【映画2006】ブレイブ ストーリー
ワーナーマイカルシネマズ板橋2番スクリーンにて、SRD-EX鑑賞。
毛穴という毛穴ににきびが詰まっている盛りだったり、そんなにきび面のままに年齢だけ重ねてきたやつは、知識の基礎がアニメと漫画とRPGのみなので、どんな作品を見ても、「ありがちな展開」だとか、「つっこみどころ満載」だとか、思考停止のレビューもどきを書いて、悦に入っているものであり、だからといって、そういう比重の軽い脳味噌の産物を見て、いちいち怒るほど、おれも若くもないわけだけれど、そんな連中にとって、このアニメ「ブレイブ ストーリー」は、つっこみどころ満載で、ありがちな展開の駄作となってしまうのかもしれないね。
原作はうかつなことに読んでいないのだけれど、映画のほうは、異世界前の現実部分と、ミッション成功後のクライマックスに大きく比重をかけた構成が功を奏している。
扉の向こうの異世界ものとして、きわめてまじめに扉の手前を描いているのは照れくさく、「わかった、わかった」と、何度かいいたくもなるのだけれど、これはきちんと描かなければならないプロセスであり、そこをおざなりに済ませるわけにはいかないのだ。
松たか子が好演する主人公、ワタルは崩壊しつつある家族を救うため、幽霊ビルからひとつだけ願いが叶う異世界へと旅立ち、いきなり「おためしの洞窟」に投げ込まれるわけだが、これがもうくっきり、キャラクターメイキングのダンジョンなわけで、その仕組みのなかでパラメーターを決定されるという、ゲーム構造だったりして、「ありゃまあ」と、たじろいでいると、望みを叶えるために「1)勇者の剣に5つの宝玉を手に入れ、2)女神に会え」と、ミッションを下されるあたりは、よくいわれるお使い型のRPGの典型で、「なんですか、これはもうパロディなのでしょうか」といいたくなるくらいだ。
映像としての世界はとてもよくできているし、細かなところまで、絵としてよく考えられているんだけれど、たいへんに残念なことに、そこでひとが生きているリアリティというか、世界が有機的につながっている実感がなく、薄い"書き割り&遠見"感覚が横溢している上に、宝玉集めの小クエストひとつひとつに、映画的な工夫が希薄で、どこか対岸の火事を見るような他人事感覚があふれていたのは、長大な原作をダイジェストする過程で生まれた副作用といってもいいし、人によっては「ダ・ヴィンチ・コード」現象というのかもしれない。
なによりもファンタジーとして重視したい世界観についていえば、(原作は知らないけれど)この映画の幻界(ヴィジョン)の世界観では、十分に構築されていないし、異世界と少年がであうという王道物語において欠かすべからざる、異世界と対峙した際の感情の湧出が皆無なのは残念なところだし、そういう世界観の構築においては、ジブリ作品というのはほんとうに巧みだったなぁとも、どこかでささやく声もあるのだけれど、この映画ではたぶんそれはどうでもいいところなのだろう。
ついでにいっとけば、キ・キーマやカッツ、ミーナといった旅の仲間のキャラクターづけは薄味で、そこも物足りないところに感じられ、なによりヴィジョンという異世界にリアリティを付加するのは、そこに生きているものたちのことばと行動であるのに、世界観の作りこみの薄さが、キャラクターの肉づけの薄さになってしまったのは残念なところだよな。
そこで終われば単なる空漠だったのだが、現実世界の友人でもあり、ライバルでもあり、ともに宝玉を探す少年ミツルと、ワタルとがヴィジョンで再会してからの展開は非常に好ましく、ドラマの構造自体に背骨が入り、運命の塔での対決まで心地よい緊張感が続いていく。
一種の教訓めいた説話と、「ブレイブ ストーリー」=「勇気の物語」というタイトルにこめられた思いが、クライマックスで展開され、きわめて強力にテーマが語られるのだけれど、そのあたりをみて、この作品を考えてみるとすれば、世の中の空想物語に「ファンタジー」、「神話」、「童話」のジャンルがあるとして、世界観への関心の薄さからも、人生の教訓めいた勧善懲悪が描かれていることからも「ファンタジー」というよりは、「童話」の構造に近く、その枠組みにおいて、見た後半部分は、十分に楽しかった。
「童話」といってももちろん、グリムやアンデルセン、ペローやイソップとはちがうのだが、「ありがちな展開」というものがけして作品を貶める要素ではなく、むしろ語るべき内容の精度を高めるために不可欠な構造なのだってことだ。
総じていえば、この映画は期待以上におもしろく、前半に感じていた懸念をみごとに払拭してくれる佳作で、薄味で清潔すぎるところもあるけれど、一度はみておくべき作品といえるだろう。
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コメント
ブレイブストーリーは
田尾アップのCMで
汗まみれで帰宅する少年を抱きしめる母が、
もうお約束で、現実にはありえないシーンなので
期待しておりませんw
子供と生活してない方の脳内うざーですw
投稿者: ぐ | 2006年07月20日 23:11
はじめまして……ですよね。
そのあたりがまぁ「ファンタジー」ってやつでしょうか。
投稿者: 柴尾英令 | 2006年07月20日 23:27
俺も見たけど、つまらなかったよこれ。眠くなった。
ありがちで、突っ込みどころ満載と評する人々は、お宅が特筆した童話的要素も含めて評価していると思ったよ。
俺はあまり人に勧めたい映画じゃなかった。
投稿者: 柴尾あにぃ | 2006年07月25日 09:11
二人称で、「お宅」とかかれる方を久しぶりに見ました。
自分がお金を払ったものについて、どのように感じるかは、その人次第です。 柴尾あにぃさんの評価で、よろしいのではないでしょうか。
投稿者: 柴尾英令 | 2006年07月25日 12:30