【テレビ番組】プリズンガール
これってつまり、女囚ものでしょ? 「女囚サソリ」はいうにおよばず、「地獄の女囚コマンド」とか、リンダ・ブレアの「チェーン・ヒート」とか……。
おお、そういうことなら、好きなジャンルだ。禁じられた女の聖域で、すけべな看守によるリンチとか、凶悪犯同士のキャットファイトとか、あんなことやこんなことがあるわけですか。しかも安倍なつみが主演ですか。うひい!
というわけで、見ましたよ。
大学受験に失敗し、アパレルショップの販売員をしていた「普通の女の子」が、友人に誘われるまま、ニューヨークに留学。なにげなくつきあってしまったイケメンのボーイフレンドは、麻薬取引をするロシアンマフィアだった。
そうとわかったあとも、深い考えもなしに自分のクレジットカードを貸すなどした結果、FBIに麻薬取引の凶暴罪で逮捕され、懲役2年の実刑を受ける。
そんな実話に基づいたドラマだ。
「~壮絶ドキュメント!!アメリカ女子刑務所の636日! 1300人の凶悪犯・・・たったひとりの日本人の女の子」なのだそうだが、女囚ものとしては、明らかに迫力も、リアリティも薄い。
すけべな看守によるリンチとか、凶悪犯同士のキャットファイトとか、あんなことやこんなことも、まるっきりないぞ。
つまりこれは「ザ!世界仰天ニュース」だとか、「九死に一生スペシャル」なんかのスペシャル版なのだね。
ロケーション撮影などは効果的に使われているのだが、登場するキャラクターの掘り下げがほとんどないので、痛みや孤独、葛藤、罪に対する思いが、まるっきり伝わってこない。
「あの人ね、赤ちゃんオーブンで焼いて旦那に食べさせたんだって」なんてセリフは出てくるが、ただそれだけだ。動物園を歩いている程度の感慨しかない。
ドラマの終盤で、「日本に強制送還されることが決まったわたしはもう二度とアメリカの地を踏むことはできない。ほんとうにさようなら、ニューヨーク。さようなら、アメリカ。そして、さようなら、アレックス(麻薬密売人)との思い出。あなたとであったことをわたしは悔やんでいない。ありがとう」と、ナレーションが入るのだが、アレックスという人物もただのハンサムとしか描かれていないし、監獄での彼女の成長が、納得できる形で、描写されていないため、違和感しか残らない。
「自分探し」のために、アメリカにわたった「日本」の「普通の女の子」が「麻薬取引」に関与し、獄舎の中で成長するというアングルを作りたかったのだろうけれど、原作を読んでいないこちらには違和感ばかりが残る。
アマゾンやbk1などの書評を読んでも、「苦しい獄中生活をあっけらかんと書いた」とか、「彼女の前向きな性格が良かったのか、2年間の服役を意外に楽しんで乗り切ったようです」なんて、書いてある。やっぱりなぁ。
そういう「普通の女の子」じゃない感性をシナリオに織り込めれば、現代的な成長のドラマとして、楽しめたはずなのに……。
いずれにしても「普通の女の子でも連邦刑務所に入ることがありうる」とか、「平和ボケした日本に警鐘」みたいな、あとづけのドラマが面倒だったし、彼女がカウンセラー的な役割で受刑者たちの話を聞くあたりの仕掛けも浅かったなぁ。これはこれで現実をモチーフにしたライトなファンタジーなのだろう。
おれはこういうファンタジーよりも「女囚サソリ」とか、「地獄の女囚コマンド」みたいなくっきりした女囚ドラマがいいなぁ。
