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【映画2006】M:i:III

 ワーナーマイカルシネマズ板橋8番THXスクリーンにて、SRD鑑賞。

 純粋な映画のおもしろさを堪能するという点で、今年のベスト作品であり、「ミッション・インポッシブル」シリーズの中でもベスト作品であり、21世紀のサスペンス映画でもベスト作品だ。

 「ミッション・インポッシブル」の1作目は、まさしくブライアン・デ・パルマの作品だったし、2作目はまさしくジョン・ウーの作品だったけど、この3作目はオリジナルのTV版「スパイ大作戦」の味わいにいちばん近い作品だ。そして、ほんとうにおもしろい!

 たぶん、1作目と2作目にはオリジナルのシリーズが好きな人はいなかったのだろう。しかし、3作目にして、はじめてオリジナル番組への愛情がきちんと感じられた。信頼の置けるチームが、不可能と思える計画を立て、その計画を可能にしていく醍醐味が、オリジナルの美点であり、映画は3作目にして、その原点に帰っている。

 映画全体を包むサスペンス要素と、それぞれのシークエンスのサスペンス要素、さらにシーンのサスペンス要素、カットのサスペンス要素が美しくハーモニーを奏で、見ていて飽きることがない。

 (ここから若干のネタバレが含まれます。マウスで文字を反転してご覧ください)

 アヴァンタイトルでいきなり拉致されているイーサン・ハント(トム・クルーズ)。椅子にて上でくくりつけられ、目の前にいるのは、分かりやすい悪役だ。ラビットフットのありかを教えねば、やはりくくりつけられているイーサンの恋人と思しき女を殺すという。女の頭に銃を向け、カウントダウンが始まる。

 そして、ドラマは時系列的に一気にもどり、前のシーンで椅子にくくりつけられていた女=フィアンセとイーサンとの幸せなパーティの場へ。

 では、最初の死のカウントダウンのシーンは映画のどこにつながっていくのか。これが映画全体のサスペンスとして、ダイナミックに効いている。

 さらに感心したのは、ドイツの風力発電所でのヘリコプターチェイス! 何十基もの風車が並ぶ中、2機のヘリコプターの死のチェイスシーンは近年のアクション映画の屈指の名シーンではないだろうか。

 逃げようとするヘリコプターにはイーサンたちのチームが乗っている。追いかける戦闘ヘリコプターからは容赦ない熱追尾ミサイル。風力発電の羽根をかいくぐりながらの熾烈な追いかけっこの中で、仲間の脳に埋め込まれた小型爆弾ががいまにも爆発しようとしている。解除する手はひとつ。AED(体外除細動器)を使って全身に過電流を流し、爆弾の回路を焼ききるしかない。一度、電気ショックで殺して、その後、ふたたび電気ショックで蘇生させるという荒っぽい手だ。そんな中、迫り来るミサイルをよけるために、大きくバンクしたとたん、仲間の一人が、扉から外に落ちそうになる。AEDにスイッチを入れるのだが、充電完了まで数十秒かかる。発光ダイオードがカウントダウンをする中、苦しむ仲間。

 ミサイル! 落ちそうになる仲間! カウントダウンのLCD! 頭をおさえ苦しむ仲間! さらにその仲間はなにかをイーサンに伝えようとしている。これだけのサスペンス要素が、からみあい、とてつもない緊張感を生んでいる。

 どう決着するかは実際に映画を見ていただくしかないが、このようなシーンがほぼ15分単位で押しよせてくる。

 演出もさることながら、監督が自身の手で書いた脚本が圧倒的にすばらしい。このあたりのサスペンスがすべて、後半につながる伏線になっている。

 もちろん、「ミッション・インポッシブル」ならではの小道具も楽しい。リアルから半歩進んだハイテクスパイ道具がすばらしい。今回はシド・ミードがデザインした、ポータブルそっくりさんマスク製造機など、チャーミングだったよ。

 ヒチコックが21世紀でサスペンス映画を撮るとしたら、こうなるだろうし、事件が解決したあとのあるセリフは「ヒチコック映画術」を愛読していた人なら、にやりと笑う味わいがある。

 フィリップ・シーモア・ホフマンの悪役も最高だったなぁ。もしもカリオストロの城の実写版を作るとしたら、彼が最適だろう。

 映画を見終わって、ラロ・シフリン作曲のおなじみのテーマがずばっとはまる快感は無上のものだった。

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