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【映画2008】崖の上のポニョ

 ワーナーマイカルシネマズ板橋8番THXスクリーンにてSRD-EX鑑賞。ややネタバレ気味。

 噂には聞いていたが、本当にクトゥルー・ファンタジーだったよ。詳しくはこちらのブログエントリーを読めばいい。ここにも書かれていたが、ポニョママの描き方など、ほんとに諸星大二郎を思い出してしまった。宮崎駿はつくづく、諸星大二郎が好きだなぁ。

 漱石の「夢十夜」とか、黒澤明の「夢」のごとき、老巨匠の迷走作という評価もあったが、ええ、こういう迷走なら大歓迎だ。

 ポニョがハムを喜ぶ理由、ポニョがトンネルを怖がる理由、ママとポニョママとの会話を老婆がさえぎる理由、ポニョが眠る理由、ポニョがバケツを大切にする理由、神話的なサインとしかいえない象徴的なアイテムがちりばめられているが、明確にその意味が解説されることはない。それが本当に気持ちいい。

 また、むやみにストーリーや設定をたどっていては、たぶん、ポニョにはついていけないだろう。鏡面のようなポニョと宗介の親子関係。携帯電話、無線、発光信号と多様に登場する通信手段。赤ん坊とおっぱい。恒例の食事シーンがチキンラーメンだったこと。ばらまかれたディテールへの意味づけすら、放棄している。

 ここに登場する港町の空間的広がりは、すべて子供である宗介の目の届く範囲に限られている。冒頭で、街の沖合いにはものすごい量の船が登場するが、まるで子供が描く港町といった空間の作り方だ。

  

 海面上昇がこのレベルになれば、世界は明確に破滅に瀕しているのだが、港町の外の世界が問題になるわけではない。すべて子供視点だ。これだけの大災厄を少年と人面魚の直線的なラブストーリーにするあたりが、巨匠の「強引力」といってもいいし、それがおもしろい。

 ポニョが、宗介の乗った軽自動車を追いかけるシーンなど、もはやアブストラクトなスラプスティックとして理屈抜きに楽しめる。おれはもうあれを観たとき、笑いたくて仕方なかったよ。

 世界滅亡をかけた男の子の愛のドラマだし、年齢も役割もちがうさまざまな女たちのドラマでもある。宮崎駿のアニメーションとしても出色のおもしろさ。そして、こんなすさまじい作品がヒットしている日本もまんざら悪い国ではないと思うのだ。

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