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【映画2007】ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習

 ユナイテッドシネマとしまえん4番スクリーンにてSRD鑑賞。

 アメリカボックスオフィスでは2週連続の第一位をとったモキュメンタリー映画「ボラット」がついに日本公開された! それならば、いくしかないよね。

 ボラットはカザフスタンのテレビリポーターだ。母国カザフスタンをよりよい国にするために、アフガニスタン情報省の支援を受け、先進国アメリカの事情を取材に来た。ボラットはカザフスタンの貧しい村に住んでいる。妹のナターリャはカザフスタンのコンテストで4位に入った娼婦で、この村には牛追い祭りならぬユダヤ人追い祭りまである。


 もちろん、こんな「カザフスタン」は地球上のどこにもない。ボラットはユダヤ系イギリス人コメディアン、サシャ・バロン・コーエンがテレビ番組で生み出したキャラクターである。

 映画の中でボラットがインタビューする相手は、現実の人間が多いから、「電波少年」風のテーストだけれど、ボラットの存在はフィクションなのだ。そこから見えてくるのは、ふだん紹介されていない本音のアメリカだ。

 ニューヨークやワシントンで、地下鉄、元大統領候補、ユーモア教室、フェミニスト団体、カーディーラー。さらに南部のロデオ大会や、銃砲店、マナー教室と会食、テキサスの骨董屋など、さまざまなシーンで、アメリカ人に根づく差別意識やモラルをつっこんでいく。

 一連のシーンの中で、気はいいけれど、天然に傲慢なアメリカ人の姿をくっきりと見せてくれる。

 日本公開にあたってでかなりカットされてしまうのかと危惧したけれど、アメリカと日本の上映時間は同じだから、ほとんどカットはされていないと思っていいだろう。

 こんなえぐいものが公開できるかと、いわれていたが、えぐさでいえば、「ジャッカス」のほうがはるかに上だ。

 それでもすさまじく下品なシーンもある。ボラットとアザマット(プロデューサー)とが、ホテルの客室で、仲たがいする。おたがいに全裸で、相手の金玉をつかみ合う喧嘩にエスカレート。ちんこが巨大な腹にめり込んでほとんど見えないアザマットだが、ボラットを押さえ込んだ際は、肛門をボラットにおしつける。県下は部屋の中だけにとどまらない。全裸のままホテルで開催されていたコンベンションの会場まで全裸で押しかけ、舞台上で乱闘するのだ。

 「テレビドラマ"ベイウォッチ"で一目ぼれしたパメラ・アンダーソンと結婚するためにカリフォルニアにいく」という映画ストーリーは、コメディのベクトルを強く強調していて、いやな感じは少ない。

 また、HBOで放映された際、「ユダヤ人は地獄に落ちる」発言で物議をかもしたミシシッピの共和党下院議員候補者ジェームズ・ブロードウォーターなど、ひりひりするような政治的話題は、控えめになっている。

 仕込みのネタのみならず、相手に合わせて、アドリブでネタをくりだすサーシャ・バロン・コーエンの芸はすばらしいし、相手を酒で酔わせ、自分も酔っ払って、これほどのネタを連発するなんて、すごすぎだ。

 後半になると、なんだか不思議な叙情さえ感じられるコメディだった。YouTubeの映像でボラットの姿をかなり見ていたから、個人的には、初見の衝撃こそなかったものの、随所にはめ込まれた、小技のブラックユーモアなどふくめて、思い切り笑わせていただきました。
  

※こちらのエントリーもどうぞ。

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