平将門の末裔といく「帝都物語体感ツアー」
今日の記録は、どこからどこまで書いていいのか、よくわからない。
とりあえず、パソコンのキーボードをたたくことにするが、
記載にまずい点や間違ったことなどあれば、
後日、修正することもありうることだけは、明記しておこう。
いずれにせよ、特定できる個人の不利益になる記載だけは
極力、回避するつもりではある。
「死んだら、それっきり」
世の中にあるあやしげなものは、話としてはおもしろいけど、
現実に存在する諸般のいいわけとしか、
思っていなかった一年前の自分が、
20世紀も残りすくないいま、
こんな人たちとこんなところを歩きまわるというのも、
奇縁……というほかは、ないだろう。
午前10時すこし前、いまだ冷たい空気の残る浅草雷門。
約束の時間に遅れ、集合場所に到着する。
そこにいたのは、E女史、志方ひろみさん、岩崎摂さん、
櫻井清彦さん、佐久間真理子さん、角銅博之さん、
けーむらくん、高瀬美恵さんの8人である。
E女史は平将門の末裔、ひろみさんと摂さんは霊能者。
あとは単なるツアー参加者なり。
今回のツアーは霊的なパワーを消耗したひろみさんが、
東京の霊的スポットをいくつか移動して、
充電をすることが大目的らしい。
ぼくを含めたツアー参加者は、まぁ、野次馬である。
まず最初のスポットは、浅草寺……ではなく、浅草神社である。
びんざさら舞の神事でも有名なこちらの神社は、
浅草寺本道の賑わいにくらべれば、訪れる人も少なく、
のどかな風情さえある。
ひろみさんと摂さんの話によれば、
午前中ならではの純粋に近いあたたかな「ちから」が
ここにあったそうだが、ぼくにはさっぱりわかりません。
境内では猿回しが行われ、人力車に乗った新郎新婦が
その前をさしかかる。きれいな花嫁さんだったなぁ。
浅草神社の霊的な「ちから」は、
ひろみさんと摂さんが「ごちそうさま」しちゃった模様。
おいしかったですか。よかった。よかった。
ここで、田森庸介さんが合流。
集合地点には到着していたものの、
うまく出会えなかった模様。
その後、本堂を経由して、金龍権現堂と九頭龍権現堂へ。
金龍山浅草寺の名の由来ともなったこちらは、
本堂よりも濃厚な「ちから」があるという。
堂の前にろうそくを立て、
なかの「なにか」を呼び起こすひろみさん。
その「ちから」をふたつの掌のあいだに
包み込み、野次馬一同に「暖かいよ」と、さわらせてくれる。
大部分の人が「おお! 暖かい」といっている。
自分はといえば、なんとなく暖かな気がしたものの、
気のせいでしょといわれれば、気のせいかもという程度。
話は前後するが、
神社仏閣では「お願い」をしてはいけないと、再三、注意される。
神社では「お願い」という欲望を託すのではなく、
「さまざまな縁」のお礼をするとのこと。
こちらは、霊能がなくとも納得できる話。
しかし、賽銭を投げ、手を合わせると、条件反射で
願をかけたくなるのは、なかなか治らない「癖」ではある。
つづいて、生まれ年十二支本尊「影向堂」へ。
ひろみさんにとっては、ここがいちばん、すごかったらしい。
なにかの「ちから」がほとばしっていたらしい。
なんだか、松茸の山にいる松茸掘りの名人みたいだなぁ。
ただの山肌から、ひょいひょい松茸を掘りおこし、
その場でむしゃむしゃ食べていく。
おれはといえば、そんな松茸の味も香りも知らないので、
「はぁ、おいしいんですか、そのキノコ?」と
まぬけ顔で問うばかり。
そんなとぼけた不信心のせいかどうか、
影向堂からでるとき、階段をばたりと転んでしまい、両膝を強く打つ。
いつもなら、うっかりものの所業だけれど、
今日ばかりは、なんかありそうで、やな感じ……。
とことこ歩いていくと、ひろみさんから、注意が飛ぶ。
「あ、そこのめぐみ地蔵には気をつけてね」
めぐみ地蔵というのは、人にめぐみをあたえる地蔵ではなく、
人からめぐみをいただく地藏さんとのこと。
よくわからないが、素直に顔をそむけながら、
めぐみ地蔵の前を通過する。
世の中のたいていのことはそうだけれど、
よくわからないものに対しては、とりあえず、
敬意をはらっておくに越したことはない。
それにしても、そんな危険(?)なポイントがあるのなら、
プラスとマイナスを詳細に解説した
東京霊的スポット攻略マップがほしいところだが、
日時や状態、人間によって、さまざまに変化するものらしいから、
そういうわけにもいかないようだ。
だれかを嫌いになったら、「霊験あらたか」なスポットとして
「めぐみ地蔵」を紹介することにしようかな(うそ)。