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【映画2009】イエスマン “YES”は人生のパスワード

 ワーナーマイカルシネマズ板橋4番スクリーンにてSRD鑑賞。

 これはひろいものというべきか。ジム・キャリー出演のコメディの中でも完成度は高い。大いに楽しませてもらった。


 数年前の離婚以来、なにをやっても意欲がなく、仕事も遊びもネガティブになってしまったジム・キャリー。人と会うことさえ、億劫でありあまる時間をもてあます日々を送っていたのだが、ふとした拍子で自己啓発系セミナー「イエス・プログラム」に出席する。セミナーの主催者に目をつけられたジム・キャリーは他者からのすべての問いかけに「YES」と答えるという誓いをしてしまう。

 不本意ながら、その誓いを実行していくジム・キャリー。ホームレスにタクシー代わりにされ、バッテリー切れまで電池を使われ、有り金ぜんぶくれてやり、最低の状態に最低のスタートを切ったと思ったのだが、おかしな女の子、ゾーイ・デシャネルとの出会いから、不思議と前向きになっていく。

 ああ、ポジティブシンキングの自己啓発系か。そういや、「ペイ・フォワード 可能の王国」なんて、マルチ系セミナーっぽい、薄気味悪い映画もあった。そういううさんくさいのはいやなんだよな。とはいえ、「ハプニング」で印象的だったゾーイ・デシャネルが出るというので、気になってみたのだが、ウェルメイドな脚本とコメディとしての処理が最高にうまいし、ハリウッドボウルやグリフィス天文台などLAのランドマークをうまく使っていることもあって、映画に浸ってしまった。

 ジム・キャリーも46歳。28歳のゾーイ・デシャネルとからむには、ちょっと老けた印象もあるのだが、下品ぎりぎりのネタを一歩手前ですくうのが絶妙だ。得意の顔面芸もひさびさに全開で楽しめる。

 ジム・キャリーのおたく上司のパーティなど、映画ファンならにやりとするネタも豊富だ。また、うまいのは音楽の使い方だ。最近ではワールド・ベースボール・クラシックのTBSテーマ曲にもなっているJourneyの「Separate Ways」がワーナーブラザースロゴの時点から流れ、ジム・キャリーの年齢にあわせて、80年代の曲がいっぱい流れているかと思っていたら、ゾーイ(ズーイー)・デシャネルのガールズバンドがギーク好みな仕事で、微笑ましくなる。

  

 なにより、ゾーイ・デシャネルのサブカル娘ぶりがドンビキにならない程度に、好ましく描かれているのが、よい。LAの街を疾走するスクーターなどが、映画全体のトーンをポジティブにしているのみならず、さらなる飛翔感にもつながっているし、少しずつ予想をしのいでいく展開もうまい。

 うならされたのは「イエス・プログラム」といううさんくさいセミナーに対する批判も忘れていないことだ。だいたいセミナーのリーダーをテレンス・スタンプにしているのが楽しいし、コメディとしてみごとな処理がなされている。

 簡単にうさんくさくなるネタをこれほど手際よく処理するとは、驚いた。号泣したという映画の評価はうさんくさいが、心おきなく爆笑できるきちんとしたハリウッド・コメディは本当に楽しい。

監督:ペイトン・リード 脚本:ニコラス・ストーラー/ジャレッド・ポール/アンドリ ュー・モーゲル 原作:ダニー・ウォレス 製作:リチャード・D・ザナック/デヴィッド・ヘイマン 撮影:ロバート・D・イェーマン 美術:アンドリュー・ロウズ 編集:クレイグ・アルパート 
キャスト ジム・キャリー ズーイー・デシャネル ブラッドレイ・クーパー ジョン・マイケル・ヒギンズ テレンス・スタンプ ダニー・マスターソン 他
※こちらのエントリーもどうぞ。

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