DIARY:1999 NOV.21〜30

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1999年11月21日(日)

家庭サービス
さすがに三連荘で午前さまは、まずかったので、
今日は家庭サービスである。
とはいえ、動き出したのは午後6時。

女房と池袋西武にいく。
「腹が減ったのじゃ」「へへー」
「美術の画集がほしいのじゃ」「へへー」
「オーブンレンジがほしいのじゃ」「へへー」

いいなりである。
その後、池袋の「滝沢」で一服中、
「安いレンジでよかったのに、あなたと買いものすると、
高いもの買っちゃうよね」とは、女房のことば。

いや、その、メカは好きですから……。
「インターネットでチン」の姉妹機種を購入した次第である。
インターネット接続機能はないけど……。

ゲーム仁義
成沢大輔さんから、成沢大輔著
「成沢大輔のゲーム仁義」(双葉社)を送っていただく。

親分の異名をとる成沢大輔さんだけに、
直球のゲームコラムを直球でまとめた誠意あふれる本である。
「週刊漫画アクション」の連載エッセイを中心にまとめ、
400本以上の脚注を新たに書き下ろした
すがすがしい一冊となっている。

酒の席で、成沢さんに失礼なことをいった覚えがある。

「いやぁ、人間には韻文の人と散文の人がいるんですよ。
ぼく(柴尾)は散文の人だから……」
で、自分はどうですかと聞く成沢さんに、
「成沢大輔は、[標語]の人です!」

まぁ、口がすべったわけですよ。
もちろん、悪意なんぞ、微塵もない。
条件反射で飛び出したことばなり。

で、今回、この一冊を通読して、
「ほんとに標語の人だなぁ」と、実感した次第。
さらに、おれにはこの才能はないんだよなとも……。

たぶんね。ぼくも成沢大輔という人も
あのころ、あの時代、ゲームを仕事とした人間ですからね。
いってることは、ぜんぶわかる。
だから、ゲームが好きなんだってところから、
あそこ、なんとかしてくれよってところまで、
わかるというより、まるっきり、おんなじことばかり……。

ちなみに、最後の年表を見て、気がついたけど、
同じゲームの攻略本を違う出版社で出してるんですねぇ。
それも「銀河の三人」……。
まぁ、おんなじ雑誌で、顔も知らないまま、
仕事をしていたこともあったけど……。

その上で、すごいのは、
おれみたいに、色気を出して、(というより、なにかに飽きて)
ライター仕事からゲームデザイナーへと移行するのでなく、
あくまでも最初の立脚点に、こだわってることだ。

自分の周囲の環境までも
自分に好影響をあたえるように配置し、
自分の周囲のあれこれをとことん信頼し、
気合を入れ、やんちゃを続け、
「おれはゲームが好きだぁ!」と進軍ラッパを鳴らせるってのは、
やっぱ、感動するより、ほかにないわけだ。

だから「標語の人」ってのは、
つまりその「背骨がある人」ってことなんだよね。
こういう人には、ほんと、かないません。

ああ、攻略本屋をやめて、ゲーム作りのほうにいってよかった。
なんてことは、さらさら思ってないけど、
「成沢大輔70歳、それでもゲームが好きでした」って
本もきっと出すんだろうな、この成沢大輔って人は……。
かなわねぇよ。


1999年11月22日(月)

AIBOは……
20日前後にAIBOの当選通知を発送しますというソニーから、
まだ、なにも届かないところをみると、
はずれたのだな、きっと……。
あとはキャンセル待ちをするのみである。

東京大停電
自衛隊機墜落により、都内は大停電。
そのころ、ぼくはすやすやと寝ていた。
残念。

定説
「ライフスペース」関連のサイトなどをたらたらと見る。
(いまさら、リンクは張らないけどね)

しびれる文章を読んでいるうちに、
自分の文章も下手になりそうな気がしちゃう。
やばい。やばい。

「フリーマネー」
マーロン・ブランド、チャーリー・シーン、ミラ・ソルヴィーノ主演の
コメディ映画「フリーマネー」をDVDで観る。

けーむらくんが勧めてくれたものだけど、
くすくす笑いが随所で楽しめる佳作……ではある。
でも、マーロン・ブランドの演技が、???で、ものたりないぞ。

ただ、この映画(DVD)の最大の見どころは、本編ではない!

DVDには特典映像として、
日本での劇場用予告編がついているんだけど、
これがすごいのだ。
本編の内容とは、まるっきり違う映画を
紹介しているとしか思えない。

ちなみにパッケージにある「10億ドルを奪取せよ!」って
キャッチコピーも、中身とはまるで違うもの。
あえてキャッチをつけるとしたら、
「とほほな娘婿、一世一代の大勝負」って、ところだろう。

そんなペーソスあふれるコメディ映画を
派手なアクション大作として売りこむため、
本編映像の派手なところのみを切り張りしてる予告編は
ほとんど映像の魔術なり!
本編上映後、予告編を観て、大爆笑してしまった。

ここまですごいのは、久しぶりだなぁ。
東宝東和配給かと思ったら(うそ)、ギャガですか。
あはははは……。このギャガ、好きかもしれない。


1999年11月23日(火)

熱中時代
基本的にだらだらするのが、大好きな人間なのだが、
なにかをやり始めて、心のどこかにスイッチが入った途端、
時間を忘れて熱中してしまう。

今日はまさにそんな状態、がしがしと作業が進む。
ずっとマウスを握っているうちに徹夜。
女房以外の人間と話をしないまま、一日が終わる。


1999年11月24日(水)

タクシー密閉
歳はとったが、徹夜そのものは大丈夫である。
熱中すれば、どこまででも、起きていられる。
しかし、いったん、手を休め、作業を止めると、もうだめ!
しかも、その後のリカバリーに時間がかかる。

そりゃ、すこしは眠りたいから、タクシーに乗る。
会議は午後3時、乗りこんだのは、午後1時45分。

東武練馬から千歳烏山まで、30〜40分とみていたが、
環八渋滞のため、2時間かかっちまったぜ!

井荻トンネル内部で息が詰まるかと思った。
そりゃ、たっぷり寝られたさ。
会議には思いっきり遅刻したけどな。

新宿大火災!
午後10時半、会議終了後、
「アランドラ2」の内輪の打ち上げをやろうという宮岡寛さん、
今井修司さん、笠井修さん、TOMくんに便乗して、新宿へ。

ちなみに、ぼくは「アランドラ2」は、なんにもやってません、念のため。
酒のにおいに敏感なだけです、念のため。

ところが、駅構内で今井さんが行方不明に!
だらだらと3人で待っているうちに、携帯に着信。九州の母親からである。
いま新宿にいるというと、火事は大丈夫かと心配される。

場所はよくわからないが、
「ラーメン屋とか、はげしく燃えよったよ」とのこと。
あとでニュースをチェックすると、西口しょんべん横丁界隈であった。
うーむ。

例によって「Pearl Bar」へ。
その後、合流したOさんをまじえ、映画と漫画ネタでバカ話。

「絵描きとしては、アスファルト舗装から、お店に入っていく、
その地面の流れが気になるんですよ」とは、今井修司画伯。

漫画を描いていたOさんも、
「床と壁の継ぎ目とか、わからないときはヨゴシて、描くんだけど、
ちゃんと描いてる人がいると、やばいなぁと思うよね」

まぁ、どうでもよいことだけど、
それをどうでもよいという人は、
もともと、どうでもよい人なのだろう。

寝不足の頭にウォッカソーダが気持ちよし。
すっかりいい気分になって、深夜1時半帰宅、爆睡。


1999年11月25日(木)

オーブンレンジ
電磁波を浴びながら、くるくる回るターンテーブルを凝視するおれ。
先日購入したシャープのオーブンレンジが届いたのだ。

「あんた、新しい機械が届くと、じっと見てるよね」とは、
女房のことば。
ドラム式洗濯機を買ったときなど、1〜2時間くらいは眺めていた。

オーブンレンジは、設置するやいなや、
近所のコンビニにいって、冷凍食品を買いこみ、
早速、使いはじめたのである。

くるくるを見ていると、生きているのを実感するなぁ。

間違いだらけの少年H
山中恒の「間違いだらけの少年H」をなかなか読み終えられない。
850ページ近くあるハードカバーだ。

妹尾河童の「少年H」に書いてある数多のうそを
丹念な調査をもとに暴く本である。

戦後に明らかになった史実を
昭和15年の神戸の少年Hが知っていたり……、
昭和20年に流布された歌が、昭和17年に歌われていたり……、
これら「少年H」の記述そのものが
講談社の「昭和二万日の全記録」などを底本にしており、
その事実誤認、誤謬、誤植まで含めて、引き写しているのだから、
困ったものなのである。

ただし、「間違いだらけの少年H」は、
よくあるタイプの暴露本や摘発本とは、まるで違うものだ。
印象としては、さほどセンセーショナルなものではなく、
あの時代を知りたいという好奇心にうまく応えてくれる本である。
副題に「銃後生活史の研究と手引き」とあるように、
日本がたしかに体験したあの時代を
膨大な資料を引用しながら、興味深く検証している。

「そんな重箱の隅をつつかなくても」という話は、たしかにある。

たとえばいま、大森サイファイ伝言板では、
梅原克文の「カムナビ」という小説をめぐって、
「科学としては明白な誤謬があるのに、
それがSF、あるいは、エンターテインメントとして成立するのか」
という話が展開されていて、興味深いのだが、
そういったすべてに対するひとつの解答が、
「間違いだらけの少年H」に、転載された
阿刀田高の以下のことばである。

たとえば”初めて世界一周をしたのはコロンブスです”とか、
”野口英世は十和田湖をながめながら成長した”とかいう記述である。
もちろん小説は何を書いても自由な世界だから、
初めて世界一周を実現したのがマゼランではなく、コロンブスであった、
という独創的なフィクションを書いたって、
いっこうにかまわないけれど、それは
”世間一般に信じられていることに、あえて反することを私は書きますよ”
という前提を用意しておいてのことである。
知らんふりをきめこんでいるのとは、すこし事情が違うだろう。
(中略)
フィクションを命綱とする小説でも、ついてよいうそと、
ついてはいけないうそとがあるのだ。

物資が配給となり、ことばや行動が国家により規制された戦争の時代。

その悲惨さを啓蒙するのは、けっこうだが、
地獄への道は
善意の絨毯に敷き詰められているものだからこそ、
あの時代にあった奇怪な明るさと解放感
(小林信彦が太平洋戦争開戦時に
それがあったとコラムで書いていたのだが)こそを、
きちんとした史実に基づき、教えていただきたいものである。


1999年11月26日(金)

AIBO落選
AIBO落選の連絡通知が、SONYから届く。
往復はがきで、アンケート付きである。
これで第二次AIBOの夢も露と消えた。

わずかなキャンセル待ちだけが、一縷の望み。

ちなみにYAHOOのオークションをのぞいてみると、
当選した皆様がさっそく売っていらっしゃる。
当選通知を1万円程度で売っている人までいる。

中には、「大事にしてくれる人に渡したいので、
35万円程度で、お売りします」てなことまで書いてある。
大事にしたい人に渡したければ、キャンセルしなさい!

売るくらいなら、最初から応募するなよ! ったく!!


1999年11月27日(土)

越後湯沢でだらだら
今日は、新潟のフィギュアインストラクター兼高校教師、
たるさん主催のオフ会である。

参加者は、うちの夫婦のほかに、看護婦の亜里沙さん、
吉原のソープランドで働くなおさん、
関西の就職浪人、Keiさん、
仙台勤務のソープ求道者、Bさん、
FreeBSDの宣教者、神崎川さん、
オヤジギャグの使徒、Tさんである。
なんか、妙なメンツだなぁ。

午後4時ごろ、越後湯沢温泉のイナモト旅館
到着したわれわれは、早速だらだらする。
そう、今回の目的は
だらだらすること!! それだけといっても過言ではない。

だらだら会話して、だらだら温泉に入り、だらだら宴席につき、
だらだらしゃべる。
たるさん提供の銘酒「八海山」、「麒麟山」、「越の寒梅」を
だらだら飲んでいると、あらびっくり、深夜である。

ほんとうにだらだらしていると、時間の流れるのが早い。

そのまま、だらだらと眠る。


1999年11月28日(日)

だらだらの翌朝
朝になったからといって、だらだらは終わらない。
だらだら朝食をとり、だらだらチェックアウトし、
だらだら越後湯沢ロープウェイで山頂に登る。

山頂はひたすら寒いぞ。
寒風に揺れるだけのリフトはせつないぞ。
ああ、ガスっているなぁ。視界がほとんどない。
早くスキーシーズンにならないかなぁ。

だらだら「雲の上の美術館」とやらで、
高原植物の写真や童画を鑑賞し、
だらだら、お茶を飲みながら、だらだらと話をする。

だらだらと山を降り、だらだらと昼飯を食い、
だらだらお土産を買って、だらだら新幹線で帰る。

前橋の猫
おお、帰り道は女房の実家を通過するわけである。
ならば、寄っていこう。
高崎で新幹線から降り、前橋へ。

前橋の実家には、
かつてわれわれが飼っていたバジという猫がいる。

三年ほど前、夫婦そろってバリ旅行にいった際、預けたのだが、
バジが義父母になついてしまいというか、
義父母がバジになついてしまい、
われわれが返せといっても、返してくれないので、
親権をゆずった形になってしまった。

バジは10キロを越えるオス猫である。
10歳の性格のよい猫である。腹は白、背中はキジトラの猫である。
老夫婦に飼われているだけあって、
覇気というものがすっかりぬけきっている。

本名は柴尾バージルというのだが、
縮めて、バジとなったところ、
バカでドジの「バジ」といわれていたのだが、
最近は「ジジババ」が飼ってるからバジと
陰口をいわれているとか、いわれてないとか。
なんか、アンポンタンな文章だなぁ。

そんなバジをなでまわしているうちに、
睡魔に襲われ、だらだらと眠る。
いや、襲われというより、強大な睡魔に襲撃されたって感じだ。

すっかりゆるみきった二日間であった。


1999年11月29日(月)

「シックス・センス」
正午、前橋から池袋に到着。ふと思いたって、
池袋シネマサンシャインで映画「シックス・センス」を鑑賞。

劇中の大きな「秘密」が話題になっている作品である。
愛と受容の作劇の中で、まんまとしてやられました。
きちんとした「いい映画」。

帰りのエレベータの中で、うしろに乗った女の子ふたり、
「ねぇ、あれ、とちゅうでわかったよね」
「うん」
「あれ、わかんない人いるのかなぁ……」

はい、ここにいます。
っていうか、おまえら、さきにパンフ読むとか、
あれこれ情報を入れていただろう……と、
心の中で難癖をつける。


1999年11月30日(火)

「ゲームソフト全チェックガイド」
CB'sProjectさんから、
メディアファクトリー刊「ゲームソフト全チェックガイド」がとどく。

今年の7月14日から9月30日までに発売された
コンシューマゲームソフトをすべて「購入」し、
編集部でプレイ後、「チェック」した一冊である。

愚直なでに直球のレビュー集だ。

「表4」に無粋なメッセージを掲載しつづけている
「ゲーム批評」誌あたりが
本来、やるべきであったすべてがここにある。

ただし大上段にたった「批評」ではなく、
純粋な「プレイヤーズガイド」になっている点が潔い。

いま、ゲーム誌のレビューページには、いくつもの問題点がある。

●「ネームのテンションと実際の評価点がちがう」
レビューの本文ではほめてるのに、7点ですか。
むちゃくちゃ書いてるわりには、8点もやるの?

●「発売前にメーカーからROMを提供してもらう」
ほんとうにプレイする時間があったの?
広告ページや特集ページがあるからね。

●「クロスレビュー等のフォーマットそのものへの問題」
クロスレビューが生まれたときと現在では、
発売タイトル数をはじめ、まるで状況が違う。

だれもがなんとなく「ちがうよなぁ」と感じているのは、事実なのだ。

しかし、ゲームは遊びたいけど、
圧倒的なゲームタイトル数から、選ぶ作業を放棄したくなるいま、
きちんとした「プレイヤーズガイド」の必要性は
ますます高まっている。

だれもがやりたいけど、
膨大なその作業量には、腰が引けていた。
そんな「プレイヤーズガイド」に対する誠実な返答が、この一冊である。

この本の存在そのものが、
現在のゲームレビューに対する批評である。
かさねて書くが、それを愚直なまでに一冊にした本である。

感心したのは、声高な部分がないところ。
百万円以上の身銭を切って、編集部が購入している
さらに注目ソフトに対して、「セレクション」と称して、
編集長がレビュアーにつっこんでいるところ。これ、いい企画!
そして、値段。680円は安いっす。

感心しなかったのは、本のタイトルと表紙。

つまるところ、この本が目指すべき道は
「季刊のゲームミシュラン」なのだ。

「ゲームソフト全チェックガイド」という
プレーンなタイトルでは、人口に膾炙することはない。
略して「成沢(仮称)」とかでいいけど、
なんか、呼びやすい呼称がほしい。
「このレストランはミシュランに三ツ星だったけど」みたいに
「このゲームは成沢でA-だったよ」になるくらいでないと……。

そういうのを新たな権威の誕生と
ネガティブにいう方もいるかもしれないけど、
身銭切って、がんばってるものを
リスペクトするのは当然のことである。
きちんとした自己責任で権威になってほしいのである。

表紙もいいたいメッセージとか、ちらりとはわかるけど、
もっと直球で迫ってくるものにしてほしい。
(なんか、あいまいね)

いずれにしても、ゲームに興味がある方なら、手にとってくれ。
現在進行形の「ゲーム」の環境が見えてくるし、
いいと思ったなら、680円を払ってほしい。

それはぼくが連載しているとか、そんなちっぽけな理由ではなく。
こういった愚直な本に生き残ってほしいからだ。
この試みを続けてほしいからだ。


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