« さくらん | メイン | 守護神 »

【映画2007】墨攻

 ワーナーマイカルシネマズ板橋3番スクリーンにてSRD鑑賞。

 原作の小説も漫画も読んでいるのだが、ディテールはほとんど忘れている。森秀樹の漫画版「墨攻」はビッグコミックの連載で読んでいたので、その後に続いた「ムカデ戦旗」とごっちゃになっている。「墨攻」は中国の戦国時代。「ムカデ戦旗」は日本の戦国時代だから、かなりひどい混同だ。

 それでも墨家のありようはうっすら記憶している。


 随所に力が漲(みなぎ)る作品だった。監督のジェイコブ・チャンのほかの作品を見たことはないのだが、なにより、映像のセンスや世界の切りとり方がいい。

 紀元前370年の中国、趙と燕の二国にはさまれた国、梁は滅亡の危機に瀕していた。燕をめざす趙の大軍が燕に侵攻しようとしており、その途上にある梁の城が攻撃されるのは必至。追い詰められた梁の王は、墨家に救いの手を求める。墨家は兼愛、非攻の精神を持ち、強国の侵攻に際して、城を守る技術(=墨守)を磨いていた。しかし、救いの手は間に合いそうになく、王は幸福を決断する。そこにやってきたのは墨家の革離だった。

 21世紀を代表する攻城映画といえば、「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」だが、それとは大きく違ったタッチで、攻城戦のみに焦点をあて、骨太に描いている作品だ。(ちなみに「トロイ」なんてのもあったね)

 ただ、この映画は欠点が数多く存在する。おそらく1.5倍くらいのボリュームのシナリオを削ったのだろうが、最終的な作品にはその残滓がいたるところに見られる。

 王子、弓兵隊長、そこに住む孤児たち、近衛隊長とその娘、熾烈な攻撃の中の人間模様がいく筋もあるのだが、それがばっさり切られたことにより、中途半端な見せ場が取り残されて、とまどうことも多い。いくつかの悲劇的なシーンもあるのだが、伏線がきちんと張られていないために、唐突になっている。

 長めのダイジェスト版というか、大河ドラマの総集編のような雰囲気がある。

 そして、なによりも大きな欠陥は、予備知識がない人にとって、墨家とはなにかがよくわからないこと。

 映画の中で墨家の思想として、何度も「兼愛」と字幕に出るが、これが兼(ひろ)く愛するの意だと、わかる日本人がどれくらいいるだろうか。

 字幕の表現を工夫して、力点を移すか、日本オリジナルでオープニングを追加してもいいから、ここをきちんと説明しなければ、革離の存在そのものが弱くなるし、後半の問答の意義も薄くなる。

 そういった欠点は露骨にわかる。わかるのだけれど、おれはこの世界にすぽんとはまってしまった。欠点に関しては、原作の記憶のおかげで脳内補完ができたのだろう。

 なにより、ダイナミックかつアイディアにあふれた城攻めを映し出す坂本善尚の撮影と、川井憲次の音楽のリズムがたまらない。そう、この映画の鍵となる部分は日本人が担当しているんだ。

 また、おれはミドルアースでも春秋戦国時代でもいいからひとつの世界観の中での城攻め映画が好きなんだろうな。

 最初の城攻めから、クライマックスにいたるまで、これはぜったいに中国の戦国時代のテクノロジーではないと思うけれど、まるで有機生物が舞うように攻め寄せる趙軍の美しさは格別で、こういうものが見られるだけで、替え玉3つくらいいけちゃいそうだ。バリカタでいっちゃうよ。

 もちろん、アンディ・ラウのたたずまいは最高だ。ヒロインはアンディ・ラウとからみすぎで、途中のおんぶシーンなどは余計だと思ったが、まぁ、いいや。

 DVDではエクステンデッド・エディションで出そうだな。これの3時間30分バージョンとかあったら、ジャストサイズになるのではないか。それを劇場で見てみたいものだ。
  

※こちらのエントリーもどうぞ。

« さくらん | メイン | 守護神 »

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

コメントを投稿

ネットでラクラクチケット予約購入、e席リザーブでシックスワンダフリー

最近のエントリー

カウンターetc

人気ブログランキング - ゲームの王道 atom rss2.0
total カウンタ:today カウンタ:yesterday カウンタ

Pagerank/ページランク

人気記事ランキング

Google Adsense