【舞台・観劇】コルテオ
うかうかしているうちに終わってしまう「コルテオ」東京公演へ。ちなみに東京公演は5月5日まで、21日からは名古屋へ。
東京に来ている母からのリクエストで当日券をとったが、D10列というとてもいいシートであった。見たところ座席はほぼ埋まっていたから、最後に開放されたエリアだろう。ゴールデン・ウィークの狭間の平日ということもあり、いいタイミングだった。
4月28日ソワレ演目表
シャンデリア
バウンシング・ベッド
シル・ホイール
リトル・ホース
タイトワイヤー
ゴルフ
フット・ジャグリング
マリオネット
ヘリウム・ダンス
ティーター・ボード
休憩
パラダイス
クリスタル・グラスとチベタンボール
アダージョ・デュエット
ジャグリング
ラダー
テアトロ・インティモ
ボーカル・エアリアル・シルク
ツアーニク
ショッキングだったのは設定だ。シルク・ドゥ・ソレイユの作品だから、ある種のテーマがあるのだが、今回は臨終の床に就く老クラウン、マウロの夢とも現実ともつかない世界が舞台となる。テーマはメメント・モリだったのか。
コルテオとはイタリア語の「行列」だそうだが、作中、日本語や英語でも語られるように、行列のテーマは葬送行進であったりする。実際に何度か見せられる「行列」はどれも美しく、せつない。
サーカス暮らしの回想をたどりながら、胡蝶の夢のような夢幻の世界でアクロバットが展開されていく。サーカスをテーマにしているから、シルクのほかのステージにくらべても、サーカスらしい衣装が多い。
舞台の構造はギリシャ語のφみたいだ。円形ステージの両端に花道があり、それを取り囲むように座席が広がっている。ステージの形に合わせたのだろうか、アクロバット演目も円を意識したものばかりだ。
とりわけ、ジャーマン・ホイールの派生系ともいえる「シル・ホイール」や無数のリングを足で回す「フット・ジャグリング」、空中ロープの上でフラフープをする「タイトワイヤー」など、円形のアクロバットが目白押しの前半はとても印象深かった。
演出家がクラウン出身ということもあり、クラウンアクトが多いばかりか、アクロバットの途中でも寸劇が入る構成になっている。全体にスムーズな流れになっているのだが、逆にスムーズすぎて、引っかかりが弱くなった印象もある。手に汗握るアクロバットの連続で、盛り上がっていくというのではなく、とてつもなくうまい人がとてつもなくすごいことをすっきりやりすぎて、当たり前になっちゃったような印象だ。
世界中を移動するツアーショーならではのこなれ方もあるかもしれないけれど、アクロバットを見るときは、どこかで観客の応援する気持ちをひとつひとつ高めてくれないと、感動する気持ちにつながらないのだ。
ボーカル・エアリアル・シルクなんて、女性が歌いながら空中アクロバットを展開するというありえないほど、すさまじいものだが、あまりにも美しく調和しているために、ぼくらの気持ちが介入するすきがない。
だからこそ、いちばん盛り上がったのがラダーだ。固定されていないはしごを使った出初式みたいなアクロバットというか、両足固定竹馬的アクロバットというか、観ているだけで興奮のボルテージが上がっていった。
さらに気になったのはことばである。過去、フジテレビとのタイアップ公演では、外人パフォーマーがたどたどしい日本語を話すことが多かったが、今回はパフューマーという日本人キャラクターが通訳のように、老クラウンと観客の間をとりもつ形になっている。
パフューマーの存在によって英語、フランス語、日本語などが錯綜するステージになった。意味のあることばが多いこともシルクとしては珍しい。ドラッグクイーンが愛を語りまくるZUMANITYもあるけれど、複数の言語が交錯することでかえって国語という特殊性が意識され、世界が矮小化されてしまった。
もうひとつハンド・トゥ・ハンドなど、静止美系のアクロバットがないことも物足りなさの原因かな。「2C-I」の薬物利用で逮捕され、演目からなくなった「アクロ・デュエット」があれば、印象が変わったのかもしれない。
もちろんクオリティの高さには文句のつけようもない。イタリア・スペイン系の音楽もすばらしい。円形構造のステージは、逆光の照明など美しく、休憩前までは「ZED」をしのぐかもという予感があった。しかし、後半でそれが強まることはなく、「ZED」をもう一度チェックしたくなってしまった。
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