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【映画2011】2011年4月前半鑑賞映画

 ツイッターで、この時期鑑賞した映画へのつぶやきをまとめて追加しました。タイトルに星をつけたものはおすすめです。

 鑑賞映画:【トゥルー・グリット】、【スコット・ピルグリム】、【ザ・ファイター】、【塔の上のラプンツェル】、【わたしを離さないで】、【イリュージョニスト】、【エンジェル・ウォーズ】

2011年04月03日(日)

★【トゥルー・グリット】
 すばらしい。すべてを飲み込み起伏にとんだアメリカの大地の中で、それぞれの人の意志をずっしりと描きつつ、きちんと見せ場を描いている。そして、顕著に等価交換の物語だった。

 アニマトロニクスだと知っていても見せ場の多くには馬の名演技が入っている。いやもう、馬がすごすぎ。

 客席には年配の男性が多かったが、「ルパン三世」のような世界観が好きな女性なら、最後は感情が高ぶってしまうことだろう。人のなかにある家族への思いがぎっしり詰まっている。

 ともに旅をするヘイリー・スタインフェルド、ジェフ・ブリッジス、マット・デイモンの演技はもう酔うしかないし、旅をする緊張感から生まれるケミストリーにはぞくぞくする。

 多くの名作映画でもそうだけれど、エンドロールを見ながら、最初から反芻していると、ストーリー、セリフ、演技ひとつひとつの選択の意味がほどけてくる。ひりひりするユーモアもたまらない。

  

 商人とのやりとり、ジェフ・ブリッジスとの取引、死体の売買、全速力で走る馬、銃と反動、殺人とその贖い……。昨夜は「等価交換」と書いたけれど、明徹なやりとりの末にたちのぼってくる乾いた叙情が、まだ残っている。

 最後に流れる賛美歌「主の御手に頼る日は」 Leaning on the Everlasting Arms の歌詞にはぞくぞくした。きちんと字幕も付けてくれれば、よかったのに。

 Leaning on the everlasting arms.少女にとって「永遠なる腕」とはだれのものか。そのはっきりした映像をを思い出すだけでも、胸が熱くなる。

 真の「トゥルー・グリット」とは、だれであるのか。それを考えていると、イーストウッドの「許されざる者」あたりを見返したくなる。

 今年映画館で見た映画の中で暫定ベスト1。2位以下は「ソーシャル・ネットワーク」、「愛する人」、「ヒア アフター」といったところかな。


2011年04月08日(金)

★【スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団】
 大勢と劇場で見る「ビリー・ピルグリム」は最高だね。町山智浩さんは「うる星やつら」と「サルまん」からの引用のことを教示していたが、自分たちが高校や大学で撮影していた8ミリ映画のことを思い出す作品だ。

 子どものときから「仮面ライダー」とか、戦争映画とか、西部劇映画がインストールされているので、映画というのは戦いがなければならない……という思い込みがあって、8ミリ映画のお話もかならず最後は戦いになっていた。

  

 早稲田のキャンパス内とか、文学部近くの箱根山とか、石神井公園とかまあ、そういうところでロケした、戦闘シーンがかならずあったのだけれど、ピリー・ピルグリムはそういう理由なき戦闘シーンだけで、すべてが構成された映画だ。

 普通の映画とは、まるっきりちがうのだけれど、つまり、自分が脚本を書くとしたら、こういう物だろうと思わせる。

 後半のトークショーで「熱血硬派くにおくんのアメリカ版はないでしょ」といっていた町山智浩さんだが、じつはあるんだよね。

 RPGでは町の人と会話をすることが、ゲームにおけるストーリーとコミュニケーションのすべてと思っているかもしれないが、じつはエンカウントバトルやボス戦が、もっとも重要なコミュニケーションで、そういう意味でもこの映画の戦いは、ストーリーテリングなのだ。

 もちろん、ここに出てくるゲームのセンスはNESやSuperNESあたりのものだけれど、それだけに「みんな知ってる」味わいになってるよね。

 音楽で参加しているベックは、1999年のE3で、コロムビア映画撮影所を使ったソニーのパーティで、歌ってたなぁ。

 とにもかくにも懐かしくて新しい映画だった。ヒロインがもうちょっとなんとかなれば、超傑作だったのにな。エドガー・ライト監督作品ってヒロインに興味がないんじゃないかと思われる。


2011年04月12日(火)

★【ザ・ファイター】
 とてもよかった。この映画を見ると、映画「あしたのジョー」に足りないものがすべて分かる仕組み。成長、ユーモア、貧しい生活、再起など、緊張感あるドキュメンタリー風カメラワークと、こきみよい編集の中に配置されている。

 

 アカデミー賞の助演男優賞(クリスチャン・ベール)、助演女優賞(メリッサ・レオ)の2冠を獲得しただけあって、ただならぬ陶酔がある。これみよがしなシリアス演技というわけではなく、欠陥のある人間のユーモアがたまらない。なぜ映画「あしたのジョー」にこれがなかったのか。

 兄弟ものの映画には弱いのだけれど、だいたい、片方がしんでしまうことが多く、観たあとにしばらく立ち直れなかったりするが、これは相依存兄弟の復活劇なので、気持よく劇場をあとにできる。

 主人公、ミッキー・ウォードの打たせて止めるスタイルは「あしたのジョー」と近いものだけど、俳優がのろまな分、カメラに働かせていた「ジョー」とはちがって、きちんと試合の起承転結がみえてくる。

 エイミー・アダムスは大学中退で働く女という、ディズニーとはずいぶんちがう役柄だったけれど、もうひと脱ぎがほしかった。


2011年04月13日(水)

★【塔の上のラプンツェル】
 12月にNYでみて以来のラプンツェルをIMAX吹き替えで。もう圧倒的な傑作。吹き替えも神がかったような出来。あらゆるディテールを積み上げていく努力と研鑽がこの奇跡を現実にした。

  

 魔法の物語が失敗するのは魔法がインフレになってしまうこと。そして魔法を越えた奇跡が必要であるということ。夢を夢としてあつかい、それを現実にさせるだけでなく、その先をきちんと提示することなど、ほんとによくできている。

 髪長姫をCG化するにあたって、髪の表現が抜群である。ラプンツェルのモデルはシンプルだが、髪と目、そして表情が豊富で、絵の美しさではなく、演技の豊かさで見せてくれるのだ。クライマックスの直後、彼女は大人の顔をする。

 もうすでにドラマは知っているから、長い時間、ラプツェルをじっと見つめてしまったよ。ドラマチックでありながら、一番大切なシークエンスをセリフではなく、絵で見せるのはほんとにすごいな。ことばでやると言葉尻をとらえられるけど、絵は人が気持ちで埋めてくれる。

 ラプンツェルが乗り越えられそうもない障壁をものすごいやり方でクリアするカタルシス。いちど見ているはずなのに、ふたたび叫びそうになるほど、やられたよ。


2011年04月14日(木)

【わたしを離さないで】

 

 期待したのは「ガタカ」のような味わいだが、まるっきり、その域にも達していなかった。メインストリーム文学の人がSFを思いついたときの悪癖がいくつも見られ、最後までこの世界の実在に感情移入できなかった。

 キーラ•ナイトレイはひさしぶりのおっぱい要員として登場しているが、ちょっと老けすぎてしまったかな。

 音楽や絵作りがよいのだけれど、ものすごく落ち着きが悪い。日本の宣伝は中心の設定をうまくぼかしつつ、うまく動員につなげているが、この肩透かしな感じは「ソイレントグリーン」に近い。

【イリュージョニスト】
 よくまあ、こんなにすてきな世界を作ってくれたと思う。じつにていねいなアニメーションだけれど、ぼくのほうが汚れすぎているのだろう。それ以上のことばが浮かばないんだ。なによりテーマがダウナー系。せっかくあれだけの町を作ったのに、もったいない。

最後の鉛筆の意味はとてつもなくせつないし、テーマからは離れてもイリュージョンをみたかった。


2011年04月15日(金)

【エンジェル・ウォーズ】

 爆音環境必須だが、たのしかったよ。ザック・スナイダーもこんなことをやっちまったかというマルチレイヤードラマ。

レイヤー間での事象やシンボルの共用が少なすぎるし、ヒロインに萌え要素は足りないし、ドラマは皆無で、人には奨めにくい。でも、たのしかったんだよ。

批評家によるトマトメーターは22%、観客は56%か。 http://t.co/B6AndOJ

3レイヤー(3層)で展開する映画という点で、「インセプション」、「シャッターアイランド」的極限での〇〇もあったし、崩壊の前の一閃という点では「300」にも近い。

みんなが知ってる名曲の数々をわざわざカバーで作っているフェイク感。もう一回くらい劇場で観たい映画かもしれない。

※こちらのエントリーもどうぞ。

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