京都とんとん拍子
午前10時、京都ホテルのチェックアウトをすませ、
京都さくま邸経由でイノダコーヒー三条店へ。
古都の朝は珈琲とホットサンドの香りとともに!
そこから、男9名ぞろぞろと、うどん屋「うえだ」へ。
古都の昼は、さっぱりしたうどんとともに!
さくまさんのおすすめは、「おろしうどん」。
ただ、ぼくのトイメンにはアンゴルモア成沢大輔がいる。
アンゴルモア成沢は霊障には強くても、生卵と豆腐に弱い。
敵のウィークポイントを責めるのは、戦闘の基本。
月見豆腐おろしうどんは残念ながら、ないのだが、
月見おろしうどんの注文は当然でしょう。
大根おろし、ごま、生卵のハーモニーに、くらくらよ。
あんまり、くらくらしすぎて、国政修さんの膝と股間に
お茶をこぼすという無作法をしでかしたのは、このおれだ。
VAIOノートに珈琲を飲ませたり、
国政さんのパンツにお茶を飲ませたり、
歩く水難の面目躍如と、申せましょう。
ふたたび、京都さくま邸で桃太郎な会議。
予想外な展開というか、いやもうまったく……。
とんとん拍子に二転三転。
とほほで、うきうきで、くらくらで、旅に出てもいいですか。
もちろん、一人旅です。ああ……。
そんな感じでメダパニ。
午後3時30分。喫茶店「アルザ」に移動。
すぎやまこういち先生ご夫妻に、
京都相互タクシーの宮本さん、
サザンオールスターズの関口和之さんが、
あいついで到着。
携帯電話の着メロの話とか、ドラクエ7のあれこれとか、
なつかしいゲームの話とか、
とても興味深い話を立て続けにされるすぎやま先生……。
ただ、おれはといえば、メダパニである。
なぜ、こんなにメダパニかといえば、原因はすぐにわかるのだが、
詳細は諸君の想像におまかせしよう。
「M」
映画マニアにとって、「M」といえば、フリッツ・ラングだが、
さくまにあにとって、「M」といえば、京都の名店である。
午後5時半、桃太郎チーム京都合宿は終了。
一同、解散後、さくまファミリー、土居孝幸さん、関口和之さん、
アンゴルモア成沢大輔、そしておれは、あの「M」へ。
さくまさんの日記にたびたび描写される「M」は桃源郷。
その存在は、おれの中でかなり膨らみ、
想像の中で、そのサイズは清水寺クラスになっていた。
いや、清水寺とまではいかないまでも、
京都で最高にうまい店といえば、
石庭の中、鹿威がカコーンと鳴る、
そんな光景を想像したとしても、
あながち、責められないと、いってくれ!
京都に対して想像力が貧困なのは、
経験値が不足しているだけなのだから。
しかし……、タクシーから降りて、はじめてみた「M」は、
町屋の中にさりげなくある、
なんとも瀟洒なかわいいお店ではないか。
中に入ってみても
カウンター席に、小さな奥座敷があるだけである。
どこにもカコーンと鳴るものはない。
奥座敷に進む肉体の豊富な方々……。
座敷には、神戸での買いものをすませた
佐久間真理子さんとゆりちゃんの姿。
まずは雲丹である。
テーブルに並んだ雲丹を
海苔で手巻きして食べるという趣向である。
九州出身のおれは
生涯においていろんな雲丹を食ってきた。
だが、目の前で海苔とともに食べる雲丹は
もう、おれの知ってる雲丹じゃないね。
食べ進むと、口の中に唾がわく。
はぐはぐと食べてるうちに、おれの目の前から、
雲丹がなくなるのは当然の結果だが、
右にいる関口さんの雲丹がまだ残っているのは、羨望の対象。
とりあえず、肉体にものをいわせて、
関口さんから雲丹を強奪しなかっただけでも、ほめてくれ。
つづいて、ふぐ刺し……。
九州出身のおれは、クルマで1時間ほど走れば、
下関にいけるわけだが、
ごめん、この季節にこんなフグを食えるとは、
思わなかったよ。
え、しかもそのフグを目の前の七輪で焼くと、
こんなにうまいわけですか。あちゃああ。
口の中に入れるフグの量と、口から湧きだす唾の量、
どっちが多いか、わからない。
食っているうちに、生唾がわくなんざ、初体験。
フグにしてもちょっとやそっとの量だと思うでしょ?
ちょっとやそっとの量じゃないんですね。
つづいて、なんですか、そのピンク色したものは!
おい! まさかとは思うが、あれか。
あれを、そんな量で出されたことなんて、いままでないぞ。
近海ものの冷凍ぬきの、トロであった。
ああ……。
お忘れかもしれないが、おれはついさっきまで、
打ち合わせとかいろいろあって、メダパニだった。
しかし、メダパニを癒すには、さらなるメダパニしかない。
メダパニAは仕事で何度も経験したことだが、
「M」で初体験のメダパニBは、初体験である。
迎え酒とはちがうぞ、迎えメダパニだ。
この日記を書いているのは、ほぼ、48時間後だけど、
味の記憶が明白で、生唾でまくりだぞ。
まだ終わらないんですか。
ええっ!? 松茸を焼くんですか。
部屋の中が松茸の香りで一杯です。
酸素分圧、窒素分圧、松茸分圧……。
肺の中にある空気の70%くらい、松茸です。
ごめん、おれは過去5年で食った以上の量の松茸を
ここで食いました。
それは毛ガニですか。
そのままほぐして食べて、うまいっす。
つけ汁につけて、幸せです。
ああ、そんなにわさびを入れて、鴨ですね。
鴨の鍋ですね。
ほとんど鴨のしゃぶしゃぶじゃないですか。
小学生のとき、八幡製鉄所の社員慰問で、
大谷記念体育館にドリフターズがきたことがあるんです。
カトちゃんがいました、長さんがいました。
記憶の中では、ショーは8時間くらいあります。
実際にはそんなに長いはずはありません。
いいところ、2時間くらいでしょう。
そのショーを見ているとき、あまりにも幸せで、
「終わってほしくない。終わってほしくない」と、念じていました。
38年間、生きてて、
それに近い感覚をふたたび味わえました。
「いつまでも食べていたい」
「このおいしい時間が終わってほしくない」
この幸せ、なつかしすぎます。
ああ、メダパニBがなせる技なんでしょう。
おもわず、iモードで糸井重里さんにメールを送ってしまいました。
だって、「Mは、おいしいんだよ」っていえる相手って、
ほかに思いつかなかったのです。
ミニいくら丼です。
いくら2に対して、ご飯1の割合です。
くはああああああっ! 口の中、いくらだらけ。
シーフードカレーか、ハヤシライスか二者択一ですか。
じゃあ、シーフードカレーをひとつ。
え? なんで、シーフードカレーなのに、
松茸が入ってるんですか。ぺろり。
追加していいんですか。
じゃあ、ハヤシライスをひとつ。ぺろり。
そして、レモンのシャーベットが
こんなにせつないなんて……。
つまり、デザートって、終わりってことじゃないか。
初めてのキスはレモンの味。せつないMの最後もレモンの味。
いや、書きそこなったんですが、Mのご主人というのが、
じつにまぁ、おいしそうな顔をされているんです。
話にも聞いたし、さくまさんの日記で顔も見てるはずなんですが、
生で拝見すると、もう、たまらないほど、おいしそうなんです。
鯖の棒寿司をお土産にいただいて、にこにこ。
終わったんだなぁ、くよくよ。
幸せすぎて、せつないよぉ。
いったん、さくまさんのお宅におじゃまして、
置かせてもらっている荷物を受けとり、京都ブライトンホテルへ。
チェックイン後、ツアーご一行さまと、お茶。
終わったんだなぁ。Mでの食事が……。
客室にもどったところで、iモードに着信。
糸井重里さんである!
「ぼくはいま、筑紫楼でフカヒレをくってきたんだい。
・・・と言ってはみたものの、ものすごくうらやましいです。
さくまさん、お会いしたことないけど関口さん、
そして、ます多のご主人に(特に!)くれぐれもよろし/」
iモードの文字数制限で、後半が読めないのは、
くやしいものの、ご返信ありがとうございます。
糸井さん、料理に酔っていたとはいえ、
たいへん、失礼いたしました。