DIARY:2002 SEP.11〜20


Top(表紙)へ
日記詳細インデックスへ:↑最新の日記ページへ↑
←前回の日記ページへ次回の日記ページへ→


2002年9月11日(水)

あれから1年
本当に早いもので、あの衝撃的な事件から1年がたつ。
このサイトにある当日の日記を読みかえしてみたが、
どこかとまどうようで、どこか生硬で……。
ある種の躁状態もあったのだろうな。

博多へ
午後1時発のJAS311便で、羽田から福岡へ。
博多中洲ワシントンホテルプラザにチェックイン後、
のんびりと風呂につかり、1時間ほど寝る。

今朝はあれこれと作業が進めざるをえなかったので、
あまり寝ていなかったのだ。
その後、天神コアの紀伊国屋書店へ。

ここは予備校時代、毎日のように通っていた本屋である。
レイアウトは変わり、フロア数も増えていたりするものの、
歩いているだけで、当時のことが思い出される。

地元の本屋では、だいたい郷土コーナーをチェックする。
今日買ったのは、以下の二冊。
小倉藩の終焉と近代化」 玉江彦太郎著 西日本出版社
プロジェクトH 「福岡3点セット」の構造改革
竹森健太郎著 朝日新聞社

天神コアの地下喫茶店で、買ってきた本を読む。
博多の町は繁華街の中に、昔ながらの喫茶店が多くてうれしい。
東京では、ドトールとスターバックスにほぼ、駆逐されてしまったからね。

「小倉藩の終焉と近代化」は、
幕末から明治中後期にわたる小倉の郷土史。
淡々とした文体だが、当時の空気がよく伝わってくる。

「プロジェクトH」は、
ダイエーホークス、福岡ドーム、シーホークホテルという
福岡3点セットの再建の模様を
詳細なインタビューの形で構成したもの。

ある種の腐臭が漂う「カリスマ(佐野眞一著)」よりも
興味深い中内正の姿があり、すがすがしい。

博多の同窓会
午後7時に福岡ビル地下1階の「御膳屋おぜんや 天神店」へ。

母校、明治学園のOB、OGで
博多在住の方が集まる同窓会である。
1回生から45回生までがずらりとそろう。
もともとマスコミを中心に集まっていたのだが、
今回はそれだけでなく、さまざまな仕事の方がいらしていた。

飲んだり、食べたり、話したり。

つづいて、大名に移動。
「BAR LES AMOUREUSESレザムルーズ」で、
飲んだり、食べたり、ちょっとだけからんだり。

まもなく40歳だが、
酔っぱらって、書生論を語る傾向は、かわらないぞ、おれ。
あれこれ、失礼いたしました。

最後に中洲へ。
2年前にもいったクラブ「ラ マリオン」である。
クラブが密集する雑居ビルに入っているお店だが、
1階のエレベータフロアで、いっしょに移動していたMさんが、
「あれ、N道くんやない?」と、やはり同窓生を発見。
N道くんは、地元で眼科医を開業しているはず。

なにか、目上の同伴者がいる雰囲気。
まぁ、ちょっといろいろ感じてしまったよ。

「ラ マリオン」では、地元で弁護士をされている先輩に
すこし、からんだような気がするなぁ。
いかん。いかん。

最後はラーメンでシメといきたいので、
その先輩に教えてもらって、「一竜」へ。
うーん。うまみが足りないなぁ。

深夜1時30分ごろ、ホテルに帰る。
かなり酔っぱらって、興奮状態のせいか、なかなか寝つけない。
風呂に入ったり、本を読んだり。


2002年9月12日(木)

ラーメンスタジアム
博多での二日目。昨夜、寝つけなかったのだが、
今日はこれといって、予定はない。
風呂に入ったり、作業をしたり、本を読んだり、うたた寝したり。

午後2時ごろ、キャナルシティへ。
睡眠不足気味だが、二日酔いはない。
あれこれと店をひやかして、「ラーメンスタジアム」にいってみる。
この時間だと、それほど混雑していない。

選んだのは「久留米 大砲ラーメン」。
「昔チャーシューメン」を食べる。
チャーシューは好きな味だったけど、
スープがちょっと物足りない感じである。

眞鼻さんと飲む
キャナルシティから天神経由で、ホテルにもどる。
ホテルに眞鼻守正さんから電話。
今夜は飲もうと約束していたのだ。

ホテル「イル・パラッツオ」で待ち合わせをすることに。
場所がうろ覚えなので、
ワシントンホテルプラザのフロントで確認しておく。

わざわざ、コピーした地図に印をつけてくれるのだが、
川筋をひとつまちがう、とんでもない大ウソで、
南新地のソープランド街に入りこむ羽目に……。

その気がないときに夕刻に
あんなところに入りこむものではない。
すごいシチュエーションだったよ。

大回りして、イル・パラッツォのロビーで眞鼻さんと落ちあう。
眞鼻さんはこの日記にも何度か登場しているが、
母校の13歳上の先輩である。
篠山紀信系経営コンサルタントにして、大学講師である。

「じゃあ、博多でいちばんうまい餃子屋にいきましょう」とのことで、
イル・パラッツォ裏、地上げされそこなったような
雑居ビルにある餃子屋「国三」へ。

ちなみに「博多でいちばんうまい」というのは、
眞鼻さんの口癖である。
おれ流に翻訳すれば、「かなりうまい」ということだ。
「日本でいちばんうまい」というバージョンもあるのだが、
これは「むちゃくちゃうまい」ということである。

餃子の国三
さて、「国三」であるが、おれの評価では、一言だ。
つまり、「すてきにうまかったYO!」ってことだ。
なにか、卓球場を思わせるような店内である。
「ピンポン」の卓球タムラがそのまま、店になってる感じ。
オールカウンターの店だが、入り口で靴を脱ぎ、スリッパに履き替える。

いい雰囲気だなぁ。
店内にナマハゲの面が飾られていると思ったら、
ご主人は秋田出身だそうだ。

季節によってはキリタンポ鍋もあるそうだが、
今回はひたすら餃子である。
焼き餃子、焼き餃子、焼き餃子、水餃子、水餃子、焼き餃子である。
餃子をオーダーすると、目の前でご主人が皮からこねて、
餃子をつくり、焼いたり、煮たりしてくれるのである。
その風情は餃子屋というより、寿司屋を思わせる。

途中から、いっしょにアメリカを旅行した西村兆司さんも参戦。
西村さんは最近、横山博人監督が塾長を務める
ふくおか映画塾に通っており、
秋にクランクインする同監督の映画の
プロデューサー業務までやっているそうだ。

まるっきり手弁当の世界……
どころか、持ちだしありの仕事でかなり忙しそうだ。
わざわざ、お時間をどうもありがとうございます。

居酒屋「飯場」
三人で、タクシーで大名に移動して、「食彩空間 飯場」へ。
おや? ここはなんとなく見おぼえがあるところだぞと、思っていたら、
昨夜いった「BAR LES AMOUREUSESレザムルーズ」と同じビルディングじゃあないですか。

うーん。博多の夜の「鮭」ですか、おれは。
生まれたのは、この川ならぬビルですか、
だから帰ってきたのですか。ああ、鉄筋哀歌。

こちらでは二人の女性が合流。
そのうちのおひとり、ジモスの中松七恵さんは
東京は足立区出身で、福岡の地元企業で
単身、仕事をされているそうだ。

さっきの餃子屋さんでも感じたのだが、
自分があとにした故郷に、県外からやってきた人が住み、
仕事をされている……というのは、不思議な感慨がある。

なんというか、遠距離恋愛の末、
別れてしまったかつての恋人と結婚した相手をみるような感じ。
「いいでしょ。福岡って」といいつつ、
自分よりも相手のほうが、いまの福岡をよく知ってるせつなさ。
……なのかなぁ。愛してくれて、ありがとう。
でも、コンチクショーだぜって感じだ。

東京下町出身の中松さんの口から博多弁が出るなんて、
ほんとに不思議。くやしいから、こっちは東京弁で、べらんめぇ。
中松さんは話していてリラックスできる人で、楽しかった。

このあたりで、柴尾はかなり酔っぱらっている。
さらにタクシーに乗って、もう一軒、
感じのいいオープンバーにいったのだが、
店の名前を失念してしまった。

深夜2時過ぎに中洲のホテルに帰る。
さすがに夜食ラーメンは食わずに眠る。


2002年9月13日(金)

博多げろげろ
昨夜は飲みすぎた。本気で胃の調子が悪い。
チェックアウトが午前10時なので、あわただしくシャワーだけ浴びて、
客室をあとにする。気持ち悪さがぬけませぬ。

キャナルシティにいき、コインロッカーに荷物を預け、
館内の福家書店で本を買う。

福岡・北九州 市内電車が走った街 今昔
奈良崎博保著 JTB

西鉄の路面電車が走っていたころと現在を
定点観測の写真をならべることにより、比較している本だ。
スターバックスで、しみじみと読み、くらくらとノスタルジー。

それにしても困った。元気なら、
筥崎宮はこざきぐう放生会ほうじょうやにでも
いこうかと思っていたのだが、あまり動きたくない。

昼過ぎまで、うだうだと本を読んで、
多少、胃袋が回復したところで、
昨日に続いて「ラーメンスタジアム」へ。
なにか、変かなぁ。

とんこつラーメンが食える体調ではないから、
喜多方ラーメンの坂内ばんない食堂で、肉そばを食べる。
上品なスープが胃にやさしいが、肉はよけいだったかも。
いや、おいしいチャーシューでしたけどね。

午後3時35分発のJAS314便で、東京にもどる。
飛行機は福岡空港の混雑で30分以上遅れたが、
帰ってくるころには胃の調子も復活。

小学館へ
そのまま京浜急行と三田線を乗り継いで、
神保町の小学館へ向かう。
「ヤングサンデー」編集部の石川さんと打ち合わせ。

レイアウトの仕上がる時間までしばらくあるので、
小学館地下の韓国料理店「ノルブネ」で、
軽く食事……というか、また、酒を飲んだりする。

編集部で「ストロウドッグス」の
石川キンテツくん、すとろう小泉くんにばったり。
「少年サンデー」の入稿に来ていたらしい。
小学館の社内で会うのは初めてだったから、
なんか不思議な感じである。
「おお、仕事してる! してる!」って感じか。

レイアウトを受けとったあと、
石川さんと謎と神秘に包まれた新宿歌舞伎町深くの
ミステリアスなゾーンに突撃し、ストレンジな体験をする。

あはは……。なにを書いているのかわからないでしょうが、
リーズナブルでおもしろい体験でした。
また、なんか、不思議な酔っぱらい方をしたけれど……。
深夜1時ごろ、帰宅。

家はいい。ただひたすらに爆睡。


2002年9月14日(土)

「カメラはビルの中にいた」
録画しておいた日本テレビの
9月11日の特別番組「カメラはビルの中にいた」を見る。
ビートたけしが出演する意味はまったく理解できなかったが、
内容には文句のつけようがない。

もちろん国際貿易センタービル内の映像もすごいのだが、
市民がビルを指差し、唖然として叫ぶ際の
英語以外のことばの渦、消防士たちのリアクション、
ハイジャック機再現映像のせつなさ、
そして、つぎつぎと人が飛び降りる衝撃の音……。

不完全な世の中に生きていることは知っているつもりだが、
この痛みを感じることができるだけの「生」があることを
ただ、幸運に思うだけである。

ちょっと、むかついたのは、番組を持ちこして、
「今日の出来事」で、後半の映像を流すという所業。
すっかり録画しそこなってしまった。

その録画のかわりに予約していたのが、TBSの「NEWS23」。
印象操作でアメリカの正義を糾弾しようとする
心根が卑しくて気持ち悪い。

そんな回りくどいことはやめて、通じる「ことば」で主張しなさい。


2002年9月15日(日)

終日作業
「ヤングサンデー」の原稿を書き、5日分の日記を書き、
たまっていたビデオを見た一日。

金曜日にはおれもいった歌舞伎町で、
意味不明のオフ会があったみたいだなぁ。

ヤングサンデーの石川亨さんは
自宅のノートパソコンを踏み壊したそうで、
本日、新しく買いなおしたご様子。

おれがパソコンのハードディスクを壊して以来、
山本耕一さんとか、田森庸介さんとか、
パソコンが壊れる方が続出している。

そういう季節なのでしょうか。


2002年9月16日(月)

女優になった同級生
以前、このサイトの日記で、ちらりとご紹介した
女優になったという同窓生だが、本日、その舞台を観にいってきた。
午後3時、ぼつぼつと雨の降るなか、
新宿からタクシーに乗り、千駄ヶ谷の日本青年館大ホールへ。

じつは3日前にもメールをもらっている。
お芝居のあと、講演会があり、彼女はそちらにもでるとのこと。
もう、なにがなにやら……。わかったような。わからないような。

ホールに上がる階段には、明らかに一般人だが、
はっきりと声に出して案内する係員が何人もいる。
これはつまり、「それ」独特な雰囲気だ。

ゲスト案内デスクにいき、彼女の名前を告げ、チケットをもらう。
封筒に入ったチケットを見て、はじめて、会のタイトルがわかった。

H原多加子元薬剤師 M田巳香医学博士
医学講演会

舞台演劇「それ行け!奥様仮面
〜家庭内環境汚染の恐怖〜

はぁ? お、お、おくさまかめんですか。

まったくわけがわかりません。

開演時間まで、あまり余裕がないので、急いで客席に進む。
1200のキャパの会場がほぼ満席になっている。
会場内はまさに老若男女で埋まっている。
「怪傑ズバット」や「アクマイザー3」のテーマソングが流れている。

緞帳が開くと、舞台には12人ほどの男女。
横一列にならんでいる。

上演時間は1時間40分であるとか、
携帯電話の電源を切れとか、
携帯の電源を切らないと電磁波が怖いぞとか、
撮影や録音はご遠慮くださいとか、
上演中の注意とギャグのようなことを
ひとりワンフレーズずつ話していく。

つづいて歌手が現れ、ヒーローもの風のテーマソングを歌う。
さらに関東から来た御一行、
東北から来た御一行、九州から来た御一行が順番に登場し、
シャンプーにはいっている添加物は不凍液にも使われているとか、
テレビを消すときは、コンセントも抜きましょうだとか、
環境ホルモンだとか、地球環境問題に関する
あれこれをユーモラス(???)に語る。
これもひとりワンフレーズずつ、マイクを渡して、しゃべっていく。
なかにはせりふを度忘れする人もいる。

どうやら、ほとんどすべての役者は、この団体の方たちであり、
バトンタッチのようにマイクを渡しながら、
ワンフレーズずつせりふを話していく趣向らしい。

ストーリーは地球と子供の未来を憂える
科学者集団「近未来生活向上研究所」が開発した
「奥様仮面スーパースーツ」を着こんだ奥様が、
自給1200円、残業なしの正義のパートタイマーとして、
われわれの体を蝕む添加物をシャンプーや化粧品に入れる
「悪」と戦うというものである。

途中、きちんとしたミネラルをとった人が癌から救われただとか、
動物実験ではたくさんのウサギが殺されているだとか、
シャンプーを無添加のものにしたら、ハゲが直るときいて、
頭髪の不自由な会員たちが、ひとりワンフレーズずつ
喜びの声をあげながら、走り回ったりだとか、
川上音二郎がみたら、卒倒しそうな展開で、オッペケペ。

公平につとめてこの舞台を評してみよう。
たしかにシーンによっては客席から笑い声も出ていたし、
おそらくプロの劇団員であろう主演クラスの3人は
文字通り、体当たりの演技で、がんばっていた。
背景にある団体名は舞台中、一度も口にされなかった。
また、一部に偏った描写はあったものの
環境問題とそれに対する個々人の自覚というテーマは
どちらかといえば、穏当かつ妥当な結論を導いてはいた。

でもさぁ……。カーテンコールまでふくめて、
2時間も素人芝居を観るのは、かなりしんどいぞ。
あとで聞いたら、スタッフとキャストは総勢三百人くらいとのこと。
うーん。それを仕切る手腕は認めるし、
舞台の上の人たちは楽しいんだろうけどな。

ちなみに女優になった彼女の出演シーンだが、
M田博士役で、そのまんま、ワンフレーズだけ登場していた。

15分の休憩をはさんで、パンフレットには
「予防医学セミナー」と書かれていた
H原さんと同窓生のM田さんのトーク。
H原さんは、M田さんの姉上なのだそうだ。

OHPを使いながら、日本人の癌発生率の上昇だとか、
ハミガキ粉やシャンプー、ボディソープなどに入っている有害物質を
経皮吸収する恐ろしさだとか、
有害物質の入っていないシャンプーを使い、
ミネラルを取っているうちにアトピーが直り、
風邪も引きにくくなったとか、
子供の白内障が増えているのは、
界面活性剤の影響ではないかとか、
まぁ、そういう話を体験に基づいてあれこれと。

ここではじめて、ニューウェイズという組織名が明かされる。
つまり、アムウェイみたいなものなのだろうか。

以前、マルチ商法の説明会にのこのこと出向いた経験を
この日記にも書いたことがある。
今回はそのときに感じた臭気はほとんど、感じられなかった。

M田さんの話には、医師としての節度が感じられた。
ヒポクラテスの誓いとニューウェイズが
ことばの中で、綱引きをしている印象もあったのだが、
近所に住んでいたら、ホームドクターにしたいと感じられるほどの
医業に対する誠実さが感じられる。

講演終了後、出口の売店あたりで、
本やビデオを売る声を聞きながら、所在なく待っていると、
「うれしい! 柴尾くん来てくれたんだ!!」という明るい声。
M田さんが駆けよってきて、いきなりハグされてしまう。

ぼくの常識では、予想外の展開である。
2年前の地元での同窓会で、ちらりと会ったことはあるけれど、
ほぼ四半世紀ぶりに会った女性にハグされるなんて……。

ぼくの記憶の中で、彼女はクラスでいちばん努力をして、
きちんと結果を出す女の子だった。医師の娘で、しっかりもの。
きちんと医大にいき、医者のご主人を迎え、
家業(というのかな?)を継いだ。

何通かもらったメールから奇妙なハイテンションを感じたときは、
ほんとうに彼女と同一人物かなと、疑ったりもしたが、
こうしてハグされると、戸惑いは増すばかり。

個人的にはこの手の行為は、心から愛した人と
六本木の外人のおねぇさんとしか、したことはないんですけどね。

あれこれ話しているうちに、
彼女の知り合いが何人も話しかけてくる。
彼女はぼくを相手に紹介する。

「こちらは同級生で、今日だまして、きてもらったんですよ」
「彼、****はどうなの?」と、
先方がよくわからない用語できくと、
「ゼロゼロハチハチハチハチ」ですと答える。
「そう、Aばかりじゃない! すごいわね」

どうやら、おれのことを話しているらしいが、
まったく意味不明だ。
「いまのなに?」ときくと、あらためて、誕生日を聞かれ、
電子手帳「ザウルス」にそれを打ち込む。
なにか、占いのような画面が出て、その数値らしい。

「動物占い」に近い東洋系占星術みたいだ。
いずれにせよ、RPGのパラメータのように、
自分が計測された感じである。
「この人、うたれづよさ0なのよ」とかね。

彼女とは終わったあと、食事でもしようとメールをかわしていた。
「どうする? なに、食べたい?」
「このあと、今日出演したみんなと打ち上げをする予定なんだ。
柴尾くん、そっちにいってみない?」
まぁ、そういうことだろうな。

彼女とは話をしたかったし、
その手の打ち上げがどんなものか、興味があった。
いってみることにする。

「ああ、よかった! 柴尾くんが来てくれんやったら、
あたし、暴れよったよ」

日本青年館から、信濃町駅まで歩く。
小雨の中、ライトアップされた絵画館が歩道を照らす。

彼女がニューウェイズの活動をしなければ、
こうして、彼女とこの道を歩くことはなかったんだろうな。
あれこれ旧友の話をしながら、そんなことを考える。
真摯に生きている人とことばを重ねていくのは
とてもすてきな体験である。

彼女はほんとうに真摯だった。

いつか、ニューウェイズの活動が軌道に乗れば、
現在70人ほど来院して、患者さんひとりひとりに
きちんと心をこめた診療がやりにくい体制を変え、
一日20人ほどの予約制にしたいとか。
娘を海外のキャンプにやって、自分も旅行をしたいとか。
そんな未来をていねいに語ってくれる。

信濃町の居酒屋「ジョン万次郎」をほぼ借りきる形で、
本日の打ち上げがおこなわれる。
彼女の姉、H原さんとあいさつする。

「柴尾くん、むかしの面影、残っとぉね」

小学校のころから、クラスメートの親や兄、姉……、
年上の人がなぜか、おれのことをよく覚えていてくださる。
どういう目立ち方をしていたのだろう、おれ?

打ち上げはすさまじかった。
「ジョン万次郎」のキャパは数百人だが、そのほぼすべてが
関係者で埋まる。

なぜかここにはステージがある。
今日出演した「プロ」の歌手が劇中歌をうたったり、
ダンサーたちが踊っていたり……。

ぼくはステージ近く、結婚披露宴だと、
主賓席の隣あたりに座っていたのだが、
なんか包みこまれる感じで、なんだかすごい。

「これだけの人間が集まるんですよ。すごいと思いませんか」
同席した紳士が同意を求める。たしかにすごいですね。

リハーサルとか、練習とか、本当にたいへんだったけど、
きょうは楽しくて、テーマソングを聞くと、
胸が詰まって、涙が出たと、彼女はいう。

多くの人が彼女に話しかけ、握手をし、ハグをする。
ここには、彼女の「場所」がある。

彼女が姉上に薦められて、この「場所」を作り、
ここで、医者仲間とはちがうさまざまな人と知り合う前は、
患者さんに対しても
「なんで、この人は指示したことができないんだろう」と、
腹を立てることが多かったそうだ。
それが、いまは変わったという。
患者さんの事情が、気持ちがわかるようになった……と。

おれも挨拶をし、名刺を受けとる。
なんだか、医師、看護婦、鍼灸師、整体師、美容師など、
人の体を直接さわる職業の人が多い。6〜7割は女性だ。
慶応出身の麻酔科医もいる。

彼女はぼくのことをみなに「クリエイター」と紹介する。
テレビゲームに縁のない彼女にとって、
まぁ、そういうことなのでしょうね。

「今日の芝居みたいなのをゲームでも作ってくれないかな」
と、無邪気におっしゃる姉上。
「いま、コンシューマゲームを作ると何億円もかかりますよ」
と、牽制するおれ。

「小学校のときの柴尾くんは、本ばっかり読みよったね」
彼女はそのあと、語尾をにごしたが、
あまり外に出てみんなと遊ばず、教室で残って本を読み、
ときどき、調子はずれのことをする変なガキだったんでしょうね。

「今日のことって、おれの"ホームページ"の日記とかで
書いてもいいのかな?」
「いいよ! すごくいいものをあつかっているんだから、
みんなに知ってほしいんよ」

商品のよさについては知らないが、
彼女の表情もことばも、ニューウェイズのおかげで、
生き生きとしている。

それはまちがいない事実だ。

「おれも石鹸成分のシャンプーを使ってたり、
研磨剤のはいってないハミガキ粉で電動ブラシを使ってたり、
ドラム式洗濯機に液体石鹸を入れたりはしてるし……。
それに、仕事の上でもいろんな人に出会えるし、恵まれてて……。
たぶんね。おれ、ニューウェイズの製品を買ったり、
なんていうのかな、会員? ……になったりはしないと思うんよ」
「うん。気にせんで。わたしもきちんとビジネスとしてやってるんだから」

品川のホテルに泊まっている彼女とは、
総武線に乗り込み、代々木駅のホームで別れた。

また、会いたいな。
小学校の教室で知り合った彼女とは、
一生の友だちなのだから。


2002年9月17日(火)

ネットワークビジネス
昨日の経緯もあり、ニューウェイズをはじめ
この手の商法について、あれこれネットで調べてみる。
うーん。勉強になりました。

最近はマルチとか、ねずみ講とか、無限連鎖とかいわずに
MLM(マルチレベルマーケティング)とか、
ネットワークビジネスというんだね。
自分より上流の会員(親)をアップといい、
下流の会員(子)をダウンというらしい。
不思議とカタカナやアルファベットが多いのは、ポイント。

ぼくがマルチ商法じゃないのかなぁと思う
やり方をしている個人サイトでさえ
詐欺まがいの悪徳商法が減ることを夢みている。
おれも本当にそう思う。

なんか、ハーバード大学でもMLMの講座があるみたいだね。
いろいろ勉強になるなぁ。

商品を売るのではなく、正しい情報を売るのだそうだし、
ディストリビューターなんて、
ぼくの知っているニュアンスと違う用語が氾濫している。

あれこれ読んだのだが、
ネットワークビジネスをやるにあたって、
ぼくのような零細ゲームデザイナーの貧弱な脳みそと
貧弱な人間関係では、とても儲かりそうにない。

ああ、残念だなぁ。

母性と環境
もうひとつ考えていたのは、母性と環境問題。
疑いようのない問題というやつは、ときに厄介である。

おれは「あなたのためを思って、いってるんですよ」という
百パーセントの善意あふれる無邪気なおせっかいを
至上の害悪だと思っているのだが、
ときによって、母性と環境問題という錦の御旗にも
同様のいかがわしさを感じてしまう。

母性は尊重すべきエゴだとは思う。
だからこそ、そこにつけいり、不安をあおるものに対して、
敏感になるべきではないか。

環境問題は真剣に考え、
個々人のレベルでも改善に向け実践すべき問題だとは思う。
だからこそ、終末論的に語る存在には
疑問を持つべきではないか。

小泉総理訪朝
夕方のニュースで、6時30分からの記者発表を
ずっと聞いていたのだが、
とくに記者からの質問に対する小泉総理の長口舌は
意味不明……どころか、
記者からの質問にさえ、答えていない。

儀式のための生きた印鑑を、日本から日帰りで運んだ感。

亡くなられた有本恵子さんの父親の発言は
壮絶に過激だったのだが、その後のニュースでは、
過激な部分はほとんどカットされていた。

悲しみと怒りの単純な四捨五入。


2002年9月18日(水)

ユニ坊主
お母さん、ぼくのユニ坊主……、
机の片隅に3つくらい入れておいたんですけど、
どこにいったんでしょうね?

そうです。青くて、ボーリングの球みたいに穴があいてて、
字が消えない消しゴムみたいなやつです。
持ってるときはあんなにうれしかったんだけど、
なくなっても、なんの未練もない……。

ところで、クビチョンパはユニじゃなくて、モノの景品だったっけ?
すみません、世代限定のネタで。


2002年9月19日(木)

小出しの情報
問題を矮小化する懸念はあるが、
北朝鮮拉致被害問題について、
外務省が家族の心情を思いはかって、
情報を小出しにしていったのは、むごすぎる所業だろう。

まさに2日前に書いた日記の
「あなたのためを思って、いってるんですよ」とおなじである。

もう4年近く日記を書いているおれとしては、
「もし、ほんとうにおれのためを思っているのなら、
過去の日記を通読して、おれを理解してから、いってくださいな」
とでも、いいたいんだけど、
不幸ではなく、幸いにして、そんな機会は訪れない。

本質的な個人情報をこれだけ、開示しているのにね。

他者に対する読解力のないものにかぎって、
恩着せがましいのは、エゴイストのエゴイストたる所以か。


2002年9月20日(金)

ひさしぶりの神宮前
午後2時、さくまあきらさんのお宅にうかがう。
土居孝幸さん、井沢どんすけさんをまじえ、
「桃鉄」次回作の打ち合わせ。

新作「桃鉄11 ブラックボンビー出現の巻!」の発売は
12月5日なのだが、その発売を前に
つぎの作品の打ち合わせをするのは、なんだか妙な感じだ。

これがシリーズタイトルの
スケジュールってやつでしょうか。

うちあわせのあと、土居さん、井沢さんと
ゲームキューブにて、新作の公式戦をプレイするが、
どうも土居さんがいると、エネルギーを吸収されてしまう。
食い合わせのようなものである。

結果は順当に二位である。
一位は当然土居さんである。
うーむ。

うちあわせのあと、
鶏味坐でさくまさんにごちそうになり、
「TO THE HERBS」で、土居さんにごちそうになる。


Top(表紙)へ

↑このページの冒頭にジャンプ!↑

←前回の日記ページへ次回の日記ページへ→