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【映画2008】Sweet Rain 死神の精度

 ワーナーマイカルシネマズ板橋5番スクリーンにてSRD鑑賞。

 ずるい。ほんとにずるい。富司純子は映画界のセーブ王ではないか。

 「寝ずの番」、「フラガール」、「犬神家の一族」、「愛の流刑地」と、映画の終盤でこの人が出て、演技をするだけで、あらゆるものが許せてしまう。そんな作品ばかりじゃないか。「愛の流刑地」のように火だるまになった作品まで、救援するのだから、すばらしい。

 この作品は全3部のオムニバス連作構成なのだが、第一部、第二部の弛緩した単調さに辟易して、帰りたくなっていた。しかし、第三部で富司純子が登場ですよ。世界に彩りがあふれ、うそ臭い設定にリアリティさえあたえられたのだから、とんでもない話だ。

 不意の死が予定されている「判定対象」と数日間接触し、「実行=死」、「見送り=生」の判断を下す死神・千葉(金城武)。

 どこまでいっても、普通の日本人とは思えない独特のイントネーションとボケをかます金城武を、異界からきた、死神という存在にしたのはすばらしく、彼ゆえのユーモアさえ漂う。

 ただ、かったるいのは、セリフが多いわりに、どうして「実行」で、どうして「見送り」になるかの判断基準がさっぱりわからないからだ。したがって、その基準を外れる判断をするのかどうかという、サスペンスも生まれない。

 そこにかぶさる凡庸な音楽。音楽はゲイリー芦屋なのだが、彼の罪というより発注から選曲にいたる弛緩ぶりが原因ではないのか。

 「悲しい音楽」、「どきどきする音楽」、「とぼけた音楽」程度で発注され、それを、悲しいとき、どきどきするとき、とぼけたときに割り付けたかのような説明過剰な選曲なのだ。

 小西真奈美が役名の藤木一恵でデビューした曲「Sunny Day」は、なるほど声質もよく、使い方にも遊び心があって、効果的なのだが、それ以外の音楽がほんとに苦しい。2時間ドラマでもいまどきやらないような音使いだ。

 小西真奈美はお客様相談室のテレフォンオペレーター役で、ストーカーめいたクレーマーに悩んでいるのだが、自分の人生を死神に語るとき、「私、みにくいんです」といわれましても……。小西真奈美を醜いと言い切るんだったら、日本に住む女性はほぼ全滅だといってもいいぞ。

 

 具体的には書かないけれど、キャラクター設定やプロットはぶれまくりだ。原作は未読だが、このような設定から生まれるプロットとは思えないから、いろいろと変えられているのだろう。

 伏線や設定の回収が雑になっているのだけど、先述のように、富司純子がそれをすべてセーブしているのはすばらしい。

 いやおれは小西真奈美めあてでいったんだけどね。参ったなぁ。

Eyes on Tibet()
「私の声を聞いてください」

※こちらのエントリーもどうぞ。

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