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【映画2009】チェイサー

 ユナイテッドシネマとしまえん2番スクリーンにてSRD鑑賞。

 映画を通して、日本、アメリカ、イギリス、フランス、香港など、いろんな警察を見てきた。民族や国はちがっても捜査活動にはある程度のルールがあるものと思っていた。もちろん、行き過ぎや汚職もあるが、現代の民主主義の国の警察なら、人権や科学捜査に共通するものはあるはずだ。

 しかし、映画で見る韓国の警察はどの国の警察ともちがうようだ。

 「グエムル」のポン・ジュノ監督が以前撮った「殺人の追憶」を見たとき、当然のように容疑者を犯人に仕立てあげようとするあたり、事件の真相を追うより、とりあえず犯人にしとけという捜査のやり方に唖然とした。映画はすごかったのだが、韓国で警察の世話になりたくはないと心底思ったよ。

 「殺人の追憶」は1980年代、軍事政権化の韓国の事件の話だ。今回見た「チェイサー」は21世紀の話のはずだ。こちらでは「殺人の追憶」とは逆に、なかなか逮捕拘束できない。警察署内にいる男が「自分が12人を殺害しました」といっても、12時間以内に証拠があがらなければ、証拠不十分で解放してしまうのだ。

 映画以外の現実はどうだか知らないが、韓国警察は不思議警察だとしか思えない。

 ある種の権力批判なのかもしれないが、タイムリミットの12時間に間に合わせるため、深夜、刑事総出で唐突に山狩りに出かけたりと、意味がわからない展開が続く。そんなあわただしくやるくらいなら、いったん、勾留を解いて監視するとか、いろいろやり方があると思うのだが、どうやら、そうではないらしい。

 ほかにも下着姿の被害者が商店に逃げ込み、警察に通報してもパトカーの中で制服警官が居眠りしていて到着が遅れてしまうとか、容疑者を尾行するのに面が割れているおんな刑事がひとりっきりで尾行するとか、この映画にでてくる韓国警察はバカばっかりだ。

 デリヘル嬢連続猟奇殺人事件(柳永哲事件)という実際の事件をベースにしたフィクションだそうだが、こういう警察がリアルに存在しているのなら、韓国で殺人捜査するのは難しいと思う。

   

 犯人の動機をあいまいにし、理由なき恐怖を煽る演出はいいのだが、主人公のデリヘル経営者と拉致されたデリヘル嬢とのつながりがほとんど描かれていないため、ドラマ自体が淡白なものとなったのが惜しい。

 元刑事という設定だが、どこのジャック・バウアーだよというばかりにものすごい機動力を発揮するのだが、そこまでがんばる理由がよくわからない。

 とはいえ、役者の熱い演技と体を使ったカメラワークはむやみに迫力がある。映画の格好としてはぐだぐだなのだが、それを補ってあまりある熱気がたっぷりつまっている。理屈が通らないけれど、エモーションはびんびん伝わる。若い監督の長編処女作だそうだが、韓国DNAのつまったソウルの熱い夜をくっきりと体験できた。

監督脚本:ナ・ホンジン 撮影:イ・ソンジェ 照明:イ・チョロ 美術:イ・ミンボク 録音:キム・シニョン 編集:キム・ソンミン 音楽:キム・ジュンソク/チェ・ヨンナク 
キャスト キム・ユンソク ハ・ジョンウ ソ・ヨンヒ キム・ユジョン チョン・インギ チェ・ジョンウ ミン・ギョンジン パク・ヒョジュ ク・ボヌン 他
※こちらのエントリーもどうぞ。

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