このツアーがいいと聞いたんだけど、
大きなバスでいくかと思ったら、
こんな小さなクルマでしょ? だまされましたよ」

うーん。こっちの汚いタクシーとか、
なんかすさんでいるバスとかに、慣れちゃったから、
新車のバンは、とても快適なんだけど……。
それに旅行が始まってないのに、だまされたというのも
なかなか、おもしろい見解。

「そんなことないですよ。
小さなグループだから融通がきくと思いますよ」
と、返事をする。

運転をしながら、いろいろトークをする陽水。
「ピカチュウげんきでちゅう」に付属してるやつみたいな、
首につけるマイクでしゃべっている。

まぁ何十回も話している内容だろうけど、
なかなか、味があっておもしろい。
それにフリーウェイであちこちを確認しながら走る運転ぶりは
とても安心感がある。

「このあたり、窓に鉄格子がないでしょう。
それだけ、治安がよいということです。
駅やフリーウェイから遠いところ、
昼間でも人が通りをうろうろしていないところ、
海のすぐそばや山の高いところは治安がよいです。
うるさいところや人の往来が多いところは治安が悪いので、
近づかないようにしてください。
こっちで歩いているのはお金がなくてクルマが買えない人だけです。
だから、公共バスには絶対に乗らないでください。
理由はお分かりでしょ?」

いろいろと聞いてるうちに、恐くなったのは、たしか。
公共バスにも乗ったし、フリーウェイの下を歩いているとき、
ひやっとしたこともあった。

その一方で、以前、シムシティをやったときに、
うまく高級住宅地を作れない土地があることの理由もわかった。
駅前の商店街に近い、人通りの多い土地は
日本でこそ便利で人気だが、
こちらでは、低所得者層向けの土地なのだ。

頭の中ではなんとなくわかっていても、
こうやって実物を見ながらだと、明確に理解できる。
旅をすれば、ゲームへの理解度も深まる。
って、そんなわきゃないけどね。

フリーウェイをバンはひた走る。
ディズニーランドのあるアナハイムって、けっこう遠いんだなぁ。
タクシーでいくと、いくらかかるんだろうとか、
南に下るにつれて、町の雰囲気がよくなってくるなぁとか、
いろいろ感じながら1時間半、
バンは別荘のならぶサンディエゴ郊外へ。

サンディエゴの景観はLAにくらべて潤った感じ。
みずみずしく、おだやかである。

海岸そばの景観ポイントで、外の空気を吸うために休憩。
寒流に乗った風のせいか、やや肌寒い。
太平洋はおだやかで、気持ちがいい。
野生のリスが何匹もいる。

こういう空気を吸うと、みんなの表情がおだやかになる。
このあたり、陽水のポイントに、抜け目はない。

さらにクルマに乗りこみ、ひた走る。

「ほら、左右の標識を見てください。
自動車専用のフリーウェイなのに
歩行者横断注意の標識がでてますね。
メキシコからの密入国者が中央分離帯をロサンゼルスめざして
ぞろぞろ、歩くんですよ。
いまは、少なくなりましたけど、
一時期はものすごい数のメキシコ人が歩いてました。
かれらは高速で走るクルマに対するカンがないから、
まだ渡れるだろうと思って、のこのことびだして
ポーンと、はねられちゃうんですよ。
まぁ、そういうときはドライバーもよけようとしちゃだめです。
クルマがスリップして大事故になっちゃう。
歩行者が苦しまないようにポーンとはねるしかないです」

陽水、あんた、もしや、そのポーンを……?

小さな子どもはさすがに長時間のドライブに耐えかねて、
ぐずりはじめる。

ぼくはガイドをしている陽水の話を聞きたいのだが、
まうしろの席で、子どもをあやすために歌をうたう母親の
声にじゃまされて聞こえない。ちょっとむかつく。

やがて、バンはサンディエゴの港が見える中華料理店へ。
なんで、ここまで来て、中華という気がするが、
ふだん案内しているシーフードの店が土曜日で閉まっているそうだ。

サンディエゴ海岸にいた野生のリス。人間になれていた。
この視線のさきには太平洋。そして、日本がある。

サンディエゴの中華料理店。
まぁツアー以外でいったら、おいしいのかも……。

ツアーめし
よくアメリカは食いものがまずいといわれるが、
個人的な体験でいえば、
食えないほど、まずいとは思えない。

とくにフルーツや野菜は
なかなか野性味のある味のものが多く、
新鮮なサラダなんか、日本よりはるかにおいしい。

1週間ほど前にいったWater Grillなんぞ、
日本でも、そうそう食べられない海鮮グリル店だった。

とにかく、うまいものは、うまい。
ただし、うまいものには金がかかるだけである。
それは日本と同じだ。

むしろ、日本のほうが高い金を払った割に
くそまずいものを食わされることが多い気がする。

まぁ、アメリカも観光地のメシは高くて、まずい。

そんなこんなで、
中華料理店で出てきたものは、
なかなかに、まずうございました。

だって、ヤキソバ、豚の角煮もどき、魚のフライ、
八宝菜もどき、チャーハンの5品が10分たらずに
出てくるんだよ! ぜんぶ作り置きで……。
そりゃ、うまいわけがないっす。
まぁツアーで、一気に到着して、わずかな時間に食わせるには、
こういうやり方しかないのだろう。

日本の温泉旅館の大宴会とおなじである。

大家族の老夫妻は露骨にいやな顔をして、
ほとんど箸をおつけにならない。
ぼくはバクバク食っていた。
まずくても、食えない味ではない。

まぁ、もともとの味付けそのものはよかったろうと
推測されるので、いつか機会があって、
サンディエゴを個人旅行で訪れることがあれば、
また、来て食べて、くらべてみたいですね。

最初にも書いたが、
これだけの距離を走って115ドルというツアーなので、
文句はいえない。

その後バンに乗って移動。
サンディエゴ港内の岬の公園で記念写真タイム。
自由行動のタイムリミットは15分、
とにかくいけるところまで、いってやろうという感じで
歩いていると、5分で岬の先端に到達。

美しい船がならぶヨットハーバーに
空母が停泊している軍港。
彼方にはコロナド・ベイ・ブリッジ。

たいへんに気持ちがよい。
公園内では地元のコミュニティが運動会をしている。
あちこちにピクニックセットを広げた家族がいる。

ぼくは集合時間の2分ほど前に、
バンに帰ったのだが、なかなか全員がそろわない。

「いま、嫁が赤ん坊の
おしめを替えてますから、ちょっと待っててください」
と、おじいさん。

それを受けて、
「でも、車内で替えるより、いいでしょ」
と、おばあさん。

「あなたたちが、いないほうが、もっといいですよ」
と、ぼく(心の中で)。

バンは予定の時間より10分ほど、おくれて出発。

となりに座っている女性コンビに
「岬の先まで、いってみました?」と聞いてみたが、
いかなかったそうだ。

もったいないなぁ。
こんなに安全に歩けて、美しい場所なのに……。
でも、思い出の証拠である写真がいっぱい撮れて、よかったね。

公園からの景観。
軍港には空母が停泊。

岬の先から見えた全長3.5キロのコロナド・ベイ・ブリッジ。
空母などの大型艦を通すため、橋桁は非常に高い。

いよいよ国境。
バンは、コロナド・ベイ・ブリッジへ。
美しいサンディエゴ湾をまたぐ橋からの眺望は最高だ。
うしろで、子ども連れ一家がにぎやか。

あの……、ここ観るところなんですけど……。

橋を渡ったバンはそのままUターンして、
橋をもう一度渡る。
ただ、観るために往復しただけ。

子ども連れ一家は道の両脇に咲いた花のことで、
大騒ぎ。
「あの花、なんていったっけ?」
「沖縄にあるのといっしょだろ」
「いや、沖縄のとは、ちがうぞ」
「ガイドさんがそういったって」

はい、そうです。
その花は沖縄ではデイゴという花で、こちらでは……。
そのあたりの説明はすべて陽水がされてました。
説明と会話のいたちごっこである。

陽水から、ティファナでの注意事項を聞く。

1)シマウマ(!)と
記念写真を撮るときは、さきに値段を交渉して、
支払ってから、撮影してもらうこと。

2)本場のタコスを食べたくても、
かなり強い胃を持っていないかぎり、すすめられない。
それでも、牛肉以外には絶対に手を出してはならない。

3)表通りだけを歩いていれば安心だが、
あまりわき道の方にいってはならない。

4)商品を買うときには、なるべく大きな店で、
値札がついているところだけ。
四分の一に値切ったと喜んでいても、
となりの店の値札の方が安いことだってある。
にせものもあるし、品質が悪いものもある。

まぁ、そういうことだ。みんな、覚えたかな。

国境のアメリカ側の駐車場でバンを降りる。
クルマに乗ったままでもメキシコに入京することは
かんたんだが、
アメリカ再入国時に大渋滞にまきこまれるのだ。

陽水は出国前に全員のパスポートのチェック。
パスポートを持たずにアメリカ出国は可能だが、
そのまま、再入国は不可能だと脅される。

あっけないほど、かんたんに国境通過。
パスポートをとりだす必要さえない。

国境の日本人観光客。

国境の陽水
メキシコ側に入ると、もう、ティファナ。
タクシーだらけのターミナル。

陽水はここで車道にダッシュ。
アメリカから入ってきた路線バスや観光バスの運転手に交渉。
中心地であるセントロのレヴォルシオン通りまで
便乗させてもらおうという魂胆だ。

陽水はスペイン語もぺらぺらとしゃべっている。
なんか、スーパーなガイドである。
だが、交渉はうまく進展しないようだ。

バスに見切りをつけた陽水は、タクシーに交渉。
3台つらねて、レヴォルシオン通りに向かうことになった。

レヴォルシオン通りに入る。
タクシーを降りると……。

「タナカさん! スズキさん! サトウさん! ナカムラさん!」
ヒゲのメキシコ人が絶叫している。
客引きの声である。

客引きは日本人の関心を引くために、
新聞やテレビなどで、日本人の名前がでてくると、
おぼえこむそうだ。

アムロナミエといわれて、喜んでいたおばさんや、
アサハラさんと呼びかけられて、
憤慨していた長髪の青年もいたそうだ。

ここは、浅草国際通りみたいなところだが、
あらゆる店に3人の客引きが常駐、
そのうち各ひとりが
「コンニチハ」「ヤスイヨ」「5ホンデ100ドル」と
日本語でしゃべっている。

「ワタシ、カワサキマヨ ニテルネ」
わけのわからん、やつまでいる。

日本人が道を通ると、
日本語の歓声が沸きあがる感じである。

そして、シマウマがいた。
正確にいえば、ロバにペンキで縞を塗りつけただけの
シマロバだ。

1〜2ドルで観光客にソンブレロをかぶせ、
観光客から借りたカメラを使って撮影する。

正面からの撮影用だから、
ロバのお尻のあたりのペインティングはかなり雑になっている。

また、雨が降ると、ペイントがはげるため、
ロバは一斉に逃げ出すそうだ。

「だから、雨が上がったあとのシマウマはきれいですよ。
きれいに塗りなおしますからね」
とは、陽水のことば。

シマロバと「チーズ!」

アズテカ
陽水に案内されて連れていかれた店は、表通りに面した
アズテカという土産物屋。
日系人が経営しているようで、
あちこちに日本語の説明書などが書いてある。

「トイレは、ここのを借りてください。
ここにある銀の商品などはみんな、本物です。
ただ、そこにあるNIKEの腕時計なんかは当然、にせものですけど……」

いろいろと説明をするが、陽水の歯切れはすこし、悪い……。
ええ、大人の事情があるのは、わかりますとも。
ここが集合場所。1時間20分後に集合とのこと。

「ちょっと、町を歩いてみますか」
男性単身客に声をかけて、アズテカから外に出てみる。

とにかく客引きの声がすごい。
ぼくらを見かけると、日本語で呼びかけるのは先述のとおりだが、
土産物屋、レストラン、トップレスバー、路上のテキ屋(?)。
あらゆるメキシコ人が
英語、日本語、中国語(ニーハオだけど)で、
ぼくらに声をかけてくる。
適当にあしらいながら、ずんずん歩く。

「コンニチハ! ミテクダサイ」「さようなら」
「ニーハオ」「つぁいちぇん」
「Yo,welcome!」「れいたー」
なかなか、楽しい。

「ここは夜がすごいそうですよ。
ほとんど小中学生の売春婦が街角に立っているそうです」
男性単身客の方に教えてもらう。

勉強になるなぁ。

しかし、いまは白昼。
通りは明るくにぎやかである。

通りの奥に行くと、なにやら、にぎやかである。
6車線の道路が歩行者天国のように、区切られ、
ステージができている。

垂れ幕を見ると、
今日から始まったティファナ工芸品博だそうだ。

ステージでは、ダンサーが
結婚式の踊りみたいなものをにぎやかにやっている。

ステージでのダンス。

ダンスを見る観客。
あちこちに特設テントがはられ、各種物産を売っている。

工芸品博の奥、コロニアル風建築の前、
地球の上で踊っている人。
みなさん、ダンスがお好き。

銀製品を買いました
特設テントの中にある店をひやかしながら、回る。
うるさい客引きもいないし、
市が主催しているイベントなので、
きちんとしたお店が入っている。

銀製品のショウケースを見ていると、
店番の女の子がやってくる。
「It's so cute」なんて、ことをぼくがいってると、
一緒にいた男性単身客の方が、
「You are cute!」なんて、おやじギャグ。
うーむ。

かわいい猫の銀製ペンダントトップがあった。
女房の土産にいいと思い、
適当にチェーンをみつくろってもらう。
彼女にあててもらったりしながら、
よく見てみるが、アクセサリー選びはちょっと、難しいっす。

結局、買うことにする。
シルバーのチェーンといっしょに買って、
13ドル。たしかに安いね。
買ったあとで、クリーンナップしてくれ、
合皮のケースに入れてくれる。

男性単身客の方に、なにか買わないんですかと、
聞いてみるが、
「よくわからないから」といわれる。

そのまま、いっしょに町をしばらく歩くが、
集合時間の20分ほど前に、
男性単身客の方から
「そろそろ、もどりませんか」といわれる。

「え、いいですけど……」
まだ、20分もあるのにとは、思ったが、アステカにもどる。
まだ、歩き足りないので、
「外で、煙草を吸ってますから……」といって、
男性単身客の方と別れる。

ああ、ここで、
加藤編集長がいっしょならなぁ……。

しつこいテキ屋の方と、楽しい会話をする。
「そのカシオとこの銀のネックレス10本を交換しないか」
「そのビデオカメラとなら、
ここにあるぜんぶと交換してもいいぜ」

こういう話をするのはいいんだけど、
時計やビデオカメラがいくらするんだと聞かれたときに、
いちいち、円・ドル換算するのが、めんどくさい。
1ドル=100円なら、楽でいいのに……。
もうすこし、がんばれ、YEN!

アステカの中に入り、
トイレを借りたあと、トイレの借用料として、
かわいい亀の置きものを3ドルで買う。
亀好きの作家へのお土産だ。

こういう買いものをしておいて
ここのショッピングバッグに包んでもらうと、
集合時間を待ち、店内をぶらつく間、
店員に「ナニカ、オサガシデスカ」といわれても、
水戸黄門の印籠のように、ショッピングバッグを見せるだけで、
めんどうな説明をせずにすむ。

さっきのネックレスを買った店にくらべると、
だいたい、1.5倍から3倍くらいの値段。
まぁ、多少日本語も通じるし、安心料というところだろう。

店の奥に行くと、
男性単身客の方が銀のネックレスを買っている。

♪ふうううん♪

集合時間。

陽水が手配していたタクシーが3台、通りにならぶ。
ところが、なかなか動き出さない。
なにかトラブルがあったようだ。

きたときは、陽水といっしょに乗っていたタクシーに
大家族のおじいさんが乗りこむ。

「すみません。息子が来なくって……」

陽水は待つことになり、
一足さきにぼくらのタクシーは発進。

おや?
タクシーは来たときとはちがう道に進んでいる。
なんか、見たことのない、住宅街や公園の中を進む。
最初は渋滞を迂回するためかと思っていたのだが……。
それにしても遠い。

あらら、これって……。

国境に到着。

タクシーから降りると、
運転手から、「おまえ、英語はできるか」と聞かれる。

ほら、来たよ!

陽水がくるまで、
時間稼ぎをしなきゃと思いながら、
運転手の方に近寄っていくと……。

陽水のタクシーが到着。
どうやら、あまりにも長く「メーター稼ぎ」をやりすぎたようだ。

運転手は陽水のほうに行き、
なにやら、スペイン語と英語で話している。

陽水はまったくとりあわず、
タクシーの元締めがいるあたりまで、すたすたと歩くと、
そこで、まとめて支払い。
あれこれいう運転手には、とりあいもしない。

陽水、かっこいいぞ。

国境の銘板。

ガイドとして……
国境をわたって、アメリカにもどる。
ちょっぴり、ほっとする。

ほかの方と買いものの戦果を話しあう。

みなさん「アズテカ」だけで、買いものしてたみたい。
まぁ、トラブルがなくていいんだけど、
3時間以上かけて、ティファナにいったのに、
「アズテカ」から、あまり遠くまで、いってないのは、
いかにも、もったいない。

アズテカとその周辺だけで1時間20分。
よく、もつなぁとは感心するが……。

その後、バンはスーパーマーケットでのトイレ休憩をはさむ。
スーパーの中にあるビタミンの棚で「亜鉛(Zinc)」を買って、
ぶらさげていると、陽水から質問される。

「日本の人が、よく、ジンク、ジンクっていってますけど、
なんに、きくんですか……?」

ジャンクフード中心の料理によって起きる味覚嗅覚障害は
亜鉛欠乏症といわれていることや、生殖機能の改善や
風邪のときビタミンCとあわせて摂ると効果的とか、
日本のビタミンショップでは亜「鉛」という名前が災いして、
ほとんど売ってないということを説明する。

バンはフリーウェイを走る。
「だまされた」といっていたおばあさんも
すっかり元気になっている。

陽水のさりげなく巧みなガイドぶりもよかったけど、
やはり異国での買いものは、楽しいもの。
しかも、日本語で値切り交渉もできたみたいだし……。

ダウンタウンのホテルを何軒かまわったあと、
バンはふたたび、フリーウェイへ。

陽水に昨日、メトロやバスに乗ったことなどを話す。

「最近、バスには囮の警官が乗っているほど、危険である」
「最近も目があったというだけで、ジャンキーに射殺された人もいる」
そんなことを教えてもらう。
日本人が遭遇しないため、日本では報道こそされないが、
現地では日常茶飯事であるとのこと。

ただ、そういったリスクは
いまの日本でも十分にありうると、思う。
深川での通り魔事件……。
小倉駅で、ナイフを振り回しながら走りまわったやつ……。

「ぼくの立場としては、絶対におすすめできませんね」

陽水の立場もよくわかる。
こちらでは、ありがちな殺害事件。
しかし、そんな事件に日本人が遭遇し、
日本で報道されれば
ロサンゼルスをはじめ、アメリカへの観光客が一気に減る。

日本人留学生殺人事件。
バリ島のコレラ騒ぎ。
香港でのホテル料金騒動。

一昨年、バリにいったとき、いくつもの現地ツアー会社が
コレラ騒ぎのおかげで倒産したと聞いた。

ぼくが殺されるということは、
個人と家族の問題だけにとどまらず、
この地で生きている多くの人を
「殺す」ことにも通じるのだ。

今回、もはや、バスやメトロに乗る予定はないが、
このつぎ、LAに来たときは、また、ぼくは乗ることだろう。
ただし、こちらの常識を考え、情報を事前におさえ、
十分に気を付けながら……。


1999年5月23日(日)

チャイニーズ・シアターでSTAR WARS!
明日は帰国しなければ、ならないのだ。
楽しい時間はあっという間である。

起床後、そそくさとシャワーを浴び、
タクシーでハリウッドのチャイニーズ・シアターへ。

11時に到着したのだが、
すでに12時15分の回を待つファンで長蛇の列。
150人くらい、いるのかな?

先頭付近には、当然のように、コスプレしてる連中がいる。
テイクアウトのジャンクフードをむさぼり食う
ボーバ・フェットやダース・モールにジェダイ騎士。

日曜日の昼なので、家族連れも多い。
ぼくの前には、黒人の家族が二組。
持参の折りたたみ椅子に4人の子どもを座らせて、
おとなたちは前夜の野球の話。
子どもたちはポケモンの話。

すぐそばにはアパートがあるのだが、
ここの住人も、たいへんだろうな……。

開演30分前に館内へ。

高い天井。豪勢な内装。
ミディアムサイズのポップコーンに
ミディアムサイズのレモネードを買いこむ。
この劇場はカップホルダーがないので、
ちょっぴり困ったけど……。

スクリーンの前では、
コスプレしたダース・モールとオビ・ワン・ケノービが
ライトセイバーの殺陣をやって、
場内の喝采を浴びる。

「ばかだなぁ」とこっちも思わず微笑む。

劇場内の予告編が始まった。
観客は拍手とブーイングを浴びせる。

「オースティン・パワーズ」続編の予告編には、
「I am your father」なんてギャグも飛び出し、大喝采。

ディカプリオの新作には、ブーイング。
SWファンとしては「タイタニック」への
対抗意識もあるんだろう。

チョウ・ユンファとジョディ・フォスター版「王様とわたし」である
「Anna and the king」の予告編もあったけど、
ちょっと観たくなったのが、「Wild Wild West」。
CG多用のウェスタンで、とんでもなく楽しそう。

THXシアターの新ロゴには、ブーイングも……。
たしかに、なんども観ると、長ったらしい。
ドルビー・デジタルEXのロゴには、一部の拍手。
そして20世紀フォックスのカンパニー・ロゴとともに
盛大な拍手と歓声。

やっぱり、Chinese Theaterである。
観客の盛り上がりがぜんぜん違う。

で、3回目のSW鑑賞。
観れば、観るほど、たまらんなぁ。

一部の掲示板などでは、ノヴェライズを読んだ若い子が
「ありがちなストーリーですね。
ルーカスは映像の人でストーリーはたいしたことがないですね」
なんて、つまらないことを書いてて、ちょっぴり憤慨したけど、
やはり、練りに練られたシンプルかつ骨太な神話的構図の
ストーリーは、ツボをつきまくってる。

さらに、驚いたのは、サウンドのクオリティ。
うわさには聞いていたけど、
Chinese Theaterのサウンドは、すごすぎ。
いままで、観た映画館とはちがいすぎ。

サウンドのボリュームは、けっして大きくないのだが、
天井が高いことや、しっかりした建築のメリットを
存分に活かしている。
見習えよ、有楽町の日本劇場といいたい。

大満足で劇場を出て、
先日いったときは閉まっていた
ハリウッド・エンタテインメント博物館にいってみるが、
今日も閉まっている。
どうしたんだろ?

Chinese Theater。
内装は一見の価値あり。サウンドは一聴の価値あり。

開演を待つ人の列。
二本さきのぶんまで、行列ができている。

C3POとR2D2がこの足型を刻印して以来、22年。

MATRIX
ユニバーサル・シティにもどって、
シティウォークのシネマ・コンプレックスで、
話題の映画「MATRIX」を観る。

あいかわらず、表情にめりはりが乏しい
キアヌ・リーブスがカンフーアクションを披露する
快作だ。

諸星大二郎の短編のアイディアに
ヴァーチャル・リアリティ・テーマ、
香港アクション映画のテイストを加え、
小気味いいSFXをからめた小粋な映画。

フィリップ・ホセ・ファーマーの小説に
「デイ・ワールド」ってのが、あったけど、
こういうシチュエーションが映画になる時代って、
すごいなぁ。

中盤はちょっとつらいところもあるけど、
後半の過激なアクションシーンと
シナリオの工夫にうならされる。

日本でも夏公開らしいけど、マニアには必見の映画ですね。

その後、SWグッズをすこし買い足し、
ホテルにもどって、仕事とメールの返信など……。
不愉快な一件で
気が重いメールのやりとりなどもある。

サイトの更新をしようとするが、
その件が心にとげのように刺さって、
気持ちの整理がつかない。

休暇が終わり、うっとうしい日本が近づいているのだ。
気がめいる。

寝つけないまま、荷物をパッキング……。


1999年5月24日(月)

帰国の日
じつは数日前から、
右目の下のまぶたが炎症を起こしている。
眼瞼炎ってやつだ。

ティファナにいった日あたりから、
ちょっと変な感じがしていたのだが、
買ったばかりの眼鏡のフレームがあわないのだろうとも
思っていた。

しかし、昨日あたりはかなりひどくなり、
目やにがでまくり、
右目の下は、はっきり、それとわかるほど、はれている。

痛みはそれほどないし、まもなく帰国する予定なので、
ほおっていたのだが、とにかくみばえが悪い。

長時間なにもしないで、ほおっておくと、
病気の犬のような目になる。

目薬などは持ってきてないし、
ドラッグストアにいっても、適当な目薬を売ってなかった。
結果、1〜2時間おきにトイレにいって、
綿棒と濡れたティッシュでぬぐっていたのだ。

さらに、昨日の日記でも書いたように、
日本から来た、いやなメールとかの処理で、
いらいらして、うまく寝つけない。

だらだらと荷物のパッキングをする。
買ってきたTシャツもたいした量だ。
2週間以上はスターウォーズTシャツを着られるぜ。

TUMIのバックパックふたつ以外は
かさばるものを買わなかったはずなのだが、
もともと持ってきた光学やコンピュータ、周辺機器など、
メカ関係の荷物も多い。

なかなかクリエイティブなパッキングの末に
スーツケースひとつ、
チャックつきの丈夫なショッピングバッグひとつ、
ショルダーバッグひとつにまとまった。

自分で自分をほめてあげたい気分。

2時間ほど横になり、シャワーを浴びて、チェックアウト。

さすがに1週間も宿泊すると、うひゃああという値段。

リムジンで空港へ
ホテルのトランスポートカウンターで、タクシーを依頼すると、
LAX空港まで、ホテルのリムジンで行かないかと持ちかけられる。
ちょうど、そこにリムジンの運転手がいる。

値段は62ドル。チップを考えると、70ドルってところか。
手持ちのドルの現金は90ドルくらい
先日のタクシー料金を考えると、リーズナブルかも……。
ちょうど、ドルをうまく使いきれる感じ。
OKという。

リムジンといっても、いちばん小さいやつ。
しかし、とっても乗りやすくて気持ちがよい。

アルゼンチンからきたという運転手と、
たらたらと話をする。

やはり、アルゼンチンの人間だけあって、
大のサッカーファン。
こちらが、どちらかといえば、野球のファンだというと、
さかんに野球とサッカーは違うということを力説。
さらに先日、準優勝した日本のチームのことを
やたらとほめる。

つぎのワールドカップは日本に行きたいという運転手。
日本での滞在費用は
どれくらいかかるかということを聞かれる。

ホテルなら安いところで、一泊、60ドル程度からあるけど、
ワールドカップ期間中は値上がりするかもしれないね。
1週間で、1000〜1500ドルくらい必要かな。
などという。

リムジンは渋滞のフリーウェイを避け、
ハリウッドから、メルローズ、ウェストハリウッド、
ビバリーヒルズなどを走っていく。

やはり、この運転手も人の気配がない住宅地をいいところ、
にぎやかな商店街を悪いところという。
悪いところでは、昼間寝ていた「犯罪者(criminal)」の方々が、
暗くなると、でてくるという。

たしかに、そういうエリアでは、
シネマコンプレックスがつぶれていて、
「貸し家」札が出ていたりする。

夜は、ちょっと恐そうな感じ。

その後、原油採掘装置がならぶエリアへ。
すげぇな、LA……。市内で石油が取れるんだ……。
そういえば、映画「チャイナタウン」に、
こんなところが出てきたような気がする。
ほんとに、ぼくはLAの一部しか知らない。

リムジンに乗ったのは、正解だった。
ここ、数日、やや肌寒かったLAも今日はいい天気。

JALのカウンターでチェックインをすませる。
やはり、エコノミーはエコノミー。

往復ともエグゼクティブにアップ・グレードしてもらっていた
加藤編集長の話を聞いて、
すこし期待していたのだが、残念賞。

今回は目のトラブルもあり、
まめにトイレにいきたいので、通路側を希望。
エコノミーの窓側は閉塞感がつらい。

荷物を預けて、楽になり、
メキシカン・スタイルの昼食をとり、煙草を吸いまくる。

搭乗口では、日本人をはじめ、アジア人だらけ、
やはり、アジアの女の子はかわいい。
こづくりで、黒い髪が美しい。しあわせな気分である。

そういえば、LAで酒を飲むとき、
おれは、一度もIDを見せろといわれなかったぞ。
やはり、おっさんに見えるんだろうなぁ。

機内では、「マイ・フレンド・メモリー」を観て、
だらだらと落涙。
いっぱい泣いたせいか、目のつらさが楽になる。
涙は心とからだの薬である。

その後、「花のお江戸の釣りバカ日誌」。
むかしのJALといえば、「男はつらいよ」の
英語吹き替え版だったものだが、
経費削減をしているのか、英語字幕版。
ちょっとつまらない。

ちなみに、ぼくが調子の悪い目をきれいにするため、
長めにトイレに入っていたら、出てきたとたん。
日本人の女の子に、にらみつけられたりした。
なかでたばこでも吸っていたかと思ったんだろうか。
実際、中に入ると、たばこくさい場合もある。

与圧している機内、しかも可燃物の多い化粧室内での喫煙は
非常に危険な行為であることは、よく知っているんだけどな。

飛行機は普通に11時間半飛んで、
普通に成田に到着。


1999年5月25日(火)

2週間ぶりの日本
午後4時30分ころ、帰国。

入国審査をすませて、荷物を受けとる。
通関では、前にいた普通のおばさんトリオが別室に案内されている。
どうしたんだろう?

こちらも荷物の量が多いだけに、あけろといわれると、
めんどうだなとは思っていたが、わりとあっさり、通してくれる。

「その筒はなんですか」
ショルダーバックから、突き出している3本の筒を指さして、職員。

「スターウォーズのポスターですよ」
アナキン・スカイウォーカーの影がダース・ベイダーになっている
例のやつである。筒からはタトゥーインの砂漠の色しか、見えない。
「ああ、あれですか」
職員も知っていたようだ。まぁ、その程度。

ちっ、こんなことなら、エロ本を
しっかり買ってくるんだった。
とは、帰国のたびのお約束。

池袋までのリムジンバスのチケットを買い、
借りていたアメリカ用携帯電話を返し、
荷物を宅急便に預け、
スピリッツと週刊ポスト、スポーツ新聞、お茶とおにぎりを買いこみ、
バス乗り場へ。

蒸し暑い。
日本が温帯モンスーン気候であることを思いだす。
あとで、日中の最高気温が31.9度であったことを知る。

バス乗り場から、女房に携帯で電話をかけると、
夏風邪で体調が悪いとのこと。
デパートで、食品を買って帰れと指示され、
ますます、帰国した感を強くする。

第二ターミナルで、チケットを買わずに強引に乗りこんできた
フィリピン人女性とリムジンバス係員とのトラブルを仲裁。
彼女の英語はかなり、汚かった。
アメリカでも滅多に耳にしなかったfuckin'の大洪水。
そんなに怒るなよ。

なぜ、日本に帰るとこんなに憂鬱になるなのかな?
そんなことをたらたらと感じながら、車内で爆睡。

池袋に到着したときには、すでに8時ごろ。
デパートは閉まっている。

混雑している東上線で帰るのは、
いやだったので、タクシーに乗りこむ。

コンビニで女房用の各種食料を買いこみ、帰宅。
長い旅行が終わった。


1999年5月26日(水)

いきなり会議
スターウォーズTシャツを着こんで、
家を出る。

昼間、池袋のポストホビーに寄る。
日本に並行輸入されているSWグッズのチェック。
お土産で買ってきたグッズと重複しているものは、なかった。
ひと安心。

午後2時に市ヶ谷の角川書店「GameWalker」編集部。
帰国報告と今後の記事展開の打ち合せ。
編集長に依頼されていたSWグッズを手渡す。

これは、次号で読者プレゼントになる予定。
どのあたりのものが、人気になるのやら……?
やっぱり、ふつうのTシャツかなぁ。

その後、開発にいって会議。
ここで、各種お土産をばらまく。
荷物になるのがいやだという理由で、
「T2 3D」と「SW Episode1」のキーホルダー、
さらに「サイコ」のベイツモーテルタオルなど、小物ばかり。

やはり、「Episode1」キーホルダーが人気!
あっという間になくなる。

しまった!
自分の分をキープしてなかった!

日本では携帯のストラップなどが
出てくるのかなぁ?
着メロもそろそろSWに変えたいなぁ。

会議は集中力をキープするのが、
ちょっとたいへん……。
時差ぼけって、あんまり、出ないタイプだと思っていたけど、
やはり、歳をとったのか……。

会議後、ミュージシャンの方と、
スターウォーズ話や日本の音楽業界話。

なかなかシビアですね、最近の日本……。

さらにセガ・エンタープライゼスの
携帯ゲーム機への自社ソフト供給話など……。


1999年5月27日(木)

カプコンの岡本吉起さん、ふたたび
「GameWalker」の取材で、新宿のカプコン東京支社へ。
ここで、岡本吉起さんのインタビュー。

事前の打ち合わせで、K井副編集長に、
そのTシャツはやばいですねぇと、イエローカード。

ぼくのTシャツには、
レース中のアナキン・スカイウォーカー。
それを観て、岡本さんが脱線することを危惧している。

カプコンに到着したときも、
「顔を赤と黒のくまどりに塗りたくって現われても、
驚かないでくださいよ」
広報さんにあらかじめ、警告を受ける。
ダース・モールか……。
そういうことをやりかねない人らしい。

今回は「バイオハザード3」「64版バイオハザード」
「DINO CRISIS」など、
「バイオハザード」のシステムを使ったシリーズ最新作について、
うかがう予定だが、
約束の時間になっても、なかなか現われない……。

ようやく現われた岡本さん。
どうやら、カメラ店で、カメラ一式を買ってきたらしい。
それも、ハッセルブラッド……。

おああ……。

いやぁ、なかなか、すごいお話をうかがえました。
以前、インタビューしたときもそうだけど、
ほんとに、なんでも包み隠さず話す人だ。

二時間以上、たっぷり話していただく。

しかし、紙面に書けることは少ないのが、こまったもの。
また、ほんとにやばいことは
さりげなくかわしてたりしたけど……。

ましてや、仕事でいっているので、
このサイトで書けることも少ないんだけど……。

ただ、「SW Episode1」は、
まだ、ご覧になってないとのこと。

周囲の人から、何本も電話がかかってきて、
「岡本さんなら、もう観てるでしょ?」といわれるそうだ。

しかし……、
「あのシリーズを新たに作ってくれるだけで、うれしく、
感謝の気持ちがあるだけなので、
自分としては、浮かれて見にいくのではなく、
字幕つきでストーリーを完全に理解できる状態で観たい」
とのこと。

作品に対してまっとうなリスペクトをはらっている
岡本さんはやはり、ただものではない。

猿と料理
「GameWalker」の取材で、新宿のカプコン東京支社へ。
ここで、岡本吉起さんのインタビュー。

取材後、紀伊国屋の新宿南口店へ行く。
いろいろと本を買いこむ。
なにげなく「料理の四面体」の文字が目に飛びこむ。

玉村豊男の「料理の四面体(紀伊国屋書店)」!
料理エッセイの名著である。
あらゆる料理を火、空気、水、油という究極の四面体モデルで
分析、解読したエッセイ。
大学時代、文庫で読んだこの本は
料理に対しての、ぼくの認識を大きく変えてくれた。

その本が、オリジナルな装丁や組みでよみがえったわけだ。
奥付を見ると、発行日は4月15日……。
まるで、気がつかなかった。アメリカにいく前じゃないか。
これは、買わないわけには、いかないだろう。

ほかに「西遊妖猿伝」の最新10巻が出てる。
やはり、本屋を歩くと、日本に帰ってきた感が強くなるなぁ。


1999年5月28日(金)

ダークサイドの使徒
一日、家で仕事をしたり、旅行後の洗濯をしたり、
本を読んだり、テレビをみたり……。

それにしてもYAHOOの掲示板はすさんでいる。
一時期にくらべると、かなりおさまったようだが、
「SW Episode1」に関して、ネタバレの嵐である。

先行発売された
ノヴェライズやスクリーンプレイを読んだやつが、
SWに関するあらゆるトピックにネタバレを書きこみまくる。

さらには、トピックタイトルまで、ネタバレにしている。
たとえば、
「ダース・ベイダーはルーク・スカイウォーカーの***だった!」
(もちろん***は伏字ではない。
伏字は、前三部作をご覧になってない方への配慮)
なんて、書いてあるものだから、
どんなに、注意していても、ネタバレにさらされてしまう。

数名の方が暴れまわっているだけなんだけど、
書きこみを読んでいても、非難と弁護の嵐である。

メインで活躍されている方は
高級なファンと自称し、日本でも有名なSW研究家だそうだ。
最初のうちは、シャレで書いているのかと思ったが、
どうやら、そうでもないらしい。本気で、そう思いこんでいる。

それにしては、ネタバレ以上の
作品への考察が
微塵もないのは、そういう方の典型ではある。

さらに驚くべきは、
そんな方を弁護されている方までいらっしゃることだ。

いやはや、万一、ぼくもSWを観る前に、
この掲示板を観ていたら、
瀕死のダメージを食らっていたことだろう。

ただ、おかしいのは、その方……。
近畿日本ツーリストの「スターウォーズ鑑賞ツアー」に参加され、
アメリカで、ご覧になったのだが、
「ひどかった」と感想をお書きになっている。

そりゃ、あれだけのネタバレを書けるほど、
ノヴェライズなどの事前情報を目にすれば、
つまらないのは、あたりまえである。
高いツアー料金についたものだ。

因果応報では、ないけれど、
本人、そのあたりのことさえ、気づいていないのは、
あわれ……ではある。

その方は、それでも、
日本公開の初日には、ならぶと、書いてあるし……。
好きなのか、嫌いなのか、はっきりさせてほしいものだ。

いずれにせよ、
認知はできても、理解不能な存在ではある。

あ、スターウォーズを楽しみにしてる人は、
テレビなんかで、たれ流しにされている映像すら、
見ないほうが、いいよ。

あの手の映像はファンやマニアに向けたものでなく、
SWを知らない層や、興味がない層の
注意を喚起するためにあるんだからね。


1999年5月29日(土)

新宿でオフ会
なじみのオフ会にいく。
新宿駅東口は
「どこが不況じゃ!」と叫びたくなるほどの人出。

ここでもお土産をばらまいたのが、
「T2 3D」キーホルダーが思いのほか、人気。

小型のペンライトになっているキーホルダーだ。
ちょっと、いろいろな性向のあるみなさまだけに、
どんなことに使うことやら……。

うちのサイトの日記で、SWに関して、
「かなりネタバレに配慮してますね」と、指摘される。
そのあたりにちょっと、理解不能な部分があるみたい。

まぁ、ぼくも、ものづくりのはしくれですから、
クリエイターが細心に作り上げた世界を
土足で踏み荒らすような真似はできないし、
他人が正当に作品を堪能できる機会を奪いたくはない。

それにしても、眠い。10時を過ぎると眠くなる。
酒を飲むとさらに眠くなる。
なんか、時差ぼけがぬけないのだ。

前にアメリカにいったのは、5年くらい前だけど、
そのときは、こんなに時差ぼけがあったかなぁ。

もしかしたら、
仕事がいやなだけかもしれないけどね。


1999年5月30日(日)

森英俊さん、推理作家協会賞受賞!
昼ごろ、テレビを観ている。
仕事をせねばと、すこしあせっている。
しかし、いまひとつ、気合が入らないまま。
清水賢治さんから電話が入る。
飲み会の誘いである。
迷う。
気がつくと、
いそいそと出かける支度をしている。

今日は、仕事がはかどる日曜日なんだけどなぁ。

しかし、
ワセダミステリ・クラブの先輩である森英俊さんが
「世界ミステリ作家事典・本格派篇(国書刊行会)」で、
推理作家協会賞を受賞!
身内だけの打ち上げをやるという誘いである。

森さんは、推理小説の研究のため、
高給の一流商社をおやめになったほどの
たいへんな方である。

これは祝いにかけつけねば!!
人間がすたるというものだろう。

高田馬場は、六大学野球での早稲田優勝を祝う
提灯行列を待ちかまえる雰囲気。
夜は荒れそうだなぁ……。

一次会は高田馬場の「土風炉」。
内輪だけというわりには、30人近い参加者。

思いだせる限りの出席者だけでも、
ライター系、ゲーム系は笠井修さん、野村宏平さん、黒沢哲哉さん。
小説家系は霞流一さん、高瀬美恵さん、山下定さん。
翻訳系は村上和久さん、白須清美さん。
評論家系では福井健太さんなどが顔を出している。
ほかにも、おひさしぶりのエロ本編集者I田さんも……。

しかし、それだけの大人数でも、
会社員がふたり、既婚者は二人しかいないというのが、
このメンツの特徴である。

学生を除けば、
平均年齢は38歳くらいなんだけど……。
しかも、会社員のひとりは作家兼業だし、
ひとりはエロ本出版社の編集者だ。
得体のしれない団体である。

さて、なんだか知らないけど、
最近の現役は女の子が多いなぁと、つくづく感心。
おれたちのときは、一学年に男6〜8人で、
女の子は3人くらいだった。

まぁ、それだけ、
男の活字離れが進んでるってことかも。

おっさんたちは、自分たちが学生のころ、
いかに下品な「芸」を披露していたかで、
淑女の顰蹙をくらっていた。

さらに、なんだか知らないけど、
正式な記念パーティの場で司会をおおせつかる。
あれれ?

まぁ、やるしかないでしょう!

その後、高田馬場の「和民」で二次会。

野村宏平さんと、
ゲームと原著作権に関する話題。
まぁ、いろいろあるけど、音楽や出版にくらべて、
ゲームの個人著作権に関する意識は低すぎる。

中古問題など、ゲームに関する議論は
いろいろあるけど、
結局、会社の利益が先に立っているのが現状で、
クリエイターに還元されているかどうかは、大きな疑問。

さて、バカ・ミステリの第一人者、霞流一さんは、
シーラカンスに関する驚天動地の新説を展開。
まさに抱腹絶倒である。

清水賢治さんは目の前にある枝豆を
ひとりで黙々とぜんぶ食べてしまうなどの
奇怪な行動……。

なかなか、わやくちゃで、
ますます楽しそうだったのだが、
仕事に対するあせりと、
時差ぼけによるねぼけ頭で、深夜12時30分に退散。

まだ、いたかったなぁ。


1999年5月31日(月)

カプコンの三上真司さん
27日の岡本吉起さんに続いて、
今日はカプコンのプロデューサー、三上真司さんのインタビュー。
「バイオハザード」シリーズの生みの親である。

今日は「ディノ・クライシス」のマスター納品のため、上京。
その後、インタビューを三件、受けて、
そのまま、日帰りで大阪にもどるとのこと。

とてつもなく、かっこいい大人だった。
この業界で、かっこいいと思える人は、滅多にいないんだけど、
三上さんはすごかった。

とことんまで、理詰めに考えた上で、
最後にポーンと理屈を超えたことをやる人なんだろう。

理路整然とした話ぶりには、好感を持ったし、
インタビュアーであるこちらのことばが足りない場合、
きちんと推理して、埋めてくれる。

商品であるゲームに
いかに作品としての思いをいれるかという部分には、
おおいに首肯すべきところがある。

最後にインタビューの主旨からは脱線して、
会社にいる若いクリエイターをいかに育てるかという話になる。

現代の若者論では、あるのだが、
実際の経験による誠実なことばには、感心してしまう。

ゲームの開発現場で、自分たちの作っているモンスターを
ザコキャラとか、中ボスとかいうの風潮には、
ぼくも疑問を持っている。

だって、何ヶ月も何年もかけて、「ザコ」を作っていると、
自称するなんて、バカな話があるものか。

三上さんの話はもっとクリアである。
「おまえたちが作ってるのは、敵キャラじゃないぞ!
恐竜なんだよ!」

あたりまえの話である。

敵キャラ、ボスキャラ、すべて
既存のゲームの文法から生まれたことばだ。
そんなことばを無神経に使っていては、
いつまでたっても、既存のゲームの焼き直ししか作れないだろう。

敵キャラと思って作る恐竜と、
恐竜だと思って、結果的に敵キャラになったものとは、
おのずと成果が違うのである。

思いはいつか結実する。

岡本さんといい、三上さんといい、
人間を見て、その人が作ったゲームを買いたいと
思わせる人である。

そんなこんなで、熱く誠実な三上さんのことばを
もっと読みたければ、
Game Walkerの次号を買うべし。



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