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【テレビ番組】デッド・ゾーン

 スティーブン・キングの映画化作品のうち、いちばん好きなのは「ショーシャンクの空に」でも「スタンド・バイ・ミー」でも「グリーンマイル」でも「ミザリー」でもなく、断然「デッド・ゾーン」なのである。

 キングとクローネンバーグ、それにクリストファー・ウォーケンの"であいもの"としかいえないような秀作で、絶望と使命感、気高い愛のドラマに、カナダ・ロケで生み出された鈍色の映像が奇跡のようなハーモニーを奏でている。

 その「デッド・ゾーン」がテレビシリーズになり、現在、かの国では第5シリーズまで放送中ときいてはいたのだが、なかなか見る機会がなかった。

 最近、会員になったレンタルショップに新作として登場したので、DVD3巻7話分を見た。

 舞台がキャッスルロックからバンゴアに移っているのは、ご愛嬌。

 第1話は、原作の展開をかなり忠実にトレースしている。

 人気のある高校教師であるジョン・スミスが、祭りの夜、恋人、サラ(セーラ)とカーニバルに出かけ、夜店の賭けで予知めいた能力を発揮しつつ、大きく当たる。サラと愛を語らったその夜、衝突事故に巻き込まれ、植物人間として、6年(4年半)の昏睡をつづける。そして、その眠りから目を覚ましたジョンには、未来を見る能力が身につけたのだが、愛したセーラはほかの男の妻になっていた。

 このあたりはほんとうに秀逸で、テレビドラマでここまでシリアスな話をやるんだと感心した。

 第2話は彼に能力があることを証明するフランク・ドッドの連続殺人事件が描かれるのだが、ちょっとあれれって感じ。むかしの恋人で、いまは別の男と結婚しながらも、自分の息子を育てているサラと、仲良くよりをもどしている。うっすらしたホームドラマめいた空気さえ流れ、あの敗北を色濃く残しながら、孤高の戦いに挑むジョン・スミスの姿は、かすれた印象だ。

 ああ、「デッド・ゾーン」のモチーフを使いながらもメロドラマになっちゃうんだなと思っていたら、第3話ではちょっと微妙な流れに。

 高校教師として復職したジョンは、自分の能力を使いながら、人気者教師に返り咲く。なんかね、「アメリカン・ヒーロー」でウィリアム・カットがやったヒンクリー先生かよって、つっこみたくなる。

 さらにアイスホッケーのコーチに就任したジョンは、選手に心臓疾患があるのではないかという予知をするのだが……。

 ドッド事件や、この事件を契機に彼の能力が大きくクローズアップされる。原作なら彼はどんどん孤独に追いやられていくだのが、さすがテレビシリーズだけあって、ジョン・スミスを過剰に追い詰めることなく、むかしの恋人とのそこはかとないラブコメを漂わせていくのか、まいったなぁと思っていたら、じわじわと、おもしろいエピソードが増えてきた。

 基本はウェルメイドなメロドラマだし、そんな中に「12人の怒れる男」超能力版みたいな、とぼけたエピソードも混じるのだが、これはこれで、いいのかもしれない。

 第5話「地獄の炎」では「メメント」のパラレルワールド版ともいうべき意欲的な展開が好ましいし、第6話「過去を宿す家」では、母の死の原因を知るドラマをホラー風味で描写しながら、しっかりと感動的に描いている今回視聴した中でも、上出来の作品。

 「LOST」みたいに、これみよがしのハッタリや技巧派な展開はないけれど、予知能力をテーマにしたドラマで、これだけのバリエーションを楽しめるのなら、いいかも。

 サラ役のニコール・デボアって、どこかで見た顔だなと思っていたら、「CUBE」の数学者の人だった。こういう顔の人は大好物である。

 宿敵、グレッグ・スティルソンだが、第1話中に名前がちらりと出てきたのみ。どうやら、第1シーズンの最後で、本人がきっちり登場するらしいから、それが楽しみだ。


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コメント

はじめまして。わんだと申します。
先日、愛読している浅草キッド水道橋博士氏のブログ「悪童日記」で柴尾さんのことを絶賛されていたことから興味を持ち、ミクシィ経由でこちらにたどり着いた者です。

いつも楽しく拝見していますが、今回はタイトル見てドキッとしました。

デッドゾーン・・・

約20年前に初めてレンタルビデオ(ベータ・笑)で観てからというもの、聞くにつけ見るにつけ何故だか胸がときめいてくる、この甘い響き・・表現おかしいですね、すみません(^^;;)

ようはボクも「デッドゾーン」が大好物ということです。ハイ^^
S・キングものは和訳で読まなければならない難解な原作よりも、ビジュアルが補完してくれる映画の方が正直好きです。
(原語で読めたら最高なんでしょうけど、なかなか・・・)
柴尾さんが挙げた以外にもクリスティーン、クジョー、シャイニング、IT、などなど数え切れませんが、やはり「デッドゾーン」が一番ですね。(キング氏も映画化されたものの中でもフェイバリットのようです)

デッドゾーン好きを見つけたこの喜び、まずは柴尾さんに報告した次第です。
また、ちょくちょく遊びに来ますので、よろしくお願いいたしますm(_ _)m

ちなみにテレビ版は彼女の家でシーズン2の途中の1話と、柴尾さんも鑑賞されたシーズン1の第1話を観ました。
前者は航空機の爆発・墜落を乗客のジョンが危機的状況(自分もその状況下にいる)にいかに立ち向かうかの話で、サスペンスとしてかなり興奮させられました。
後者は・・・うーん、どうなんでしょう。
結構立ち直りが早いジョニー。
サラとセックス済みのジョニー。
しかも自分の子供だとわかり、未来に希望を持つジョニー。
C・ウォーケンじゃないジョニー・・・
映画版を愛するが故でしょうか、違和感ありありでした。
ただの“刷り込み”なのでしょうかね(^^;)

■わんださん
 はじめまして。コメントをどうもありがとうございます。

 ベータのレンタルビデオで、ご覧になられたということで、わんださんは世代的には近いのかな? あのころはキング原作の映画はたくさんあったけど、名作が少ないというのが定説になっていた時代ですよね。

>結構立ち直りが早いジョニー。
>サラとセックス済みのジョニー。
>しかも自分の子供だとわかり、未来に希望を持つジョニー。
>C・ウォーケンじゃないジョニー・・・

 たしかにご指摘の通り、このあたりは「デッド・ゾーン」であって、「デッド・ゾーン」にあらずという感じですよね。レンタルなので、手元に映像がないから確認できないのですが、たしかドラマの冒頭で「Based on tha character created by Stephen King」といった微妙なクレジットが表示されたように覚えています。キングが創作したキャラクターをもとにしているくらいのニュアンスなのでしょう。

 やはり映画の美しくも暗鬱なトーンでシリーズを続けていくのは厳しいという判断なのでしょうね。ぼくも4話あたりまでは、1話ごとに幻滅していったのですが、5話あたりから、エピソード単位で感心してみています。

 いったん方向性が固まったあとの、アメリカテレビドラマの作りは本当にうまい。

 今回の設定変更で、サラの旦那のウォルトがちょっとかわいそうに思えてしまうのですが、それでもドラマ「デッド・ゾーン」は、映画「デッド・ゾーン」とは別物として、見ていこうと思っています。

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