【映画2008】ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛
ワーナー・マイカル・シネマズ 板橋8番THXスクリーンにてSRD鑑賞。
動物がしゃべる。動物が直立する。主人公が子どもである。現実とつながったファンタジー世界……と、普通ならば苦手な要素がてんこ盛りの作品だけれど、いやもう圧倒的におもしろくて楽しめた。
シリーズ前作はもちろん、「シュレック」、「シュレック2」のアンドリュー・アダムソンがこれほど濃密にまとまった大作を作れるとは思っていなかっただけに、意外な喜びだ。前作は嫌いではなかったし、原作を考えると、よくできた作品だと思ったが、今回はすばらしい密度の作品だ。なにより原作を人間の王国テルマール対幻想の王国ナルニアの戦争という構図にしっかりとはめ込んだのが効果的だ。
攻城戦を中心に、二つの勢力が正面きった戦いを展開するなど、全体に「ロード・オブ・ザ・リング」の「二つの塔」を髣髴とさせる構成となっている。ただ、原作で「二つの塔」的流れに近い部分を微妙に改変させているあたり、思わず、にやりとしてしまう。ただ、それでも似ちゃうんだけどね。
四兄弟の兄と姉であるピーターとスーザン……、思春期を迎えたふたりの成長の物語であることは、冒頭、第二次世界大戦中のロンドンのシーンでぬかりなく表現されている。それぞれの成長プロセスに、的確なエピソードがあたえられているから、クライマックスは素直に感動できる。
また、四兄弟それぞれの見せ場がきちんとあるのも好ましい。とりわけエドマンドの成長ぶりには好感を持った。
もちろんカスピアン王子も魅力的に描かれている。原作よりも年齢を上げ、少年ではなく、青年として登場。年齢的にもピーターのライバルとなっているのは、映画的な工夫だ。ただ、キャラクター造形としてはピーターのほうが豊かで、カスピアン王子自体はステレオタイプになっている。まぁ、王子様要素に特化したキャラクターとしてみれば、最強に近いのだけれどね。スーザンとの距離感も映画版ならではのものだ。
オリジナルでは、"幻想の国"対"人間の国"という対立の図式になるはずが、幻想の要素が少ないため、事実上、"人間"対"人間""の戦いになっている。しゃべる動物の出番もあまりない。娯楽映画としてのまとまりを考えると仕方ないとこだろう。
スーザンが弓を射るシーンは、「ロード・オブ・ザ・リング」のレゴラスをしのぐ凛々しさなのだが、テルマールという敵とはいえ、少女が人間を射殺する描写に抵抗はある。
また、原作にあったカスピアン王子のナルニアへの思慕も薄れているのだが、仕方のないところかもしれない。
ネズミのリーピチープのすばらしい活躍ぶりは、大いに楽しませてもらった。今回割愛されたしゃべる動物たちの代表として最高に魅力的だ。
アスランの登場タイミングは原作とはかなりちがうし、最初の大規模戦闘シーンなんて、原作にはなかったのだけれど、シナリオとしてのまとめ方がうまいので、映画ならではの名シーンになっている。
総じて娯楽映画としては出色のクオリティだった。こういうのを見られると、ほんとうに幸せだ。
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