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【社会科見学】せとしお

 あれは小学六年生のときだったろうか。2泊3日の「親子体験ツアー」で、桜島を訪れたことがあった。

 ツアーの目玉は最新の観光用潜水艇でいく錦江湾クルーズだった。軍"艦"ではないので、「潜水艦」ではなく、「潜水艇」なのがポイントだけれど、人生において、いくつの乗り物に乗れるかわからない小学生にとって「潜水艦」だろうが「潜水艇」だろうが、潜水できることは夢のようであった。

 潜水艇の乗員数は限られており、100人前後のツアー客は2班に分かれて訪問することになった。ぼくらは午前の班ではなく午後の班ということで、まずは桜島観光の取り。だが、午前班を悲劇が襲った。潜水艇につないだ浮き桟橋が横転。その上に乗った子供たちを海にたたきこんだのだ。

 当然、潜水艇の営業は中止。潜水艇のために親にごねて、弟といっしょにツアーにいったのに、それがなくなってしまうとは……。

 考えてみれば、桜島の火山灰で濁った錦江湾では、水中の視界がよいわけではなく、たいした体験にはならない気もするが、食えなかったものの恨みは1週間くらいでなくなっても、乗れなかったものの恨みは30年以上、消えていない。

 あのころは、桟橋が転覆してもいい。泳いで潜水艇にたどり着くから、乗せてくれと思っていた。

 さあ、潜水艦だ! リベンジだ。観光用潜水艇とちがって窓はないけど、関係ない。

 母校、明治学園中学校の同期生、キャプテンは、防衛大学から、海上自衛隊に進み、サブマリナー人生一筋の男だ。いまは市ヶ谷で陸上勤務だけれど……。

 持つべきものは友だちである。同級生一同で、潜水艦に乗せて乗せて!といっているうちに、ほんとに乗せてくれることになった。ありがとう。

 海上自衛隊は最近イージス艦の情報漏洩問題で3佐が逮捕されたり、この日も横須賀基地に停泊中の護衛艦「しらね」の指揮所から出火事故が起こったり、まぁ、いろいろたいへんだ。

 正午、同窓生とその家族や友人など、10名が横須賀中央駅前に集まる。横須賀といえば、海軍だ。海軍といえば、海軍カレーだ。まずは「横須賀海軍カレー本舗」で「よこすか海軍カレー スペシャルビーフ」をいただく。

 辛さも調整できるとのことで、「激辛」を希望。ホットソース系を最後に添加したような辛さだけど、さらっとして玉ねぎの自然な甘みのせいか、それほど、いやな辛さではない。上品にうまいカレーだったよ。

 1時間くらいたらたらと、食事をする。そこから基地まで歩いていくのだが、基地内や艦内で、トイレを使うのは困難とのことで、途中の「さいか屋」でトイレ休憩。このとき、郵便局にいきたいと駄々をこねる同級生女子が約1名。JICAの仕事人"くみさん"だ。そのおかげで、キャプテン、右往左往である。予定がすっかり狂いまくりだ。

 海軍、海自といえば「5分前精神」だが、民間人には通じない。

 横須賀には海上自衛隊の基地と米海軍の基地がある。海自の潜水艦に関しては、自衛隊基地内のスペースには置けないので、米軍基地に間借りしている状態。

 ちなみにアメリカ第7艦隊横須賀基地とは、かつての帝国海軍横須賀鎮守府だ。日本最古のドライドックもあるぞ。

 基地のゲートでは、あらかじめ申請していた名前と、免許証やパスポートを照合して、一時入構証を発行してもらう。

 基地内ではバスを用意してくれていた。現在、航空母艦キティホーク、揚陸指揮艦ブルー・リッジをはじめとして、ミサイル巡洋艦やミサイル駆逐艦がずらりとならぶ。これは壮観で、撮影が制限されているのが悔しいのである。


大きな地図で見る
拡大地図を表示↑Google Mapなら、潜水艦がよく見える。

 今回、見学させてくれるのは「せとしお」だ。2003年1月23日起工、2005年10月5日進水、2007年2月28日竣工の最新鋭艦だ。全長82メートル、最大幅8.9メートル。中では士官と曹士あわせて、70名以上が乗り組むという。

 乗り込む際は、外殻上部で、荷物や上着を預け、約3mの高さをハシゴで降りていく。ハシゴそのものは垂直かつ等間隔にあるわけではなく、ハッチや艦内の構造にあわせて、うねうねとしている。補助についてくれた方が下から靴をつかんで、梯子段に持って言ってくれるから助かった。

 基地に帰るたびにこの高さから、米や芋、玉ねぎを積み込むのだから、たいへんである。内部は狭いので5人ずつ2班に分かれて移動する。

 最初は士官室で座学。パンフレットをいただいて、あれこれ話をうかがう。テーブルには来客用のクロスがかけられているが、新しい艦ということもあり、きれいな印象だ。プラズマディスプレーも壁にかかっている。停泊中は普通にテレビも見られるとのこと。

 「せとしお」のシンボルマークは青龍、玄武とか、朱雀とか、白虎とかの四神のひとつで、東方の守護神をイメージして採用しているとのこと。しかし、先日、進水したばかりの新型潜水艦は「そうりゅう」だ。「蒼い竜」だ。「どうするんでしょうね」などと話をしていた。

 前のグループが終わって、発令所へ。各パネルの説明を受けたあと、操舵席に座らせてもらって、くるくるしたり、押したりしたり……。潜望鏡をのぞかせてもらって、右のボタンを切り替えたり、左のボタンを切り替えたり、さらにぐるぐるしたり……。視野の多くには、米軍の艦があるから、なかなか興奮する体験だ。さすがに分解能も高く、クリアな視界で、ふしぎな距離感を感じる。

 最後に「ちょっとのぞかせて」とキャプテンが潜望鏡にとりつく。さすが経験者は動きがちがうと感心してしまった。回るだけでなく、上下にも動くんだぜ。

 居住区経由で発射管室へ。黄銅色にかがやく魚雷の横に寝具セットが。乗員の数に含まれていない実習生が魚雷の横で寝る伝統はいまも残っているとのこと。

 居住区のベッドも見せてもらった。たしかに狭いのだけれど、むかしの国鉄のB寝台を圧縮したような感じで、非人道的な狭さとは思えない。「せとしお文庫」と張り紙されたロッカーでは、「クローズ」だけが全巻そろいと但し書き。

 科員食堂では、当直乗員の方がくつろぎ中。失礼しますと入っていき、座席下に積み込まれた玉ねぎやジャガイモを見せてもらい、すべてIHで加熱するという厨房も見せてもらう。通信室、電池室はさすがに見せてもらえない。

「宙返りはできるんですか」と、子供1名、大人1名が素朴に質問していたけれど、最大トリムは20度程度で、それ以上傾けると電池から、希硫酸があふれ出るかもしれないとのこと。

 最後はディーゼルエンジンが並ぶ機械室。潜水艦はディーゼルと電気モータを使うハイブリッド駆動ではある。

 機械室の上には、潜水時の脱出ハッチがある。細かい作業手順が金属板に書かれているのだけれど、「鮫に注意」としっかり書かれているのが、味わい深い。

 最後に出していただいたコーヒーをいただく。さしずめ喫茶「せとしお」である。乗員はステンレスマグカップを使うのだが、こちらは来客用の陶器カップだ。

 最大乗員数での状況はわからないのだが、キャプテンの話を聞くと、日本の攻撃型潜水艦の居住性はかなり高く、アメリカの攻撃型原子力潜水艦とくらべても遜色ないとのこと。

 外殻上部に出る。ああ、いい天気だ。船尾まで歩いていく。鯨の背中の上で動き回っているみたい。最後に記念撮影。お疲れさまでした。

 米軍基地を出たあと、どぶ板通り経由で横須賀中央駅へ。ゲーム「シェンムー」でヴァーチャルに知っていた「どぶ板通り」と、現代のどぶ板通りでは、まるで違っているね。

 そのまま同窓生たちで、ぞろぞろと渋谷の「あ・うんの博多ぬくぬく家」へ。今回は小倉のドクターMarcoくんと、北海道雨竜町のドクターゆき男くんをまじえ、渋谷で飲みまくるという趣向。

 馬刺しでワイン! 水炊き餃子でワインと、つぎつぎに空け続け、飲み続け、そのあと3軒まわり、覚えているだけで、6~7人で13~14本のワインとシャンパンを飲みました。

※こちらのエントリーもどうぞ。

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