今日こそは!
なくしてしまった帰りの航空券を受け取るため、
昨日いけなかったJALにいくのだ!
メトロバスの路線をサイトでチェックしたりするが、
どうもうまく入力できない。
いろいろやっているうちに時間ばかりが過ぎていく。
えーい。どうせ40〜50ドルだろう。
この際、タクシーでいってやる。
フリーウェイにを疾走するタクシーだが、
いくら走っても、到着しない。
LAX空港を過ぎてもまだまだ走る。
どうなってんだ?
メーターが50ドルを突破してから、
やっとタクシーはフリーウェイを降りる。
ひええええ。
結局チップ込みで60ドルほど!
日本円にしたら……。
うう、考えたくもない。
JALの試練
指示されたSuiteで「Hello」というと、
出てきた女性に「こんにちは」と日本語で返される。
「ごめんなさい、チケット発行の部屋は変わったんです」
さすがはJAL、日本語が安心して、使えるのだな。
指示された部屋に行く。
日系人女性が出たので、「こんにちは」というと、
「Sorry.I don't understand Japanese」と返される。
しまった!
JAL勤務の日系人だからって、
すべて英語が使えるわけではないんだ。
で、英語でここに来た理由を伝える。
姓とフライト・ナンバーをきかれる。
端末で調べるうちに、
「Not Authorized」なんて、いわれる。
え?
そんなはずはない!
きちんとトールフリーコールでここを案内されたんだと、
必死の英語を駆使する。
調べてみるから、ちょっと待てといわれる。
10分ほど、待つ。
その間、奥のオフィスから、
「うそーーー」なんて、日本語が聞こえる。
ちっ。
日本語、しゃべれるやついるじゃねぇか。
めんどくせぇなぁ。
あるいは、この仕打ちは、チケットを紛失したおれへの
JALからのペナルティなのか……。
なんて、くだらないことを考える。
ふたたび、さっきの女性が出てくる。
これから、再発行してくれるそうだ。
また、待てといわれる。
こんどは15分ほど待つ。
その後、パスポートのコピーをとられ、
誓約書にサインを書かされ、
やっと再発行していただく。
へへぇ、ありがとうごぜぇますだ。
やや、卑屈な気分になる。
帰りぎわ、刑事コロンボのように、
扉の前でふりかえる。
「ところで、おじょうさん。
わたし、このままだと帰れないので、
このあたりのバス・ストップの場所を
教えてもらえませんか?」
と、きいてみる。
もはや、くそ高いタクシーでは
帰らないぞという気分なのだ。
おじょうさんは、親切にも手もとに
マップを書いてくれながら、説明してくれる。
ただし、
「道路の反対側にもバス停があるんだけど、
どっちのバス停がいいのかわからないわ」
なんてことをいうと、
手元のメモをくしゃくしゃにして捨てる。
おい、そのマップをおれにくれるんじゃないのか。
きっと、なにかあったとき、
証拠にされるのがいやなのだろう。
そこの机の上にあるパンフレットに
英文で書かれている
「JALに乗れば、日本のホスピタリティが味わえます」って
モットーは、ここでは通じねぇのかよ。
それでも、Thank you very muchなんぞといってしまう。
まぁ、親切ではあるからな。
のどかなバス・ストップ
指示されたバス停にいき、ふたつをくらべてみる。
片方にLAX空港の文字があったので、
そちらで待つことにする。
バス停には歯並びの悪い白人のおばさんがひとり。
歯並びが悪い白人を見るのは、はじめてである。
10分待っても来ない。
おばさんに話しかけてみる。
「このへんでダウンタウン方面にいくバスがでる
バス停って、どこにありますかねぇ」
「ごめんなさい。しらないのよ」
「じゃあ、とりあえず、LAXにいけばいいんですよね」
「そうね。いいアイディアだと思うわ」
さらに10分待っても一台のバスも来ない。
「あと、どれくらい待てば、いいんですかね?」
「わたしも、わからないわ」
さらに10分待っても来ない。
ところで、おばさん、あんたもひまだなぁ。
のどかなLAの午後である。
おれって、帰れるのかなぁ。
タクシーに乗ってもいいのだが、
当然のように一台も走っていない。
JALにもどって、タクシーを呼んでもらうか。
なんて思いながら、遠くを見てみると、
高架の上をなにか電車が走ってる。
「あれ、なんすか?」
「グリーンラインよ」
グリーン・ライン!
ダウンタウンとかで走ってた地下鉄の路線じゃねぇか。
あれに乗れば、帰れる!
「おれ、グリーンラインに乗ることにしますよ!」
「あら、そうなの」
がんばれよ、おばさん。
あんたにもいいバスがくることを願ってるぞ。
で、てくてく歩いて高架の下へ。
ここで高架沿いに、南か北か、どちらか迷うところだが、
すこしでもダウンタウンに近づきたい一心から、
北に進むことにする。
ほどなく駅が見えてきた。
結局、15分ほど歩いたわけだが、この駅の存在を知っていれば、
30分も無為に待っている必要はなかったのである。
ふふふ。
じつはよく歩く都市、トウキョウできたえたおれには
この程度の距離は、どうってことないぜ。
メトロ
メトロの乗車料金はどこまで乗っても$1.35……。
タクシーにくらべたら、うそみたいに安い。
乗りこんだのは、Mariposa/Nashという駅。
メトロというからには地下鉄とかってに思いこんでいたが、
ぜんぜん、地下鉄じゃなかった。
高架の上、フリーウェイのあいだを
クルマを追い越しながら、がしがし飛ばしている。
さっき、万一、間違った方向に歩いていたら、
えらいことになってたかも……。
いずれにせよ、鉄道は快適である。
妙な居心地のよさがある。
ただ……、
駅につくたび、乗りこむ客に
白人は、ほとんどいない。
そういえば、むかし暴動騒ぎがあったのって、
どこなのかなぁなんて、のどかに思いながら、
車窓から景色を眺める。
Rosaとかいう駅で、
ブルーラインに乗りかえる。
うーん。
町の雰囲気がちょっぴりナーバスな感じ。
途中から、路面電車になるメトロ。
見なれたコンベンションセンターが
景色の中に現われる。帰ってきた気がするなぁ。
終着のMetro Centerから、VISAデスクへ。
昨日お願いしていたことへの確認をとるためだ。
世間話中、
「いやぁグリーンラインから、
ブルーラインのあたりって、ちょっとおっかない感じでしたよ」
なんて、ぼくがいったとたん、
デスクの方の顔は緊張し、「しっ」とたしなめられる。
あ、ここはアメリカのオフィスなんだ。
自分の不明を恥じる。
ぶじにダウンタウンのオフィス街に到着したことで、
人間として必要な想像力が欠如していたようだ。
ハリウッド!
今日の冒険は、これでおしまい。
観光客モードになってタクシーに乗り、ハリウッドへ。
バスの路線は調べていたけど、つかれたから、いいや。
7th Market Placeの前から、タクシーに乗る。
タクシーのドライバーは若い白人男性。
たいへんにノリがよろしい。
「とりあえず、チャイニーズシアターでおろして」
「お、なにか映画でも観るのかい?」
「いや、今日は観ないけど、スターウォーズなら、もう観たよ」
「スターウォーズ! クールだね。おれも見たいよ」
「スターウォーズを見るために、東京から来たんだぜ」
「Cool!」
「スターウォーズトリロジーなんて、最低20回くらい観たね」
「すげぇ! おれもスターウォーズ好きけど、負けるよ」
なんて、感じ。
チャイニーズシアターに到着したあと、
「LAのFriday Nightをしっかり、楽しんでくれよ」と
送りだされる。
チャイニーズシアターの前はすごかった。
スターたちの手形があるので有名な場所だが、
3団体くらいの日本人観光客に、
フランス人や韓国人、中国人の集団。
LAで観た最大の人ごみだ。
日本人団体についているガイドさんの説明を盗み聞き。
「アーノルド・シュワルツェネッガーの手形を
よくご覧ください。ほら、タコがあるでしょう。
ダンベルダコです。
あの肉体を作るための努力のあとなんですよ」
勉強になるなぁ。
ボックスオフィスをのぞいてみると、
スターウォーズ前売り券の販売状況が張り出してある。
けっこう、残ってるぞ!
夜の回以外はかなりあるみたいだ。
ためらわずに、
日曜日正午のチケットをゲット。
これで、チャイニーズ・シアターで
スターウォーズ体験可能なり!
さらに読者プレゼント用にたのまれていた、
SWグッズをチャイニーズシアター経営のショップで買う。
付近を見ると、
劇場にむかって左に7時の回の行列が、
右に9時過ぎの回の行列ができていた。
ジェダイ騎士の大群に女ボーバ・フェット。
奇怪なダース・モール。
なんか、列の中にはコスプレ集団がぞろぞろ。
ただ、にぎやかなのは、このあたりだけ。
金曜日の午後4時半だけど、
ハリウッド通りは、なんか、さびれた感じ。
うーん。
すぐそばのShelly Cafeというとこで、
ウェスタンバーガーなるものをいただく。
結局ただのハンバーガー。
ハリウッド・エンターテインメント・ミュージアムというのが、
そばにあるので、いってみる。
ミュージアム・ショップは開いていたが、
ミュージアムそのものは閉まっていた。
掲示された終業の6時まで、1時間もあるのに……。
ほかにやることもないので、
ハリウッド・ワックス・ミュージアムにいってみる。
似てない蝋人形だらけで、脱力をともなった笑いを誘う。
ただ、途中にある「ホラー」のコーナーは
人のいないお化け屋敷状態で、けっこう恐かった。
いずれにせよ、いちどいく価値はありかも。
共通のコンボチケットを買っていたので、
通りの向かいにある系列店(?)、
ハリウッド・ギネス・ワールド・オブ・レコードへ。
まぁ、ギネス記録の博物館で、
雑学好きには、なかなか楽しめる。
泉重千代さんも蝋人形となって、展示されてました。
柴尾、ブランドものに走る!
つぎはルーズベルトホテルからタクシーで、
ビバリー・センターへ。
こちらは、LAではかなり有名なショッピングモール。
以前、ヤオハンで日本人カップルに聞いたとおり、
ここにはゲームを売ってる店があった。
加藤編集長に頼まれていた買いものをする。
その後、本屋にいったり、
あちこちでスターウォーズ・グッズの氾濫を観たりして、
ふらふらといろんな店をひやかしていると、
TUMIのロゴが……。
TUMI!
過去3年ほど使いつづけてきた
バッグのブランドである。
バリスティック・ナイロンを使ったバッグ。
そのデザイン・堅牢・軽量・機能性に感心しながら、
愛用していた。
そのショップがこんなところに……。
しかし、ここでバッグなんか買っても、荷物になるだけ。
目の毒だ……。
しかもTUMIの製品はけっこう高い。
一度は意志の力で通りすぎた。
しかし……、日本では見たこともない
製品があるし……。
ちょっと見るだけ……。
引き返して、店の中に入ってしまった。
店番をしているのは、日系の上品なご婦人だ。
しかし、昼間にいったJALの例もある。
用心して、英語でしばらく話す。
店内でいろいろとバッグを見ていると、
となりのショップから日系人がやってきてた。
彼女に声をかけるのが聞こえる。
日本語だ。
すこし上品な関西系のイントネーション。
それでも用心して、
英語で「すみません。日本語を話されますか」と
聞いてみる。
「ええ。日本の方ですか」
そうです! そうです!
好きなブランドに日本語の会話。
なにかのスイッチが、このとき入った。
その後、いろいろとおしゃべりしながら
商品を見せてもらう。
最近の日本の話。
彼女が去年いった南アフリカ共和国のリゾートの話。
TUMIの話。
新製品の売れ線の話。
彼女のなくなったご主人の話。
途中でネームタグにエンボスを入れるため、
彼女が奥に引きこんだときは、店番までやらされた。
といっても、万引きを見張っててくれという程度なんだけど。
お店の中で小一時間、
気がつくと、2つのバッグを買ってしまっている自分がいる。
お土産用に財布を3つ買っている自分がいる。
もはや、パリやミラノでブランドを
買いあさる方々のことを笑えない自分がいる。
「これを持ってるのは日本ではあなただけですよ」なんて
ことばに素直にうれしくなっちゃう自分がいる。
あーあ。
これをどうやって、持って帰るんだろう。
おれ……。
帰りのタクシーはフライデーナイトの
サンセットブルバードを走る。
美しいレストランやショップのイルミネーションに
着飾った人々……。
なんか、LAはまだまだ広いなぁ。










