【映画2008】シリコンバレーを抜け駆けろ
大手企業に勤めるアンディは、マーケティング業務で成功を収めていた。そこでは地位やコネ、高い給与も保証されている。だが彼はある日、やりがいのある仕事を求めて一念発起。その会社を退職し、ラ・ホンダという最新ベンチャー研究機関に再就職した。しかし、周りからは邪険に扱われるアンディ。やがて、彼は不可能といわれる“99ドルのパソコンを作る”というプロジェクトを強制的に引き受けさせられてしまう。そして3人のダメ社員をかき集めて知恵を出し合い、ついに99ドルのパソコンを完成させるアンディだったが…。
そんな劇場未公開(DVDのみリリース)の映画を日本テレビの深夜映画枠で放映していた。
タイトルが「駆け抜けろ」じゃなくて「抜け駆けろ」なんて、初めて聞く日本語の用法だが、原題も「The First $20 Million Is Always the Hardest」という苦しいもの。IMDbを見ると、アメリカでは1週間だけ2館のみ公開された映画のようだ。
99ドルのパソコンというのが、アプリケーションは全てオンライン上にあり、モニター代わりにホログラム発生装置、マウスとキーボード代わりにセンサーグローブをつけ、空中に浮かぶ3Dアイコンを操作するというすさまじいもので、映画がつくられた2002年にこんなものをOSごと開発して、99ドルで販売するというのはものすごいファンタジーだ。
映画ではさらに開発を進め、レーザー入力装置搭載でセンサーグローブさえ不要にして、99ドルで発表していた。ああ、そういうすばらしいものがあったら、ぼくもぜひ一台いただきたいものです。
潔癖とかデブとかインド人とか、シリコンバレーの住人たちの生態をいまさらのように描いている。喧嘩するときの挑発文句がなんとも……。
「なんだよ! おまえのおふくろなんか、Macを使ってるくせに」
「なんだと!」
「しかもSystem7だってなぁ」
「きさまぁ!」
2002年でこういう会話って"あり"なのか。しかも「すべてのソフトをインターネットにおくんだ」なんて、いまさらのようにしゃべらせている。
原作小説も角川文庫から出ていた。邦題も同様に「抜け駆け」ているのだが、時代背景がちがう。小説の刊行は1997年、目標価格設定は300ドルにしているし、ホログラフとか、グローブなんて、無茶な設定は入れていない。1997年にオープンソースをとりこんだOSやコンピュータを語るのなら、意味がわかるし、iMac発売直前の時代だけに「Macを使ってるくせに」というのも意味がわかる。
コンピュータの事象を5年も遅れて描いているのが苦しい上に、そういうオタクとかハッカーってこういうものだよねと決めこんで作っているのも苦しい。
でもね。こういう苦しくても思い込みで作ったゆるい映画を見るのは好きなのだ。
いやいや、きみたち、ナーズだか、ギークだかも気持ち悪いけど、まんざら悪いやつじゃないよね。やるときはやるね。
なんてわかったつもりで、まるっきりわかってないゆるさも楽しい。ちなみにヒロインのロザリオ・ドーソンをどこかで見たと思っていたら、「アレキサンダー」、「シンシティ」、「デスプルーフ」に出てたのね。
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