【日常03】あせらない。がんばらない
ぼくと稲毛の人妻との共通の知人が、東京に来ているという。彼女とも5年くらい会っていない。
ならばというので、会いにいく。夜には帰るというので、東京駅で会う。彼女の雰囲気はまったく同じだ。にわかにうれしくなる。
東京駅には恵比寿「筑紫楼」の麺専門店があったと思うので、八重洲口へ。ぼくは大丸の中にあると勘違いして少し迷う。なんのことはない、日本橋よりのキッチンストリートにあった。
「頂上麺」というたいそうな店名である。麺ではなく、いままで食べたことがなかったフカヒレの煮込みかけご飯を食べる。
うーん。ちょっと微妙だ。それなりにおいしいのだが、恵比寿の本店のランチのほうが、もっといい。テーブルの上の黒酢を足しつつ、食べ終える。
その後、キッチンストリート2階の居酒屋「ひとつと家」で、日本酒を飲みつつ、話しまくる。もちろん、あの人はいま……といった話題から、5年たってあらためて判明する、あんなことやこんなことまで……。
どのことばも5年前とつながっている。すごくうれしくなる。いろんなことを思い出しつつ、やっぱり怒ったり、笑ったり、ちょっぴりせつなくなったり……。
終電まで飲めるという人妻と日本橋方面へ。キャッシュオンのアイリッシュパブ「CELTS」で、ずっと話す。
ずっと年下の人妻もバツイチさんなのだが、離婚のあとは、あせってしまい、ハズレをつかまえることがよくあるので、きをつけるように、しっかとアドバイスされる。
だからといって、がんばらないように、一生懸命になりすぎないように。
がんばると引き返しがつかなくなるし、一生懸命になりすぎると見る目が曇る。そういう意味で、ほどほどが大切なんだよねなどと……。
基本の部分はふたりとも変わっていないのだが、あのときとはちがういまの立場で、いろいろなことばをかけてもらえる。これが居心地いい。
「だから、あせらないように」
「はい、がんばります!」
「がんばっちゃだめでしょ!」
「あ、そうだ」
雨模様。日本橋の火曜日。店の中は会社帰りのスーツ姿ばかりだ。彼女の白いカットソーがきらきらしている。
あせらないように。
がんばらないように。
