【映画2007】ハンニバル・ライジング
ワーナーマイカルシネマズ板橋2番スクリーンにてにてSRD鑑賞。
「羊たちの沈黙」の殺人鬼、ハンニバル・レクターがいかにしてハンニバル・レクターになったかを描いた作品だ。
リトアニアの名門貴族の裔として生まれたものの、戦乱で両親は死に、6歳にして最愛の妹、ミーシャを敗残のドイツ兵に殺され食われ、14歳にして脱走した孤児院はソ連によって接収されたレクター城だった。裕福な叔父を頼ってパリを訪れたものの、叔父はすでに亡く、未亡人のレディ・ムラサキの庇護を受ける。レディ・ムラサキは日本の武家の末裔として、ハンニバルに剣道を教える。市場でレディ・ムラサキを侮辱した肉屋を手始めに、持ち前の気の短さを発揮しはじめたハンニバル。失われた記憶の断片が、つなぎあわせれていったときに、妹を食べた連中の手がかりが見えてくる。目には目を。歯には歯を。食肉には食肉を。ハンニバルの復讐が始まった。
ああ、つまり。この映画を見るコツは、「羊たちの沈黙」、「ハンニバル」、「レッド・ドラゴン」など、大人ハンニバル・シリーズを忘れることなのだろう。
アンソニー・ホプキンスが演じた大人ハンニバルと、ギャスパー・ウリエルが演じた子供ハンニバルとでは、かなりの差がある。映画を見終わっても彼らの人生がダイレクトにつながっているとは思えない。
その大きなポイントは、博士の人を支配する力の有無だろう。冷酷、激情、知性などは、つながっていても、周囲を巻き込み、支配するあの力の芽が子供ハンニバルにあるとは思えない。だからきっと、同姓同名同地出身の別の殺人鬼の話ということで、楽しませていただいた。
第二次世界大戦直後、戦争犯罪者が怪しくうごめくヨーロッパの光景は、じつによく作りこまれており、その中できっちりと復讐を果たしていく子供ハンニバルの姿は、けなげである。子供ハンニバルは内臓好きではなく、ほほ肉好きというのがおくゆかしい。内臓は下処理が大変だからね。
アンソニー・ホプキンスを忘れれば、ギャスパー・ウリエルの存在がすばらしい。第二次世界大戦という東欧貴族階級を完全に消去させた時代の残り香をきちんと感じさせてくれた。
なーんてことをいろいろ書いているけれど、あらためて考えると、この映画が好きなのは、「プライベートレッスン」ものだからなんですね。
シルヴィア・クリステルだとか、ジョアンナ・パクラだとかといった、わけありなお姉さまが、思春期のお坊ちゃんな稲垣吾郎あたりを教えてあげる……、そういう映画だ。おじさんも若いころは、そういう映画を見て悶々としておった。最近はその手のジャンルがAVに移行しすぎておってつまらんのぉ。
その視点で見ると、性の目覚めをきちんとお手伝いするかわりに、人肉食いの目覚めを結果的にお手伝いしちゃったのは、いかがなものかと思う。
性欲をスポーツで解消するバカは多いけれど、殺人で解消するのは、ひととして大変だ。それにしても未亡人コン・リーのいる家で、いろいろ教えてもらう立場は最高だ。おれなら、コン・リーのためにどれだけご奉仕することか。
子供ハンニバルも人肉さえ食わなかったら、コン・リーと素敵な日々を遅れたのに……。
上品できちんと割りきれて、すばらしい映画だと思うが、残念なのは「パフューム」という超絶殺人青年映画の記憶がまだ新しいこと。やっぱり、「パフューム」がすごすぎた。
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