【映画2007】ナイト ミュージアム
ワーナーマイカルシネマズ板橋9番スクリーンにてSRD-EX鑑賞。
これはベン・スティラー主演作の中でも日本で一番ヒットする作品になるかもしれない。
アメリカ旅行の楽しみといえば、博物館めぐり! 自然と歴史を立体的に飾る自然史博物館の質量そろった展示なんて、日本では体験できない醍醐味がある。最近では「X-MEN2」や「スーパーマン・リターンズ」で博物館が効果的に使われていた。映画の中で博物館がでるだけで、あのわくわくする空間に行きたくなる。
首都、ワシントンの中心地であるNational Mallにスミソニアンなど、博物館がずらりと並んでいるのは、そういった国家的宝物に対する思いを象徴的に示しているようでうらやましい。
あれほど充実した博物館は歴史上の覇権国家にしか作れないものだけれど、しっかりした博物館体験とともに、この映画を見られるアメリカのお子さんはうらやましい。
元嫁からは見下し気味に心配され、息子は自分より義父を将来の夢と公言するようになる。漠然とした夢はあるけれど定職はなく、住所も数カ月おきに転々とする……。そんなしょぼくれた男がぎりぎりの選択肢の中から手に入れたのは、博物館の夜間警備員という職だった。
来館者が帰り、博物館にたった一人で残された彼の目の前で、すべての標本、蝋人形、ミニチュアたちが動き始める。
前作「ピンク・パンサー」でも手堅い仕事をしていたショーン・レヴィ監督だけれど、この映画の完成度はそれをきっちりしのいでいる。
この手のファミリー映画なら絶対にでてくるロビン・ウィリアムスも登場するのだけれど、おさえた演技で「ジュマンジ」にしなかっただけでもすばらしい。
「Eye of the Tiger」を歌うあたりなんて、ベン・スティラーっぽいところもあるけれど、これまた、きっちり抑制されている。むちゃなところにいってない。
SFX抜きには成立しない映画だけれど、それでいて不自然さがないのは博物館という枠をきっちり使いつつ、歴史展示から飛び出した「人間」や動き出した剥製の「動物」がたくさん出てくるからかな。なにより、そういったキャラクターの扱いが絶妙なのだ。
冒頭からの伏線の広げ方と、その回収の仕方は見事というしかなく、こういうきっちりしたエンターテインメントの職人仕事を見せられると、「へへへ、アメリカさんにはかないませんなぁ!」とちょっと卑屈になっちゃうぞ。
キャラクターが構成する世界観作りにはいくつも工夫があって、ほんとに勉強しちゃったよ。
父親にとっては「もうひとがんばりしようかな」という気になるし、子供にとっては「博物館で勉強しよう!」という気にさせるのが、すばらしい。いくつもの教訓がシナリオに入っているのだが、それを説教くさくさせないバランスのよさはたいしたものだ。
主人公が決してバカではなく能動的に動きながら、ドキドキハラハラして、大いに笑い、映画が始まったときと終わったときで、すべての登場人物がいまいるところから一歩ずつ、前進している。そんなすばらしい映画だったよ。
前半、証券用語などで強引な字幕をつけると思っていたら、やっぱり戸田奈津子の字幕だった。後半に出てきた。"stop spanking the monkey"なんてところを、訳すのは無理だろうけどね。戸田なのがちと残念。
ああ、博物館に行きたくなってるよ、おれ。


