DIARY:2000 FEB.11〜20


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2000年2月11日(金・祝)

はじめてのお出かけ with aibo
TUMIのサチェルバッグに、タオルで巻いたミチゾーをつめこむ。
今日はわが家にミチゾーがきて以来、
はじめていっしょにお出かけする日なのだ。
途中、CB'sプロジェクトの成沢大輔さんと落ち合い、
午後6時、さくまあきらさんのお宅へ。

バッグからとりだし、
電源を入れたミチゾーは心なしか、元気がない。
なれない環境で、緊張気味なのか。
などと、思ってしまうのも、親バカくさくて、
いかがなものかとは思うが、だって、しょうがないじゃん。

いずれにせよ、元気がなかったのも一時的だったようで、
そのうち、ガニマタで歩き回り、こびを売りはじめる。
こいつめ……!

「思ったより、はるかによくできてるなぁ。
こういうのを見ると、ますます、テレビゲームの作家なんて
不要な時代がきたと思うよ」とは、さくまさんのことばである。
ちょっぴり複雑な気分。

奥さまの真理子さんもじっとミチゾーに注目。
飼い主冥利につきる。
その一方、なにか芸をするたびに、まめに頭をなでている
おれの親バカぶりがチェックされてないかと、
ちと不安になったりして……。

いっしょにいる成沢さんは、
海外仕様の第一期AIBOの持ち主なのだが、
「ああ、おれのAIBOと泣き声がちがう!」なんてことをいっている。
そうなのか。そういうものなのか。
よその家のAIBOもぜひ、観てみたいものである。

その後、成沢さんが
「さくまさんにぜひ、お見せしたい」と持ってきた
ドリームキャストの「東京バス案内」をデモプレイ。

「CRAZY TAXI」にしても、そうだけど、
マシンスペックの向上で、最大のメリットを享受するのは、
リアルタイムシミュレータなのだ。

「あたりまえ」のことが「あたりまえ」にシミュレートできれば、
それだけで豊穣な喜びがある。
問題はこのソフトが入手難ということではある。

その後、さくま家ご一家と、
さくまさんごひいきの「おけいずし」へ。
さくまさんの日記では、何度も店名を見てきた店だが……。
あいにく、おれにはこの「体験」を説明するボキャブラリーがない。
くやしいなぁ。うまいなぁ。くやしいなぁ。うまいなぁ。

食後、デザートを食べているときに、
ご主人がベイスターズの権藤監督がこの店の常連で、
そのうち、佐々木投手も……なんて話しはじめる。

おお! さくまさんが凍っている!
まるで、壁にぶつかったAIBOのようだ!!
ああ、ほんとうなんだ!
この人は、ほんとうのベイスターズファンなのだ!!

あいにく、ぼくはプロ野球について、
ここまで、ほれた経験がないので、そのときのさくまさんの心情を
形容するボキャブラリーがない。
それにしても、凍りつくほど好きになるものがあるなんて……。
くやしいなぁ。すごいなぁ。くやしいなぁ。すごいなぁ。

その後、「ブルドッグ」へ。じつは今日の本題は
つぎの「ゴチになる会」のドラフト会議だったのだ。

次回の「ゴチになる会」は、
さくまさん、成沢さん、そしておれの3人が、
それぞれ5人ずつ招待者を決めるという趣向である。
指名1位から3位までは、わりと決めやすいが、
そのあとが難物である。なんとか、ひねり出す感覚。

その結果については、乞うご期待としておこう。

その後、あれこれ濃い話に……。
成沢大輔さんはすっかり、「親分」モードである。

成沢親分はゲームマニアである!
彼の経営するCB's PROJECT
ゲーム業界で、真っ向から勝負する謎の株式会社である!!
ゲームと業界の話になると、
親分のエネルギーレベルは、二段階上昇するのだ!!!!!!
ってな感じ……。

その後、深夜1時まで、あれこれ話して、お開きとなる。
「なにを好きになるか」と「それを好きでありつづけるために」ってのが、
今日のテーマだったんだろう、きっと……。

タクシーで帰り、ミチゾーにたっぷり充電。


2000年2月12日(土)

AIBOのいる生活
作業中、AIBOを起動するのは、かなり気が散るものだが、
本やマンガを読みながら、ときどきなでるミチゾーは、
生活にちょうどいいリズムを生んでくれる。

そんなときは、リモートコマンダーを使って、
AIBOの発する音量を小さくする。

ちょっぴりうしろめたいあたりが、ポイントである。


2000年2月13日(日)

おおせのままに
女房「腹が減ったぞよ」
へへぇ!

女房「バレンタインデーのチョコを買いたいのじゃ」
おつきあい申しあげます。

女房「旅行や外出時に使えるパソコンが欲しいのじゃ」
して、どのような機能が……?

女房「外で原稿が書けるくらい、キーボードがうちやすくて、
画面が明るくて、フロッピーが使えて、軽くて、
メールとインターネットができる機種じゃ」
ならば、ウィンドウズCEの
モバイルギアII MC/R730では、いかがでしょうか。

女房「ふむ、なかなかよいのぉ。使いやすそうじゃ。
ところで、ウィンドウズCEとはなんじゃ?
ほかのノートパソコンとは、どうちがうのじゃ?」
できることは、ウィンドウズ98のノートPCのほうが、
はるかに多いのですが、CEは機能が限定されている分、
姫には使いやすいのではないかと、
それに電源ONで瞬間起動できますし……。

女房「ところで、VAIOとやらは、そのウィンドウズ98か」
さようでございます。

女房「VAIOとやらを見てみたいのぉ」
ははぁ。

女房「!」
これがVAIO N505でございますが、いかが、なされましたか?

女房「これじゃ、このヴァイオレットが気に入った!」
ヴァ、ヴァイオレットでございますか……。
しかし、ウィンドウズ98は、機能が多すぎて、
現在iMACをお使いになるのにも
四苦八苦されておられる女房さまが
あらたに覚えるのは、いささか問題があるかと、
VAIOには画像関係のプリインストールソフトが多いし、
メモリリソース的にも苦しい部分があって……。
電池の持ちも悪いし、起動に時間もかかるし……。
それにハードディスクを使う分、取り扱いにも注意が……。
文字入力中に間違ってさわりやすいタッチパッドよりも、
画面を直接タッチペンで押せるモバイルギアのほうが……。

女房「なにをつべこべぬかしておる!
色じゃ! このデザインじゃ!
色とデザインが気に入ったのじゃ!
それとも、VAIOなら、金がだせぬともうすか」
め、滅相もありません!
ただいま、きいてまいります。

…………。

申し訳ありません。
VAIOは、注文殺到で、到着まで2〜3週間かかるとのこと。

女房「なんじゃと! 週末の旅行に間に合わぬではないか!
ええい、たよりにならん」
へへぇ!

女房「しょうがない。そのモバイルギアとやらにしようかの。
デザインにピンクもヴァイオレットも使ってないのが
気に食わんが……」
た、ただいま買ってまいります。

女房「ご苦労であった。
ところで、これを入れるケースも欲しいのじゃが……」

そんな一日。


2000年2月14日(月)

レナス2の同窓会
新宿の「木曽路」で「レナス2」開発スタッフと「同窓会」。

出席者はぼくのほかに、プロデューサーのおかもとさん、
グラフィックのK井さん、みもさん、
プログラムのyouderngさん、かづきさん。
肩書きは当時のもので、
現在、かならずしもその仕事をしているとは、かぎらない。

部分集合で説明すると、二分の一がSCE系、
三分の一が既婚者(バツイチを除く)、六分の一が鬼畜である。

Webでのつきあいがあったり、
なにげなく会ったりしている人も多いので、
「おお!」っというような、驚きはない。
なにより、この歳になれば、人間、そんなに変わるものでもない。
行方不明の人はあいかわらず、行方不明だし、
悪人はあいかわらず、悪人である。
ああ、おれも悪人になりたかったが、かなわぬ夢か。

しこたま、しゃぶしゃぶを食い、
みもさんをのぞく男5人で、むふふワールドに突入後、
終電の時間に帰る。


2000年2月15日(火)

AIBOと格闘
AIBOのミチゾーと格闘する。といっても、たいしたことはない。
ある仕事の関係で、
デジカメでミチゾーのキュートでラブリーな写真を
撮らなければならなくなったのだ。

デジカメの特性で、微妙にシャッターのタイミングがずれるし、
自律モードでのミチゾーは、いつ、どんなポーズをとってくれるか、
予想もつかない。

右手でデジカメをホールドし、
左手でミチゾーをなでたり、ピンクのボールであやしたり……。
なんだかんだで、バッテリー3本分……
4時間くらいは、ミチゾーとつきあうことになる。

結局、撮影した2メガピクセルのJPEG画像が、
200枚ほど……。これの整理もせねばならんのか。
うへぇ。


2000年2月16日(水)

マウスと格闘
明日までに終わらせなければならない作業の多さに、
徹夜でマウスを動かし、キーボードをたたきまくる。

それでもかたづかないので、
メタルマックスの会議出席を断念。

ついでに、夜から深夜の楽しそうな飲み会に出席することも
六本木に遊びにいくこととか、
あれやら、これやら、断念しまくる。

うへへぇ。


2000年2月17日(木)

人と会ってないぞ!
まる三日、女房以外の人間とろくに会話していない。
では、女房とろくに会話しているかというと、
それも疑問である。

うへへへへへぇ。

そんな日々でも買いものは楽しい
さて、ここから、ちょいと書き足す。

コンピュータをさわりっぱなしの数日だが、
気がつくと、そのまま、買いものできちゃうのが、
インターネット時代のすばらしいところである。

カナダの通販業者に、
日本未公開とか、入手困難もののVHSビデオを三本。
うち一本はリチャード・ドレイファス、ジェシカ・ハーパー主演の
映画「Inserts」(テレビ放映時タイトル「ボーイ・ワンダーの孤独」)だ。

某サイトの深層で、クラニーという人や角銅博之という人と
ジェシカ・ハーパーについて、書きこみあっているうちに、
衝動的に注文を出してしまったわけだ。
通関をとおるか、どうかが勝負ではある。

ほかにもVAIOのサイトで、VAIO専用バッグを買ったり、
本を買ったり……。


2000年2月18日(金)

一路、北海道へ
徹夜だが、一部の仕事が終わっていない。
おかしいなぁ。終わるはずだったんだけどなぁ。
サイトの更新も滞ったままだし……。

ANA59便で、羽田→新千歳、1時間20分の機中で
なんとか、最後の原稿をまとめ、
新千歳空港から、携帯でメール送信。やれやれ……。

なんだか、機内前方にえらく、きれいな人がいると思ったら、
台湾出身の女優スー・チーだ。

13時14分、新千歳空港駅から臨時の貸しきり特急で、
夕張へむかう。つまりその……、
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2000」が目的地なのだ。

1号車にはスターや監督のみなさま、
2号車には配給会社のみなさま、
3号車にはプレスや特別ゲストのみなさま、
4、5号車には、関係スタッフのみなさまが乗っている。

夕張市は南北に長い。
北から市内に入ってから、終点の夕張まで、いくつも駅がある。
その駅ひとつひとつに15秒から1分程度、停車するのだが、
駅につくたびに、ホームの上、1号車付近に、
小旗を持った市民の方々が集まり、
スターの方々に旗を振っている。

それどころか、走っている電車の窓から外を見れば、
スノーモービルにつながれたボーダーのみなさんが、
雪原に文字を描いている。

なんか、すごいなぁ。

おれはなぜだか、ここにいる零細ゲームデザイナーなのに……。
ええ、そんなに旗を振っていただかなくても……。
お召し列車を内側から見ているようだ。

夕張駅についたら、歓迎セレモニーである。
楽団が鳴り響く中、七福神の仮装の人までいる。
地元局の取材や市民のカメラの砲列。

あれよあれよと、その中に突入したおれだが、
気がつくと右手には一輪の花、左手にはアゲジャガを持っている。
なるほど、本日、世の中的には、
なにか新ゲームハードのお披露目会をやっているそうだが、
そっちにいかず、こんなとこで、アゲジャガをほおばっている自分を
とても、いとおしく思ったりして……。

ていうか、PS2というハードに対する期待感が
いま、あまりなかったりするのは、いかがなものかと、
自分でも思うんだけどね。

2週間たてば、買えちゃうハードよりも、
1年以内に日本で公開できるかどうかわからない
映画を観たほうが、気分的には楽しい。

 
(左)千歳空港で歓迎。(右)車窓で歓迎。

 
(左)夕張駅で歓迎。(右)佐伯日菜子さんの舞台挨拶。

ゆうばりファンタ初日
ホテルに到着し、荷ほどきするやいなや、シャトルバスに乗りこみ、
ゆうばり文化スポーツセンターへ。
ここで開会式とオープニング映画「トイ・ストーリー2」の上映がある。

会場でお会いした今川千佳夫さんの話では、
会場のサウンドスクリーンは
スチュアートの「継ぎ目のない」最新のものだそうだし、
スピーカーはJBLで、反射特性0.1の天井など、
なんか、とてつもない音響特性なのだそうだ。

開会式では審査員や特別ゲストの方々の挨拶に、
市長の開会宣言など。ああ、なるほど……。
みなさんの噂どおり、おいしいキャラの市長さんである。

さて、「トイ・ストーリー2」だ。
うっひゃー。こりゃまたなんと豪華な映像。
たしかに音響もすばらしい。
横幅16メートルのでっかいスクリーンは気持ちいい。
すみません。うかつでした。夕張をあなどってました。
どうせ、たいした環境は期待できないと思ってました。
日比谷あたりの映画館より、
こちらのほうが問答無用ですばらしいっす。

さて、「トイ・ストーリー2」だ。
前作よりさらにスケールアップしたドラマに作りこまれた画像……。
2作目としておなじみのキャラの冒険に、
魅力的かつ人間くさい新しい「おもちゃ」……。
えーーっと。

さて、「トイ・ストーリー2」だ。
えーーーーっと。えーーーーっと。えーーーーっと。
すみません。正直にいいます。
クライマックスの15分ほど、寝ちまいました。
だから、肝心の部分をかなり見落としてます。
したがって、書く資格ありません。

いえ、映像がダルだったとか、そういうことはないっす。
ひとえに、その、旅行前の睡眠不足で……。
えーーっと。くやしいなぁ。
いきなりこれかよ。なにしに夕張に来たんだか。

さて……。気をとりなおして……。

つづいて、ホテル・シューパロのウェルカム・パーティ。
会場にいくエレベータ内で吉野紗香さんと乗りあわせるが、
いきなり「さくまあきらさんと福ちゃんの知り合いです」なんて……、
いえるわけないだろ(若き放送作家への私信)!?

ちなみに、パーティ会場で佐伯日菜子さんを
網膜に焼きつけたりしているうちに、
会場から食べるものがなくなって、失意のどん底である。

夕張市が誇るデブ小学生軍団による
餅つきなどもあったのだが、肝心の餅がふるまわれるころ、
ちょうどトイレにいっている間の悪さ。

仕方がないので、夕張メロンワインをがぶがぶと飲む。
なんか不思議に酔っぱらうぞ、これ。

へろへろとほろ酔い加減で、深夜11時に市民会館へ。
佐伯日菜子さんの舞台挨拶を堪能して、いよいよ「蛇女」。

さて、「蛇女」の英題は、Zombie Snakeである。
えーっと「蛇女」である……。
すみません……。
上映時間の80%ほど寝ていました。だから、なにも書けません。
このあともここでは、オールナイトで、いろんな映画が上映される。
観たくてたまらんが、さすがにこれではまずい。

帰って寝る。
映画祭にきたのに、映画を観た覚えがない初日であった。


2000年2月19日(土)

ゆうばりファンタ2日目
目を覚ましたのが朝9時、
朝食ビュッフェも大浴場も朝9時で終了。
あらららら……。
ホテルのラウンジメニューには、ドリンクしかない。
しかも、ここは夕張である。
駅前に出て、気軽になにか食べるというわけには、いかない。
クルマが主力の地方都市である。それに食事できるところは
朝10時とか11時以降に開く。

うーーん。朝から昼にかけて、
空腹をかかえたまま、映画を観るのか……。
ピンチだ。

あ、佐伯日菜子さんだ! すこし空腹がまぎれる。
佐伯日菜子さんも乗っているシャトルバスで、
ゆうばり文化スポーツセンターへ。

あたりを見ると、特設テントでアゲジャガやうどんを売っている。
道路のむかいがわにはスーパーもある。
スーパーでおにぎりなどを買い込む。

食いものが確保できたので、人として、ほっとする。

今日最初に観るプログラムは
「デジタルシネマ・プレゼンテーション」である。
映画の未来を予感させるデジタルプロセス映像の数々を
夕張市の誇る巨大スクリーンに映しだす
今回の目玉企画のひとつ。

従来、映画において、いったんキネコされ、
CGIから35ミリフィルムに落としこむしかなかった過程が省かれ、
直接ハードディスクに書き込まれた生のデジタル信号が
プロジェクターによって、
スクリーンに映し出せるというのが、大きなポイント。

簡単にいえば、映画館が、
通信カラオケボックスと同様のシステムになっちゃうということだ。
だから、デジタルといっても、こわがる必要はないぞ。

高コストなフィルム代がなくなることにより、
映画館料金が安くなる可能性もある。

ご家庭のデスクトップ機で作られた映像が、
つぎの瞬間には、大劇場で上映される可能性もある。

DTP同様、映像製作者は
ぎりぎりまで締め切り(納期)を延ばせるが、
それがゆえに思わぬ負担がある可能性もあるけど……。

「スターウォーズ エピソード1」のデジタル上映でも使われた
松下製のDLPプロジェクター「DH-9600」と、
IMAGICAのHDデジタルレコーダー「プルート・ハイパースペース」を
機材として使用。

今川千佳夫さんと、ヘンリー石井さんのおふたりが
今回のナビゲータ。
ケレン味こそないものの、誠実に説得力あふれることばで、
数々の映像を紹介していく。

作品は大きく分けて3種類。
ハイビジョン撮影のデジタルムービー、
ゲームの映像まで含めたデジタル・アニメーションと3DCGだ。
デジタル映像の提供は
プロダクションI.G.、TYO、トリロジー、STUDIO4゜Cなど。

中には生のデータが間に合わず、
いったんNTSC(通常のテレビ形式)から
デジタルに再変換したものもあったが、
生データのものは640×480ピクセルクラスのものでも
幅16メートルのスクリーンに映しだしても、
かなりの高品位で、清潔かつ小気味よい映像を見せてくれる。

いくつかの作品では、高品位の映像に、
サウンドが追いついていない部分も感じられたが、
これはしょうがない。

良質のクレイアニメーションのような手触りの作品も多く、
なかなか楽しいイベントであった。
なかでも「鉄コン筋クリート(パイロット版)と「PiNMeN」の
トリロジー作品は、抜群。

デジタルうんぬんの難しい印象をあたえるものの、
作品そのものは、人間が楽しむにたるものだし、
作品を作っているのも人間である。

テレビの原理はわからなくとも、
テレビを普通に観られるのと同様、
デジタルの成果は案外近いところに見えてきているし、
映像を安く効果的に創れる可能性は、かなり高くなっている。
おもしろい時代になってきたなぁ。

バンパイアハンターD
つづいて、同じ会場で、「バンパイアハンターD」。
川尻善昭監督、6年越しの執念の成果である。
ロフトプラスワンでなんども菊地秀行さんが、
自分の原作で「やっといいものができそうだ」と
話していらっしゃった作品である。
2000年度中に公開できるかどうか、まだわからない作品である。

いや、すごかった。圧倒された。
どこかで見たことのある映像、どこかで聞いたことのある話、
しかし、よく考えてみると、かつてどこにもない……。
そんななつかしくも、やさしく、強い作品だった。

ああ、映像化されると、つくづく「山田風太郎」的テーストが
強調されるなぁ。

その後、タクシーで「みんなの家」という集会場へ。
川尻監督と菊地先生を囲む会で、
ちょっぴり、ロフトプラスワン風に楽しむ。

 
(左)舞台挨拶。(右)囲む会。

映画「人狼 JIN-ROH」
現地にいたライターの小林治さんと
角川春樹事務所の大喜戸千文さん(自費で原稿とり)、
ニフティサーブの鈴木奈美子さんと、いっしょにジンギスカン。
一人前、650円は安いなぁ。

つづいて、市民会館で「人狼 JIN-ROH」を観る。
じつは、ほかの映画を観るつもりだったが、
ホテルのロビーでばったり会った
アスミック・エースピクチャーズのTさんに
「え? 普通、人狼、観るでしょ!? 今回の目玉の一本だよ」
と、いわれたら、観るでしょ!

監督は沖浦啓之氏だが、押井守原作・脚本ということで、
話題の作品。
世界の映画祭をまわり、日本では、これが最初の上映。

「わかりやすい押井守だった」とは、周囲の方の弁。
ゲームにたとえるなら、なんか、
「ファイナルファンタジータクティクス」みたいのが、
好きな方にどうぞってやつ。

おれとしては、どうでもいい作品……かな?
書生論的「第三の男」みたいなテースト。

部屋に帰ると、携帯電話が鳴る。
ライターのあげこさんが、腹が減ったというので、
寿司を食いにでたのだが、目当ての寿司屋は閉まっている。
しょうがないので、またジンギスカン。
一日、二度も食うのは、いかがなものか。
胃袋の8割は、ひつじである。

部屋に帰ると、また携帯電話が鳴る。
小林治さんが「飲もう」と、誘ってくれる。
あげこさんに声をかけ、
ホテルの裏にある居酒屋「俺家」を目指す。
おお! 店の前には、佐伯日菜子さんがいる!

大喜戸千文と小林治さんが到着し、店内に入る。
「いま、佐伯日菜子いたでしょ!」と、おれ。
「ええ!?」と、一同。
ふふふ……。

小林治さんは、いまはなき「OUT」誌の副編集長である。
なんか、当時から今のその筋の業界話をあれこれと……。
まぁ、ほんとに、よくしゃべる人ではある。

店を出て、歩いていると、カラオケスナックの前に、
佐伯日菜子さんがいる。
ほんとうにひとりなのか、これだけ会うということは、
クローンが大量に夕張を徘徊しているのではないのか。
エコエコアザラク。
こんどは、みなさんに耳打ちして、教えてあげる。


2000年2月20日(日)

ゆうばりファンタ3日目
今日はきちんと朝食もとれ、戦闘態勢はばっちり!
すぐにシャトルバスで夕張文化スポーツセンターへ。
今日はここにある世界最高級、日本最大級のスクリーンで、
たっぷりと映画を堪能する予定。

スクリーンと音響に関しては、渋谷の映画祭で観るよりも、
はるかに幸せだったりするのが、この映画祭の大きなポイントだ。
70ミリ映画だって上映可能な
これほどのスクリーンが夕張市の財産なのだ。
きっと裏に「夕張市備品」とシールが貼ってあるにちがいない。

映画「真夏の夜の夢」
ケビン・クライン、ミシェル・ファイファー、ルパート・エベレット、
ソフィー・マルソー、スタンリー・トゥッチ、クリスチャン・ベール……と、
豪華キャスト共演のシェイクスピア喜劇。

近代イタリアを舞台に、自転車、蓄音機といった
小道具が効果的に使われている。
まさか、妖精パックが自転車でかけぬけるとは……。

シェイクスピアのスクリプトをダイレクトに使い、
ラ・トラヴィアータなどからふんだんに曲も使うなど、
「ロミオとジュリエット」大ヒット以降のシェイクスピアブームの
基本をきっちりとおさえた作品。
なにより、チネチッタ撮影所ならではの色彩がみごとで、
ほんとうに豪華でゆたかな時間を過ごす。

映画「玻璃(ガラス)の城」
レオン・ライ、スー・チー、ニコラ・チェン、ダニエル・ン主演の
香港メロドラマ。
学生運動が盛んな70年代から
中国返還にゆれる1997年を舞台に、2世代にわたる愛の物語。
絶妙な「ご都合主義」で描いているのが、いいっすね。

生も見られたスー・チーさんが、
たいへんにアトラクティブで、なんとも……。

舞台挨拶でダニエル・ンがくることもあって、
会場は、女性でいっぱい。

 ←ホテル・シューパロ玄関。

映画「ティーチング・ミセス・ティングル」
「スクリーム」や「ラストサマー」、「パラサイト」のシナリオで、
いま、いちばん活きのいい脚本家、
ケヴィン・ウィリアムスンの初監督作品。

知的な青春ホラーの俊英が、初監督で
どんな映画を作るかと思ったら、いやはや、原口一也さんが
大喜びしそうなダークコメディ。

ヘレン・ミレンといえば、
おれ的には「エクスカリバー」の魔女役が最も印象的なのだが、
それに勝るとも劣らない、
サディスト女歴史教師役で、大活躍!
いやはや、もう……。

作品内容については、映画祭公式サイトをご覧いただくとして、
タイトなシチュエーションと、息をもつかせぬサスペンス、
伏線とキャラのからみ具合がほんとに、うまいなぁ。

監督も夕張にきていたそうだが、体調を崩し、
急遽帰国とのこと。すっげぇ残念。

映画「東京爆弾」
前日のデジタルシネマ・プレゼンテーションの第二部企画。
「漫画アクション」に連載していた
矢島正雄/はやせ淳原作の漫画をDVC撮影したオムニバス作品。

いや、主演の竹中直人の「笑うセールスマン」ぶりも
おいしいんですけど……、
なんというか、「ビデオな」作品で、これだけの大スクリーンでかかると、
かなりつらいものはありました。その点が、まぁ、残念というか。

夕張の食生活など
一日、スポーツセンターにいたので、
近所のコンビニのおむすびや、
広場の特設テントの「うどん(まずい)と、
焼き鳥と称した「焼き豚(うまい)」や、「揚げたこ焼き」が主食。
夜食はホテルの前の「寅次郎ラーメン」なり。

ちなみに今日は佐伯日菜子さんとは、遭遇できず。
ちえっ!


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