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【映画2009】チェ 39歳 別れの手紙

 ワーナーマイカルシネマズ板橋5番スクリーンでSRD鑑賞。

 前作「28歳の革命」が淡々と勝つべくして勝っていく話ならば、この「39歳 別れの手紙」は淡々と負けるべくして負けていく話だ。

 「28歳の革命」では国連のスピーチという凱歌があったのだが、「39歳 別れの手紙」は失意の連続である。

 「28歳の革命」ではエルネスト・ゲバラが革命キューバでチェ(やぁ!)という愛称を獲得していく話だったが、「39歳 別れの手紙」は諸事情でその名前を隠さざるをえなかったゲバラが民衆の支持を受けられずに衰えていく。

 教育、医療、捕虜の扱い、キューバと同じメソッドで革命を遂行しようとするゲバラ。キューバはチェを欲していたのだが、ボリビアはゲバラを欲していなかった。

 前作は政府軍の兵士のアメ車をという部下のゲリラ兵士が略奪するというラストシーンが印象的だったが、こちらでは捕縛されたチェが見張りの兵士に「手を縛る縄を解いてくれ」と、たのむシーンが印象的だった。

 共産主義で非キリストの悪魔ではない。人間に対して無限の信頼を置くことから生まれるチェのカリスマの一端に触れ、危うく解きそうになる兵士をみて、なぜ、多くのゲリラがチェを慕ったのかがわかる。

 これをみると、ボリビアにおいて、名前という呪文を秘匿し、ゲリラ戦を展開してきたチェの苦闘がしのばれる。チェは自分にマホトーンをかけつづけていたのだ。

 2本の作品を通して、チェ・ゲバラの脱神話化をはかってきたソダーバーグの試みは成功していると思う。これほどまでに脱神話化される、神話なきチェの存在もまた神話的なのかもしれない。

   

 史実では死の直後、イタリアで「英雄的ゲリラ」と称されるチェのポスターが販売される。その画像はキューバでの追悼集会で遺影としても使われる。チェは反体制のシンボルと化し、ジム・フィッツパトリックがネガ化したポスターはさまざまな活動のシンボルとされた。 そのあたりは、「チェ★ゲバラ 世界一有名なポートレート」なるドキュメンタリーにもなっている。

 自身の死後を予言するかのようなことばを作品中でチェが語っているのが興味深い。

 とはいえ、やはり史実や脱神話化にこだわった部分が、退屈さの原因になっているのは否めない。ソダーバーグにはもうちょっと映画を創ってほしかった。

監督脚本:スティーヴン・ソダーバーグ 脚本:ピーター・バックマン 撮影:ピーター・アンドリュース 音楽:アルベルト・イグレシアス 
キャスト ベニチオ・デル・トロ ベンジャミン・ブラット フランカ・ポテンテ ルー・ダイアモンド・フィリップス カリル・メンデス ジュリア・オーモンド エドガー・ラミレス カタリーナ・サンディノ・モレノ デミアン・ビチル ロドリゴ・サントロ 他
※こちらのエントリーもどうぞ。

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