史上最低のスキー行
信州白馬一帯は、一昨日、大量の積雪があったこともあり、
どこのゲレンデも、なかなかよさそうなコンディション。
O田弁護士の運転するエスクードで、
白馬岩岳スキー場へ。
しかし、なにか大会をやっているせいか、駐車場はいっぱい。
さらに北へ進み、白馬コルチナスキー場に到着。
とりあえず、からだ慣らしに中斜面を1本。
雪質がかなり重い。けっこう暖かくて、汗をかく。
積雪量こそ多いものの、春スキーのコンディションである。
厚着をしてきたことを後悔する。
リフト2本を乗り継ぎ、山頂付近へ。
そこから南に滑っていくと、柵があり、
「SAJ検定2級相当以外の方はご遠慮ください」と
表示されている。
ま、たいしたことないでしょ……と、思ったおれが悪かった。
まず、見えてきた斜面には
「最大斜度42度」なんて、書いてある。
最近、東武動物公園にできた
水上木製コースター「レジーナ」の最大斜度は50度。
つまり、42度はただの壁である。うひゃあああ。
おれ以外の3人はここをすべるというが、
悪いがおれには体力がない。
このさきにあるべつの斜面にいくと告げる。
あまかった。こちらの斜面の最大斜度は39度。
たった3度しか変わらないじゃないか!
覚悟を決めて、滑り降りるが、
全体の3分の1ほど滑ったところで、息が切れる。
休んでいるうちに、汗がだらだらと流れる。
下に見える残りの斜面を見るうちに気が遠くなる。
こんなにいい天気なのに、気分は絶望的である。
降りなければ、話にならないので、降りたけど、つらかった。
朝早くから、体力の限界。ふだんの不摂生を感じまくる。
別れた連中と合流後、すこし滑ったところで、昼食。
昼食後、ふたたび滑っているうちに、
O田弁護士の板のバインディングが不調になる。
O田弁護士は、買ったばかりの山スキーを使っているのだが、
かかとを固定する装置が、いかれてしまったようだ。
彼はもう一本、テレマークスキーの板を持参しているので、
板を取り替えるため、クルマにもどる。
ゲレンデで待っているうちに、おれの体調はすこし回復したが、
こんどは鼻の調子がおかしくなる。鼻水がたらたらと流れる。
おれの場合、これは風邪の前兆である。
大量に汗をかいた状態で、冷たい外気に触れているのが、
まずかったのだろう。
もどってきたO田弁護士らは、乗鞍方面に行くというが、
その誘いを断り、こちらで5、6本、たらたらと滑る。
滑っているうちにも鼻水たらたらで、みっともない。
ちなみに、ものもらいの目は、ふくれあがっている。
重い雪質は緩斜面でさえ、疲労を誘う。
午後4時、約束の合流時間。
しかし、O田弁護士一行はなかなか、来ない。
30分ほど遅れて到着した一行は、
みんな、くたびれきった顔をしている。
それどころか……。
「O田さん、たいへんなことになったんです」と、けーむらくん。
おれが難儀したあの斜面で、O田弁護士は転倒。
右手首を捻挫してしまったそうだ。
下駄の鼻緒が切れるのは悪い前兆だが、
バインディングの故障も、
この災禍の前兆だったのかもしれない。
レスキューで湿布をしてもらったO田弁護士だが、
問題は残っている。
そう、O田弁護士はドライバーなのだ。
左手一本で運転するO田弁護士。うああ。つらそう……。
おれたち4人の命は、つまり、
O田弁護士の左手一本にかかっているのである。
難しいことを考えると、たいへんだから、
極力、考えないようにする。
白馬駅近くの薬屋により、O田弁護士は湿布を、
おれは鼻炎薬を買いこむ。
混雑している「エコーランドの湯」に入り、
街道沿いの店でそばと馬刺しを食う。
ここから、ザウルスを使って、メールチェックを試みたが、
電波状態が不安定でうまくいかない。
それどころか、ザウルスを床に落っことす。
確認してみて、大丈夫だなと思っていたのだが、
東京に帰ってよく見てみると、液晶画面が割れていた。
状況をもう一度確認しよう。
目はぼろぼろ。鼻は風邪の前兆。体力は尽きかけ。
ザウルスは損傷。ドライバーは片手しか使えない。
ああ……。
ペンション帰着後、すぐにベッドにもぐりこみ、爆睡。
疲れているせいか、夢をたくさん見る。
けーむらくんの話によれば、早朝3時ごろ、
おれは、ゆかいそうに声を出して笑っていたそうだ。
わがことながら、へんなやつである。